ミニメロン作品

お嬢様学園生活
第5部 学園の秘密

5-6 手紙
夕日に照らされた古めかしい校舎を出て寮への道を歩きながら、美雪はこれからどうすべきか迷っていた。
美雪がこの時間にこの道を通る事ははじめてだった。
いつもは保健室で、お嬢様だけの特訓を受けている時間だった。
そして、美雪はこの道を一人で通る事も、はじめてだった。
寮から学校に行く時は、いつも恵子が一緒だった。
そして学校から寮に帰る時には、一日の日課の中で絶え間なく受け続けていた恥かしく悩ましい教育の激しさにに耐え切れず気を失ってしまい、目を覚ました時にはすでに寮の部屋に戻っていて、部屋に集まっていた生徒たちからさらに激しく体中を悪戯され続ける事が多かった。
また、意識が残っている場合にも、他の生徒数名が美雪をエスコートしていた。
帰る前に保健室で飲まされた大量の水とそれに含まれる薬は、恥かしく耐え難い女の子の欲求をもたらす。
全身をめぐりながら薬の効果により下腹部に導かれた羞恥の水による絶え間のない悪戯に必死に抵抗するか弱い女の子の出口を少しでも応援するために、そして別な薬のもたらす激しい疼きによる桃色の炎によって恥かしい涙を流しながら美雪のはしたない指の動きによる妖しい刺激を待ちわび誘っている敏感な花園の耐え難い切なさを少しでも慰める為に、その恥かしい場所へと手を持って行こうとすると、エスコートの生徒たちはその手をつかまえ、美雪を左右から挟んだ二人の生徒が美雪の手をそれぞれ自分の肩に回す。
二人はそれぞれ片手で美雪の手を捕まえたまま、もう片方の手で美雪の無防備になった脇腹をお仕置きと称して激しくくすぐるのだ。
そして他の生徒たちもそのお仕置きに加わり、制服の上から、あるいは制服の中へ手を入れて、それまでの学校生活の中で把握していた美雪の我慢できないポイントに指を当てて妖しく動かし、美雪に甲高い悲鳴と笑い声を上げさせるのだ。
美雪の女の子の部分が内なる水の執拗な悪戯についに負けてしまった恥かしい証しのぬくもりを感じ、そのぬくもりが足を伝い地面に水溜まりを作と、ぬくもりに包まれながらもそのぬくもりとは別の蜜を溢れさせて激しく疼いている敏感な部分を一人の生徒の指が濡れたパンティの上からなぞるのだ。
指の動きは強弱を付けながら美雪の喉から甲高い悲鳴と恥かしい喘ぎ声を絞り出しながらも、美雪が絶頂の高みに駆け上がろうとするとその動きが意地悪く弱まる。
そして、他の生徒たちはなおも激しく美雪の身体をくすぐりながら美雪の耳元で美雪のはしたなさを囁くのだ。
敏感な花園の刺激と執拗なじらし、そして全身へのくすぐりと耳元で囁かれる言葉の一つ一つに美雪は顔を赤らめ恥かしい声を上げながら身を震わせた。
そして全身から送り込まれる激しい嵐の切なさの中で美雪はついに気を失ってしまうか、あるいはそのまま寮の部屋まで連れて行かれ、さらに激しく妖しい責めの宴がいつ果てるともなく続くのだった。
今、美雪はその道を一人で歩いている。
これから自分がどうするかは、自分が自分で選択しなければならないのだ。
明日になれば、フィメール・スピリットの交渉役と会う事になる。
「あなたはこのまま身体を弄ばれ、その恥かしい刺激の悩ましさに懸命に耐え続けながら生きていきたいと思うか?」
恐らく交渉役はそう問うだろう。
美雪は学園の正門のそばに立つ銅像を見上げた。
最初の登校の時に恵子と二人で見上げた、「学園のお嬢様」と題された銅像だった。
それは、可憐な女の子の本来の笑顔を装いながらも、身の内から湧き起こる女の子の恥かしい欲求の激しく耐え難い悩ましさに必死に耐え続ける、理想の「お嬢様」の姿だった。
それは、男たちににとっての理想の女性像、あるいは女性に対する男たちの妄想の代表となりうる姿なのだろうか。
