ミニメロン作品

妖恋記
〜男たちの知らない巫女〜

弐 因習と淫習
 広い土地に、無数の民家が整然と建ち並んでいる。民家の屋根は互いにつながり、その上には土が盛られ、様々な農作物が植えられている。限られた土地を有効に活用しながら太陽からの貴重な恵みを効率良く享受するために考え出された、山の女たちの知恵である。屋根の上に広がる畑の上で、娘たちは朝早くから農作業に勤しんでいた。
 娘の一人が手を休め、朝霧の隙間から徐々に姿を現す緑の山々を眺めていた時、ただならぬ異様な気配を感じ、辺りを見回した。
 異様な気配の原因はすぐに分かった。静かすぎるのだ。さきほどまで聞こえていた路地を行き交う村人たちの声や足音が、ぱったりと止んでいる。
 畑を囲む柵にかけ寄り路地を見下ろしてみる。道行く人々は一斉に足を止め、道の中ほどをゆっくりと歩いてくる二人の女に注目していた。
 娘は目を見開いた。一つの白い衣に身を包んだ二人の女のうち一人の顔に、見覚えがあった。この村で彼女の顔を知らぬ者はいない。
「あのお方は確か……」
 生け贄になられたはずの……
 そう言いそうになって、娘は言葉を飲み込んだ。生け贄ではなく、村をお守りするために千手妖華のもとに参られ、かの華の一部として咲き誇られた、と言わなければ……
 いや、言葉などどうでもいい。重要なのは、村を守るために行われるべき儀式が予定どおりに行われなかったという事なのだ。
 そして儀式を妨げたのは、おそらく隣にいる見知らぬ女であろう。
 今に大きな災いが村に降りかかるのではないか。そんな考えが、二人に注目する皆の脳裏を離れなかった。

「みんなこっちを見ているわ」
 目を動かし辺りの様子を伺いながら、揚羽は声をひそめて呟いた。
「きっと、そなたの帰りを喜んでいるのだろう」
「私にはとてもそうは思えませんが……」
 確かに村人たちの顔は、揚羽の帰りに驚いてはいても祝福しているようには見えない。どちらかと言うと、何かを恐れているかのようだ。
「この村は、私のいた村とはずいぶんと違った作りになっているのだな」
 鈴音は話題を変え、民家の屋根を見上げた。隣同士のつながった平らな屋根には柵が張られ、そこからも何人かの村人が身を乗り出し、二人を見つめている。
「ええ。限られた土地にこれだけ多くの者が住み、なおかつ食糧を自給自足するためには、村をこのようにするのが最適であるという事で、ある時村人全員で民家を改装し、屋根の上に畑を作ったそうです」
「そうか。みんなでやれば、民家の上に畑を作る事が可能なのか」
「もちろん、その過程で問題が全くなかったわけではありません。特に最初の頃は家が土の重みで潰れてしまったりしてだいぶ苦労があったそうですが、幸い村人の中に建物の構造と強度との関係に詳しい者がいたそうで、その問題は無事解決したそうです。他にも様々な問題を様々な人の様々な知識と知恵で解決した事によって、この村はこのような姿で繁栄し続けているのです」
「なるほど。だから村の問題は村人全員の問題で、村に関わる重要な事柄はすべて皆の村人に伝えられるのだな」
「はい、そのとおりです」
 揚羽は静かに頷いた。
「もちろん、私の事も皆が知っています。私の顔も、私が昨晩生け贄になるはずだったという事も」

 村長の屋敷は村の中心に位置していた。
 揚羽と鈴音を出迎えた村長は、冬華と名乗った。
 菖蒲と菫という二人の巫女が、鈴音を客間に案内した。
「我らが守り神を倒すとは、さぞかし秀でた霊力をお持ちの巫女さまとお見受けした」
 菖蒲と菫の煎れた茶を鈴音にすすめながら、冬華が言った。
「倒したわけではない。今晩にも再び復活を遂げるだろう」
 そもそもあの化け物は守り神ではない。鈴音はそう主張したが、冬華は聞き入れようとしなかった。
「とにかく村人を生け贄として差し出すなど。それもあのような化け物に」
