(た)作品

女教師友美、質問攻めのあげくに

前編
 早く終わってよ…

 友美は心の中でそう思いながら、思わず靴の中で足の指をぎゅっと折り曲げた。今日の授業はもうとっくに終わっているのだが、放課後にやってきた男子生徒二人の質問がなかなか終わらない。

 早く、早くぅ…

 だが、男の子たちは次から次へと質問を繰り出してくる。でも、友美は自分が教師である手前、生徒からの質問を断ち切るわけにはいかないのだ。

 友美が早くここから逃れたいと思っているのは、でも、本当はある別の事情のせいだった。


 友美は、今年この公立高校に赴任してきた新任の英語の教師だった。

 大学を卒業して高校教師になった友美は、担任は持っていなかったが、かなりの美人で、友美が担当する英語の授業になると、男子生徒たちはみんな教壇に立つ22才の美しい女性の姿に見とれてばかりいた。


 そんなある日の、2学期が終わる直前の短縮授業の間のことだった。

 美しい女教師にとんでもない意地悪をしてやろうという男子二人が現れた。それは、友美という一人の女性を恥辱の淵に陥れようとする恐ろしい作戦だった。

 この学校には、高校にもなって冬季マラソン大会などというものがあった。それは、この短縮授業の間の一日を利用して、1学年につき1日が設定され、その日の1時間目に学年全員で学校の周囲を走るというものだった。生徒が走れば、それについて教師も走る。

 その日、彼らの作戦は実行された。


 作戦の主である男子生徒二人は、この日、女教師のためにビターの缶コーヒーを2本用意していた。1時間目のマラソンが終わると、男子二人のうちの一人がそれを友美に差し出し、飲むように勧めた。何も事情を知らない友美は、「ありがとう。暑くなっちゃったから、おいしいわ」と、一本をすぐに飲み干した。するともう一人の悪友が、「そんなんだったら全部飲んじゃったら」と言って、残った一本のフタをわざと空けて彼女に渡した。

 男子生徒はそのまま立ち去ったが、男たちが少し離れたあと、友美は既にフタの開いた缶コーヒーの処置に困って、結局二本目も飲み干してしまった。これは男たちの作戦通りだった。


 その次の2時間目が終わると、男子二人うちの片方が間髪を入れずに職員室を訪れ、前回の授業の宿題について友美に質問を浴びせた。生徒たちの質問に喜んだ女教師は、休み時間を全て使って彼らの質問に答えた。

 同じように、3時間目が終わったあと、相棒のもう一人が職員室を訪れた。そして、やはり友美は10分間の休み時間を使いきって質問に答えた。

 もちろん、それも全て彼らの作戦だった。


 実は、男子生徒は二人ともそんなに成績のいい生徒ではなかった。二人は、こんなことなら普段から勉強しとけば、というぐらい質問を作るのに頭を悩ませたが、そんな生徒たちが質問に訪れたのを友美が素直に喜んで、彼らのために貴重な休み時間を割いたのも事実だった。

 それが、実は彼らが友美のために用意した罠だったと知る由もなく…


 そのまま4時間目になった。4時間目は、友美に質問に訪れた生徒たちのクラスの英語の授業だった。

 男二人が待ちに待った英語の授業が始まった。彼らにとっては、ここからが勝負だった。しかも、クラスの担任は今日は研究会出席とやらで休みなので、最後のホームルームはない。作戦を実行に移すには、今日という日以外は考えられない。


 授業は、普段どおりに進んでいた。しかし、途中から女教師の様子が少しおかしくなり始めたのを男子生徒たちは見逃さなかった。

 教壇の上で、美しい女教師は、ある差し迫った事情に襲われていた。女教師の下腹部の中で、とある小さな臓器が悲鳴をあげ始めていたのだ。


 少し前屈みになってみたり、ため息をついてみたり…。やがて、生徒に教科書を読ませている間に、視線を下に落として苦しそうな表情をしていたり…。

 もちろん、友美の様子がおかしいことに気づく者はクラスの中に誰もいなかった。あの男子二人を除いては…


 友美に差し迫ったある事情…。それは、美しい女性の生理現象だった。


 英語の授業中に、教壇の上で女教師が激しい尿意をもよおしていることは、もはや紛れもない事実だった。

 友美は板書の設問に答える生徒を指名したあと、その生徒が答え始めるわずかの間に教卓の縁をぎゅっと握ったりして、オシッコをがまんしていることを周囲に悟られないように平静を装いながら、女教師は自分の下半身に迫り来る激しい尿意を必死に耐えていた。でも、教壇の上で女教師が激しい尿意に襲われていることは、あの男子生徒二人以外は誰も知らないことだった。


 授業中にオシッコがしたくなって、でも、22才の女教師がまさか自分の授業中にトイレに行くわけにもいかず、女教師は生徒たちの前で人知れず尿意をこらえていた。授業を途中で中座することもできず、激しく尿意をもよおしたまま懸命に授業を続ける女教師が時折垣間見せる苦しそうなオシッコがまんの仕草を、男たちは食い入るように見つめ続けた。