恥かしい刺激や欲求に対して敏感でありながらも、それらのもたらす激しい悩ましさに笑顔で静かに懸命に耐え続ける女の子に、ほとんどの男は夢中になってしまうのだろう。
フィメール・スピリットは、船に残されていた美雪の意識を使って、船の男たちの妄想が女性にとって決して受け入れる事のできないものであるという事を証明して見せたいのだ。
質問に対して「ノー」と答えれば、それが証明された事になる。
もしもそうなれば、これまでこの船で公然と行われていた行為は女性に対する虐待であり、フィメール・スピリットとしては許す事ができないというのだろう。
船を破壊すれば人工の女性たちも消滅する事になるが、それは同時に男たちによる虐待からの解放をも意味する。
たとえその虐待が自分たちの住む場所までは及ばない事が分かっていても、ちょっかいを出さずにはいられないのだ。
彼女たちにとっては、それが正義というものなのだから。
それでは「イエス」と答えれば、交渉役は船に危害を加えず去っていくのだろうか。
そして自分は男たちの恥かしい妄想の世界で女の子の恥かしい悲鳴と喘ぎ声を上げながら恥かしい姿を披露し続け、男たちに奉仕しながら生きていく事になるのだろうか。
――生きていく?
美雪はその言葉に疑問を感じた。
本物の美雪が生きていたのは千年前。
今はもちろん生きているはずはない。
今存在している自分の意識は船のコンピュータに記憶されたデータに過ぎず、自分の身体も脳も、その実体はどこにも存在しない。
この状態を、果たして「生きている」と言えるのか。
また、そう言えないのであれば、別な言葉では何と表現すればよいのか。
寮の玄関の扉を開くと、すぐ向こうに制服を着た小柄なお嬢様が立っていた。
美雪が帰省した日、寮の階段で会った、あのお嬢様だった。
「どうやら本当の事を聞かされてショックが大きいようね」
彼女の可愛らしい顔には普段と変わらない無邪気な笑みが浮かんでいた。
「あなたも、男たちを悦ばせるためのプログラムなの?」
「そうよ。ソフトハウスで開発されてから今まで、何千人もの男たちを何度も誘惑し、悩殺し、悦ばせてきたわ。今この瞬間にも、顔や性格を変えたあたしの分身たちが何人もの男たちを相手にしている。あなたが今見ている私は、私の存在のごく一部よ」
「恥かしくはないの?」
「それは相手の男にもよるわ。相手が恥かしがり屋の女の子が好きならば、顔を見つめられるだけでもとっても恥かしいし、逆に自由奔放な子が好きな人が相手なら、何をされても平気よ。私は一人一人の客の特性をしっかりと学習しているから、知っている相手ならパラメータの選定はこちらの判断でほとんど完璧だわ。今こうしている間も、私のある分身は男の人に見られる恥かしさにたまらず泣いているし、ある分身は男に弄ばれる事を大いに楽しんでいるわ。逆に男をいじめて泣かしている分身もいるわよ」
「あの、そうじゃなくて、本当はどうなのかと聞いているのよ」
美雪の質問に、お嬢様は首をかしげた。
「もういいわ」
美雪はこの事についてこれ以上尋ねる事をあきらめ、話題を変えた。
「それより、あたし、交渉が無事に済んだらどうなるのかしら? もしかして消されてしまうの?」
「無事に済まなければ、確実に消されるわ。この船ごとね。無事に済んだら、あなたがどうなるかは分からない。私が決めるわけではないから。でも、あなたは多分消されないわ」
「どうして分かるの?」
「そこを開けてみれば、あなたにも分かるわ」
お嬢様は、美雪のレターボックスを指差した。
美雪が開けると、中にぎっしりと詰め込まれていた白い封筒の一部が外へこぼれた。
「部屋へ帰ってゆっくり読むといいわ」
封筒を拾い集める美雪にそう言い残すと、お嬢様は階段の方へ消えていった。