「我々にとっては必要な事なのじゃ。我々がここで平和に暮らし続けるためにはな」
 言いながら、冬華は静かに目を閉じた。
「そなたを見ていると古の書に記された伝承を思い出す。この国のいずこかに霊力に秀でた巫女様たちに守られし一族ありと。かの巫女様たちは笑い声で邪なる妖怪どもをなぎ払い、人を笑わせる事によってその者の病を癒すそうじゃな。しかし我が村にはそのような力を持つ者はない。だから守り神に守ってもらわなければならぬのじゃ」
 冬華は再び目を開くと、鈴音をまっすぐ見据えた。
「もっとも、そなたがここに留まって頂けるというのであれば、話は別であるがな」
「残念だが、それは勘弁願いたい。人を探しておるゆえ、一刻も早くここを立ち去らねばならぬのだ」
 静かに答えながら、鈴音は差し出された茶をすすった。
「ところで、彼女は?」
 鈴音は客間に案内された時にいつの間にかいなくなっていた、今の話題の中心人物について尋ねた。
「揚羽の事か? 彼女なら別な部屋で休ませておる。気分がすぐれぬようなのでな」

「ごめんなさい、戻ってきてしまって。でも私……」
 揚羽は部屋に広げられた布団の脇に佇んでいる侍女の一人に呟いた。
「姫さま…… 姿を見られたのですね。千手妖華の」
 侍女の言葉に、揚羽は静かに頷いた。
「私は楽しみにしておりました。村の守り神たる千手妖華にこの身を捧げ、かの華の一部となって美しく咲き誇る日を。しかしその華があのような醜い化け物であったとは」
 揚羽の身を包む布団には、水に浮かぶいくつもの紅色の華が描かれている。もしもそれらが千手妖華なのであれば、そして村の平和のために必要なのであれば、自分は千手妖華の生け贄となっても構わない。揚羽はそう思っていた。
 人里では男たちが戦を繰り返し、その度に多くの女が犠牲になっていると聞く。そして女はある年齢になると、嫁として男のもとに差し出される。
 相手が千手妖華という美しい守り神であるならば、男という獣に差し出され、その獣の子を産むために腹を痛めた多くの女たちに比べて、自分はどれほど幸せだろう。そう思っていた。千手妖華の本当の姿を見るまでは。
「されど、そのおかげで姫さまはあのお方とお会いする事ができたのです。姿はともかく、千手妖華はやはりこの村の守り神に違いないのです。ですからやはり姫さまにはぜひとも、かの守り神の生け贄となって頂きたいのです」
 侍女は突然、揚羽の身を包んでいた布団を一気にまくり上げた。
「きゃっ!」 
 白日のもとに晒されたふくよかな胸の膨らみを慌てて両手で覆い隠す揚羽。
「いきなり何をするのですか」
 抗議する揚羽の口を、別な何者かが手ぬぐいで塞いだ。
「うぐっ!」
 逃れようともがく揚羽であったが、いつの間にか新たに部屋に入ってきていた数名の侍女たちによって、あっという間に取り押さえられてしまった。
 大きく広げさせられた手足を布団の上に押さえつけられ完全に無防備となった揚羽の裸身に、侍女たちの手が伸びる。
「生け贄として選ばれながらそれを拒んだ者へのこれは仕置です。存分にお受け下さい」
 侍女たちの無数の指が、揚羽の滑らかな肌を這い回り始めた。腋の下や脇腹、そして腰、お腹、太股や足、そしてたわわに実る胸のふくらみ。全身の至る所に指の蠕きによる妖しい刺激が送り込まれる。
 侍女たちが時折手にする鳥の羽や筆もまた、揚羽の柔肌を軽やかに滑り、妖しい刺激の風を送り込む。
「ぐふ、ぐふっ、ぐふふふっ!」
 全身に送り込まれる激しいくすぐりの刺激は、巨大な嵐となって揚羽の身体を狂わせ、悲鳴と笑い声を上げさせる。だがそれは、口を塞ぐ手ぬぐいによって阻まれ、声になる事はない。
 揚羽が幼い頃から何かと理由をつけて揚羽をくすぐり笑い声を楽しんでいた侍女たちは、揚羽の身体に無数に散らばる弱点を知りつくしている。それらの弱点を指の蠢きによって執拗に責め立てられているのだからたまらない。