 猛烈な尿意に背筋がゾクゾクするのを感じながら、教壇の上で必死にオシッコをがまんする女教師…。

 女教師は激しい尿意をもよおしながら、手をギュッと握り、教卓の下でしきりに足を交差させている。俺たちの目の前で、あの女教師が必死にオシッコをがまんしている…、そう思っただけで男たちはワクワクした。


 もうすぐだ…、もうちょっとだ…。

 顔をゆがませながら激しい尿意に身悶える女の姿に、男たちは期待に胸を膨らませた。


 その時、終わりのチャイムが鳴った。男たちの作戦は続く。今日はホームルームがないので、クラスの生徒たちは授業が終わるや否や、みんな一斉に下校して行った。

 男たちは、他の生徒たちが帰るのを追って、荷物を片付けて教室を出ようとする女教師を呼びとめ、さっきの質問の続きがあるからと言って、友美を教室の空いた席に座らせた。男たちは、女教師が激しい尿意をもよおしていることは先刻承知だったが、もちろん、そのことには知らんぷりを決め込んでいた。

 友美はもうオシッコがしたくてしたくてたまらなかったが、それを言い出せないまま椅子に座ってしまった。


 この教室は4階で、この校舎の最上階になっている。とにかく男たちは、誰もいなくなるまで女教師にここにいてもらわないと困るのだ。彼女は担任を持っていないので、今すぐどこかに行かなければならないことはない。

 でも、彼女自身には今すぐ行きたい場所があるはずなのだが、それはあとでゆっくり行ってもらえばいい。


 男子二人は再び女教師に質問を浴びせた。もともと、今日の授業内容で難しそうな部分を事前に調べてあったのだ。普段からそのぐらい予習していれば成績もいいのだろうが、今回の勉強は成績の向上が目的なんかではなかった。

 男たちの質問は延々と続いた。女教師は文句も言わずに付き合っているが、友美が机の下で必死に脚を擦り合わせたりしているのを、男たちは決して見逃してはいなかった。


 トイレに行けないまま、悟られないように平静を装いながら、身をよじる思いで必死に尿意をこらえる女教師。友美は時々大きなため息をついたりするが、でも、トイレに行かせてとは言えない。必死にオシッコをがまんしているのは間違いないのに。

 男たちも、友美に「トイレに行かせて」と言われたら困るので、女教師の尿意には知らんぷりして友美に質問攻めを続けた。目の前で美しい女性が必死に尿意に耐えているのを知りながら、何度もいろんな質問をしては女を引きとめ続ける。机の下で足を交差させ、小さく膝を擦り合わせながら必死に尿意をこらえている女教師を、さらにいたぶってオシッコをがまんさせる…。

 友美はもうものすごくオシッコがしたくて、質問にてきぱき答えて話を終わらせようとするのだが、なぜか男子生徒たちは次から次へと質問を繰り出してきて、友美は女の下半身に迫り来る激しい尿意に思わず身震いした。


 そんな時間が30分ほどすると、校舎の4階にはもう誰もいなかった。質問中の相方を教室に残して男の一人が校舎内を見回り、本当に誰もいなくなっているのを確認すると、男たちは質問を打ち切り、「すみません、行かないといけないところがあるので」と言って、女教師に礼を言って先に教室から立ち去った。

 その時、男たちは急いで教室から出ようとして、机にカバンをぶつけて女教師の持ち物を床にぶちまけてしまった。しかし、男たちはそれを拾うこともせず、「あ、ごめんなさい」と言ってそのまま教室から出ていった。


 「もう、ほんとに…」

 友美は一人でつぶやきながら、床に散らばった文房具を集めた。そんなことより、友美には一刻も早く行きたい場所があるのだ。

 「んんっ…」

 教室には、もう友美の姿しかなかった。そのことに気がつくと、友美は思わず片手で股間を押さえて、モジモジと両脚を擦り合わせた。そこにいるのは、もはや女教師などではなく、単に激しい尿意に襲われているだけの一人の女性だった。

 誰もいない教室で、膝を擦り合わせてモジモジしながら必死に尿意に耐える女教師。激しい尿意をもよおしている友美の下半身は、今にも熱い液体を噴き出しそうになって、もはや抜き差しならない状態になっていた。

 友美は床の文房具を全て拾い上げると、立ち上がって自分のカバンを椅子の上に置き、美しい女教師は、激しい尿意にせわしなく足踏みを繰り返して、何度も足をばたつかせながら自分の荷物をカバンの中に放り込んだ。

 22才の若い女性が、激しい尿意にジタバタしながら前を押さえて飛び跳ねる様子は、もしも誰かが見ていたら、百年の恋もさめるようなあられもない姿だった。


 友美はようやく教室を出ると、いても立ってもいられず、一刻も早く行きたいと思っていたあの場所へと向かった。もはや、廊下には友美以外に誰の姿も見えなかった。

 必死に尿意をこらえながら廊下を走る女教師の視線の先に「女子便所」という表示が見えた。


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