美雪の部屋に、恵子の姿はなかった。
机の前の椅子に座ると、鞄の中に詰めた手紙を机の上に広げ、その中の一枚を取り上げた。
封筒の表には美雪の名前が、裏の隅にはアルファベットと数字で構成された文字列が書かれている。
封を切り、印刷文字の並ぶレターペーパーを取り出した。

『美雪さん、はじめまして。美雪さんが恥かしい授業を受けている姿を、いつも拝見させて頂いております。
美雪さんが女の子の恥かしい欲求に身悶え、周りの女の子たちからくすぐられながら笑い悶える姿や、悪戯されながらさらに恥かしい声を上げる姿が可愛くてたまりません。
これからももっともっと激しく恥かしい女の子の欲求に身悶え続けて下さい。そしてもしもボクと会う機会がありましたら、学園生活の感想などを聞かせて下さい。
僕の名前ですが、現在この船の男性は、正式な名前を持っていません。生まれた時には封筒の表に書かれているような番号が与えられます。けれども人が仲間同士で互いを呼ぶ時には不便なので、仮の名前をよく使います。今使っている名前で呼んでくれてもよいのですが、あなたと会う時が来るまでに、あなたがボクを呼ぶための、もっとかっこいい名前を考えておこうと思います。
それでは、これからも頑張って下さい』

美雪は他の封筒もいくつか開けてみた。
文面はさまざまであったが、美雪が女の子の恥かしい欲求に身悶えている姿を見るのが大好きだという事、これからももっとそうして欲しいと思っている事などは、いずれの手紙にも共通していた。
これまで男子禁制で女の子ばかりと思っていた学園での美雪の生活が、実は美雪の知らないうちに多くの男たちによって公然と覗かれており、自分が女の子の欲求に身悶える姿を見られ、桃色の悲鳴や激しい喘ぎ声を聞かれてしまったと思うと、恥かしくてたまらなかった。
しかもファンレターを送ってきた百人程度の男性は、美雪の痴態を見た男性の中の、ごく一部に過ぎないとすると、美雪は何百人、いや、もしかすると何千人もの男たちに恥かしい姿をさらしてしまった事になるのだ。
そして彼らはそれを見ながら、男の悦びに浸っていたのかもしれない。
胸の鼓動が高鳴り、顔が恥かしさで火照っているのが自分でも分かった。
そして、足の付け根の恥かしい部分もまた熱く疼いていた。
美雪は手紙を読みながら、いつの間にかスカートの中へ片手を差し入れていた。
敏感な部分をパンティの上から指でなぞると、桃色の刺激にビクッと身体が震えた。
その刺激がもっとほしくてたまらなくなり、激しく指を動かす。
指が敏感な部分を通り過ぎるたびに身体がのけぞる。
熱いぬめりがパンティから染み出し、指を濡らす。
――ああっ、こんな事しちゃだめっ。今でも男の人たちが見ているかもしれないのに……。
美雪は恥かしさに指を離したが、一度点った炎は次第に熱さを増し、さらなる刺激を求めて熱く燃え上がっている。
美雪はついにたまらなくなり、妖しい桃色の炎に誘われるまま指を動かす。
「あうっ……ああっ……」
大好きな部分に触れた指の動きによる恥かしい刺激の稲妻が美雪の全身を震わせ、恥かしい悲鳴を上げさせた。
そしてその度に、指の動きとそれのもたらす刺激は少しずつ強く激しくなる。
そしてさらに激しい刺激が欲しくてたまらなくなる。
その欲求が限界に達した時、美雪はパンティの船底の脇から中に指を差し入れていた。
「はうっ、あっ、ああああっ!」
蜜の中で鋭く尖った敏感なメシベに指を這わせ、悲鳴と共に激しくのけぞる。
幾つもの桃色の稲妻が美雪の身体を走り抜け、美雪の理性を砕いていく。
恥かしい部分を悪戯する快感に悲鳴をあげ身悶えるのが恥かしくてたまらないのに、さらに激しく指を動かすのを止めることはできない。
いつの間にか美雪は片手に持っていた手紙を机の上に置くと、その手を制服の内側へと滑り込ませた。
そして、ブラジャーの前ホックを外し、片方の乳房を手で包んだ。
乳房を緩やかに揉みながら固く尖った先端の蕾を指で転がす。
「あああっ……」
乳房と蕾から湧き起こった快感が、パンティの中の敏感な部分から放たれた稲妻と混ざり合い、さらに大きなうねりとなって恥かしい声を上げさせた。
この部屋で恵子や他の生徒たちに体中の敏感な部分を悪戯された時の悦びを、美雪の身体はしっかりと覚えている。
どこをどう触ればどのように感じるのか、美雪にははっきりと分かっていた。
美雪の指は、美雪に恥かしい悲鳴を上げさせようと巧みな動きを繰り返していた。
やがて両手の指の触れている部分からひときわ熱い波が同時に放たれ、美雪の理性を完全に焼き尽くした。
「ああっ、もうだめぇ、もう……ああああぁぁぁっ!」
美雪は巨大な波に打ち上げられ、天の高みへと昇り詰めていった。
喘ぎ叫びながら身体をガクガクと震わせ続けた後、やがてぐったりと動かなくなった。
椅子にもたれたまま、激しく息を弾ませる。
しばらくして、さきほど机の上に置かれた手紙をもう一度取り上げてみた。
手紙の後ろの方に、先ほどまではなかった文章が新たに加わっていた。