 やめてほしいのに、口を塞がれた揚羽はそれを訴える事もできず、その顔は全身をくすぐられ狂わされる悦びに満ち溢れている。
 そして太股の付け根からは、女の身体の恥ずかしい証が滴っている。
「姫さま、とても嬉しそうな笑顔ですわ。あそこからも悦びの証があんなに」
「それはいけませんわ。これは仕置なのですから、もっと激しくして差し上げなければ。皆よ、姫さまが笑い疲れ悦びの証が枯れるまで、手を止めてはなりませぬぞ」
 侍女たちの声を遠くに聞きながら、揚羽は全身から送り込まれる狂わしい刺激の嵐に溺れるように身悶え笑い続けた。

 客間では、鈴音と冬華の議論が続いていた。
「とにかくあの妖怪は守り神などであろうはずがない。ましてや生け贄などという因習、すぐに捨て去るべきだ」
 今まで幾度となく繰り返した鈴音の主張に冬華は言い返す。
「それではなぜ、そなたの言う守り神などではない妖怪が人を笑わせようとするのじゃ。そもそもこの世に存在するあらゆる生き物の中で、くすぐられて笑うのは人だけじゃ。なのになぜ千手妖華は人がくすぐられて笑う事を知っておる。いや、この際どのようにしてそれを知ったかなどはどうでもよい。肝心なのは、千手妖華が人を笑わせる事に興味を持っているという事じゃ。そして人を笑わせようとする事はすなわち人に福をもたらす事と同義であろう」
「それは……」
 確かに鈴音の村では、笑いは人の幸福の証であると同時に源であると考えられている。それをなぜ人にとって忌むべき存在である妖怪が、人に与えようとするのか。
 返答に困った鈴音は、突然足の付け根の恥ずかしい部分の内側に渦巻く猛烈な力を感じた。
「うっ!」
 鈴音は思わず呻き声を上げた。鈴音の全身を知りつくした恥ずかしい水が大量に集まり、鈴音の恥ずかしい出口をこじ開けようとしているのだ。
「ふふっ、どうやら効いてきたようじゃな。この村特産の美容茶が」
 冬華は急激に膨らむ大いなる自然の力に必死に耐え忍ぶ鈴音の顔を楽しんでいるかのようだ。
「何だとっ!?」
「菖蒲、菫、準備をして差し上げなされ」
「かしこまりました、冬華さま」
 さきほど冬華の言う所の美容茶を用意した二人の巫女は、冬華の指示を受けて、大きな目をさらに嬉しそうに輝かせながら部屋を出ていった。
「一体何を…… くっ…… んあっ!」
「そなたがさきほど飲んだ茶は血を清める効果があるのじゃよ。美容に大変よろしいのじゃ。おしゃべりな女子を静かにさせるのにもこのお茶の効果は絶大じゃ。まさに女を内面から磨き上げるありがたいお茶じゃのお。鈴音とやら、そなたもそう思わぬか」
 恥ずかしい水に今にもこじ開けられそうな恥ずかしい出口に渾身の力を込めて耐え続ける鈴音の身悶えを楽しみながら、冬華は茶の効能を語った。
「い、一体何のためにこのような事を」
「無論、そなたをもてなすためじゃよ。美容と健康に良いお茶じゃ。客人にすすめて当然であろう。それにこのお茶を飲めばどんなに気丈な女子でももじもじと女子らしい仕草をみせてくれるというものじゃ」
 菖蒲と菫が客間に戻ってきた。
「準備ができましてございます」
「鈴音さま、どうぞここでこの中へたっぷりと」
 二人が鈴音に差し出したのは、大きな風呂桶だった。
「このような場所でそのようなものにできるわけなかろう」
 太股を激しくすり合わせる鈴音の歪んだ顔を楽しみながら、冬華は言った。
「無理にしなくてもよいのだぞ。茶の効き目に逆らい続ける事ができるのならば。もっとも、たいていの女子はたちまち素直に桶にまたがり女子の証たる姿を見せてくれるものじゃがの」
 底意地の悪い冬華の言葉に、鈴音は闘志を燃え上がらせた。
 ――このような場所で、このような女の目の前で、女の最も恥ずかしい姿をさらすわけにはいかない。巫女の誇りにかけて、最後まで耐え抜いて見せる!
 鈴音は太股を懸命に閉じ合わせ、意地悪な恥ずかしい水の悪戯に耐えつづけた。だが、女の秘めやかな出口をこじ開けようとする水は、その恥ずかしい力を急激に強め続けている。
「くっ、んくっ」
 鈴音はたまらず、太股の間に両手を挟み込み、今にもこじ開けられそうな切ない出口を強く押さえる。
 だが、次に襲ってきた凄まじい水の体当りは、女の水門と手の力だけでは支えきれないほどの威力だった。
「んあっああっ」
 恥ずかしい部分に手を挟み込んだ太股を、激しく上下させ、すり合わせる。
 水の体当りは、みるみるうちに、その激しさを増して行く。恥ずかしい悪戯の凄まじさに今まで耐え続けた女の水門にもはや残された力はなく、手や太股では恥辱の決壊を防ぎきれない。
「ああああああっ、もうだめぇっ!」
 最後の手段とばかりに、つま先を立てた足の踵の上に恥ずかしい部分を乗せ、今にも噴出しそうな荒ぶる水をせき止める。
 だが、恥ずかしい水の圧力のすさまじさは、もはや踵の上にかけた全体重ですら押さえきれるものではなかった。
「いやああああぁぁぁぁっ!」
 鈴音のかん高い悲鳴と同時に、ぴったりと閉じ合わせた太股とそこに挟み込んだ両手、そして全体重をかけた踵を押し退け、女の水門をこじ開けた恥ずかしい水流が秘めやかな出口から噴出した。その激流は緋色の袴を通り抜け、薄黄色に輝きながら勢い良く吹き上がった。
 それは嵐の海岸に打ち寄せる波のように凄まじく、幾筋もの放物線を描いて桶の中へと落下し、飛沫を上げる。
 そして畳の上にも巨大な池がみるみるうちに広がって行った。

 どれだけの時間が経過しただろう。
 鈴音の恥ずかしい水流は、ようやくその勢いを徐々に弱め、ほどなくして完全におさまった。
「すばらしいですわ。緋袴を通り越して吹き上げた分だけでこんなにたっぷり。さすがわ修行を積まれた巫女さまですわ」
「それに、この大きな水たまり。これだけの量をせきとめていた巫女さまの力強い花園は、その美しさもまた極上のものに違いありませんわ」
 巫女の身体の恥ずかしさを知りつくした水でなみなみと満たされた桶と、畳の上に広がる恥ずかしい巨大な池を眺めながら、感嘆の声を上げる菖蒲と菫。
「「その花園、私たちがしっかりお手入れしてなおも美しく開花させてさしあげますわ」」
 二人は水たまりの中央で力なく座り込み息を弾ませている鈴音のそばに素早く歩み寄った。
「さあ、遠慮なさらずに」
 鈴音の身を包む衣に手をかける菖蒲。
 菫もまた鈴音の緋袴の帯に手をかけ、あっという間に結び目を解いた。
「なっ、何をする」
 鈴音は声を上げる間もなく、胸の膨らみと恥ずかしい雫にぬれそぼった女の恥ずかしい部分を露にされてしまっていた。
 菫はその恥ずかしく塗れた花園を唇に含む。割れ目の間に舌を差し入れ、今しがた恥ずかしい水流を迸らせたばかりの秘めやかな出口を執拗になめしゃぶる。
「ああっ、だめぇっ、そんな所なめるなぁっ!」
 なめしゃぶられている部分に桃色の稲妻が生まれ、全身を走り抜ける。快感の波に身体がガクガクと震えるのが恥ずかしくてたまらないのに、どうする事もできない。
「ふふっ、乳首がこんなに固くなってますわ。本当はもっとしてほしいのですわね。遠慮は要りませんわ」
 のけぞる鈴音の身体に菖蒲が後ろから抱き付き、両手を前に回して胸の膨らみをもみしだく。そして、敏感な蕾を指先で転がす。そこは自分でも分かるほど固くなっていた。
「思ったとおり、すごくきれい。滴る蜜の味もまた極上ですわ」
 太股の間では、菫がなおも激しく唇と舌を蠢かせ、割れ目の奥で震える花びらや、固く尖った敏感なめしべ、そして秘めやかな出口の全てを味わいつくし、恥ずかしく凄まじい快感の稲妻を送り込み続けている。
 滴る蜜と鈴音の上げる恥ずかしい吐息と悲鳴をひとしきり味わった菫は、ようやく鈴音のその部分から唇を離した。そして、しとどに溢れた蜜を掌にすくった。
「ほんの少しなめただけで、もうこんなにたくさん」
 言いながら、すくい取った大量の蜜を息を弾ませる鈴音に見せつける。
「もっともっと可愛がってほしいのですわね」
「そっ、そんな事は……」
 否定しようとした時、鈴音の、さきほど恥ずかしい水にこじ開けられ、菫に悪戯されていた辺りが切なく震えた。刺激がほしくてたまらず、恥ずかしい蜜が涙のように溢れてくる。それが恥ずかしくてたまらないのに、どうする事もできない。
「遠慮は要りませんわ。私たちが鈴音さまの身体ののぞむままにたっぷりと可愛がってさしあげます。冬華さまも手伝って頂けますわよね」
「そっ、そんな……」
 鈴音は一瞬狼狽えた。
 もしもさきほどの菫の言葉どおり、今までのが「ほんの少し」なら、「たっぷり」とはどれほどのものなのだろう。菫によって送り込まれた刺激にもうすでに気が狂ってしまいそうなのに、それ以上の事をされたら一体自分の身体はどうなってしまうのだろう。
「菫、無駄話はそれくらいにして、早く続きをしてさしあげましょう」
 菖蒲のその言葉を合図に、菫の唇が再び鈴音の恥ずかしい部分を口に含んだ。
「冬華さまにはそちらをお願いします」
 菖蒲はそう言うと同時に、自分でも鈴音の片方の胸の膨らみの頂に息づく固い蕾を口に含む。
「あっ、ああああぁっ、だめぇ、そんな所を同時に吸うなんて」
 上と下の敏感な部分を同時に責められ、鈴音はたまらず悲鳴を上げた。
「すごい、どんどんあふれてくる。これではなめてもなめてもきりがありませんわ」
 菫の言うとおり、鈴音の恥ずかしい部分は菫の舌と唇の蠢きの一つ一つに鋭く反応し、大量の蜜を溢れさせ続けていた。
「しかたがない。それでは少しだけ手伝ってさしあげるかのぉ」
 冬華もまた、残された片方の胸の膨らみの頂の蕾を唇に含む。
「胸のつぼみをこれほど固くなさるとは、菖蒲と菫のもてなしがよほど気に入ったようじゃな」
 言いながら、菖蒲や菫に負けぬほどの激しさで唇と舌を蠢かせ、その部分に女を狂わせる刺激の波を送り込む。
 女の敏感な部分を女の快感を知り尽くした三人の女によって同時に責められてはたまらない。気の狂うほどの快感の稲妻に身を震わせつづけ、恥ずかしいを悲鳴を上げつづける鈴音。
 やがてその悲鳴と身体の震えが勢いを失いかけてきた時、ようやく三人は鈴音から唇を離した。
 鈴音が息を弾ませている間に、菫はいつの間にか部屋の隅に置かれていた小さな箱を開けた。
「それでは今度はこれで、もっともっと念入りに手入れして差し上げましょう」
 菫は箱の中に並んだ小道具の中から、二本の太さの異なる棒状の刷毛を選んだ。両方とも細い棒の回りに無数の毛が生えた円筒状の刷毛で、片方の棒に這えた毛は長く、片方は短い。その毛の長さの違いから、片方の刷毛は全体的に毛で覆われた太い円筒形に見え、もう片方は細かい毛で覆われた細い針金のように見えた。
「私は蜜のしたたるここと、あれだけの量を吹き上げたこちらの部分をお手入れしますわ」
 菫は言いながら、太い方の刷毛の先を、蜜をしとどに溢れさせる泉の奥へと押し当て、同時に細い方の刷毛の先端を、凄まじい勢いで聖水の奔流を迸らせた秘めやかな恥ずかしい出口に押し当てた。
 鈴音の恥ずかしい部分にするりと飲み込まれる二本の刷毛。それらの無数の毛が敏感な内側で蠢く刺激に、鈴音は身体をビクビクを震わせ、声にならない悲鳴を上げた。
「それでは私はこの固く尖っためしべの方を」
 菖蒲も負けじと箱から二本の筆を取り出し、菫が責め嬲っている恥ずかしい部分のすぐそばで小刻みに震え続ける固く尖っためしべに穂先を這わせた。
「だめぇっ、そんな所、そんなふうにされたら、ああっ、ああああっ」
 敏感なめしべを挟み込むように撫で回す二本の筆の穂先の無数の毛。その動きの一つ一つが凄まじい稲妻となって鈴音の身を激しく震わせ、桃色の悲鳴を上げさせる。
 めしべのすぐそばに息づく秘めやかな出口の奥では、細い棒状の刷毛の細かい毛が狭路の壁面と女の恥ずかしい水門を執拗にくすぐり、恥ずかしくてたまらない水の悪戯よりもさらに変質的な刺激の稲妻を、鈴音の身体に送り込み続ける。
 そしてしとどに蜜を滴らせる花びらの奥では、差し入れられた刷毛の無数の柔かい毛の一本一本が入り組んだ襞の隙間に入り込み、菫の指に操られて激しく蠢く。毛の蠢きをとらえようとするかのように、襞は勝手に蠢き、挟み込んだ毛に擦られる度に、さらに凄まじい刺激の稲妻が無数に生まれ、鈴音の全身を貫く。
 刷毛をくわえ込んだ花びらは、それもまた刷毛の毛に刺激されながら激しく震える。刷毛が前後に動き、あるいは回転するたびに、奥から溢れた蜜が飛沫となって迸る。
「鈴音さま、身体をこんなに震わせて、とっても気持ちよさそうですわ」
 菖蒲が筆を動かしながら感嘆の声をもらす。
「まだまだこれからですわ。足腰が立たなくなるまで手入れしてさしあげなければならぬのですから」
 菫はそう言いながら、妖しげな刷毛をなおも激しく動かし続ける。
 鈴音は菫の言葉を聞いて不安にかられた。今ですら足腰が立ちそうにないというのに、これ以上されたら二度と歩けなくなってしまうのではないか。そして何よりも、この変質的な快感に身体を半永久的に狂わされ、彼女たちの指と唇がなければ生きていけない身体になってしまうのではないか。
 凄まじい桃色の嵐の中で、鈴音は思い当たった。かつての巫女の霊力を失ったこの村が、なぜこれほどの人口を維持していられるのか。
 妖怪を制する力を持たぬ者が村を遠く離れて人里に降り、新たな娘と共に村へ戻る事など不可能だ。ならば村に新たな娘を迎え入れるためには、鈴音のように何らかの理由で村を訪れた娘、あるいは旅の途中で仲間とはぐれ、妖怪に追われてこの村に迷い込んだ娘を新たな民とするしかない。
 村にいる若い娘のほとんどは、今の鈴音と同じように女の恥ずかしい部分に恥ずかしい快感を送り込まれ、その虜となった者たちなのだろうか。
 だとしたら、揚羽は?
 彼女もまたこの者たちに、このような変質的な責めを……。
 鈴音の脳裏に、菖蒲と菫に絡まれた揚羽の姿が浮かんだ。恥ずかしい快感の嵐に必死に耐えつづける揚羽の切羽詰まった吐息とかん高い悲鳴、そして普段は見せる事のない妖艶な表情。
 鈴音の胸が熱く高鳴った時、一際高い桃色の津波が揚羽の姿を飲み込んだ。
「だめぇっ、これ以上されたら、もう、あそこが、あそこがぁっ」
 激しく叫びながらガクガクと身を震わせる鈴音。もう限界だった。女の最も恥ずかしい部分から執拗に送り込まれ続ける女の恥ずかしい快感の津波に鈴音の身体は何度も打ち上げられ、身体がバラバラになりそうだった。
「あああああぁぁっ!」
 巨大な波が鈴音の理性を粉々に砕いた。
 鈴音はかん高い悲鳴を上げながら、桃色の風が渦巻き続ける深い闇の中へと落ちて行った。


戻る