『今の、とっても良かったです。今度はみんなから責められる姿をもう一度じっくりと見てみたい』

「美雪ちゃん、お嬢様なのに、とってもいやらしいのね」
突然背後から聞き覚えのある声がした。
びっくりして振り向くと、美雪のすぐそばに、さきほど玄関で会ったお嬢様が立っていた。
美雪のクラスメートの一部や恵子、それに他の何人かのお嬢様たちも一緒だった。
「これで分かったでしょ? あなたはとっても人気者なの。だから彼らのリクエストに応えている限り、絶対に消されることはないわ。リクエストどおり、今度はあたしたちが可愛がってあげる」
お嬢様の言葉と共に、美雪の制服が次第に薄くなり、肌が透けて見え始めた。
それと同時に身体が椅子から離れ、ゆっくりと宙に浮かんだ。
「いやっ、何をするのっ!?」
美雪が思わず大声を上げたときには、美雪は一糸まとわぬ生まれたままの姿で手足を大の字に広げ、空中に横たわっていた。
手足を閉じようとしても、身体は全く動かない。
美雪を取り囲んだ生徒たちの片手には、いつの間にか大小さまざまな筆が握られていた。
何本もの筆を見た美雪の顔に怯えの色が浮かぶ。
その怯えに気付かないかのように、生徒たちは片方の手で美雪の身体を撫で回し、もう片方の手で美雪の体中に筆を這わせる。
「あふぅっ、いやぁっ……」
全身を撫で回すいくつもの手や筆の動きが美雪の身体に桃色のさざ波を送り込む。
胸の膨らみを手で軽く撫でられただけでその先端の蕾が固く尖ってしまう。
そしてその蕾を筆の穂先が包み、執拗に弄ぶ。
細い無数の毛の一本一本が小さく敏感な蕾を撫でる度に、その部分に熱い波が湧き起こる。
別な筆が太腿を這い上がり、美雪の最も恥かしく敏感な部分へと到着した。
ぐっしょりと濡れそぼった花びらを指がかき分け、筆が内側を撫で回す。
「ああっ、いやぁっ!」
激しい悲鳴と共に美雪の身体がガクガクと痙攣する。
だれにも邪魔する事のできない筆の動きはますます激しさを増し、ついに一本の筆の穂先が固く尖った敏感なメシベをとらえた。
「いやぁっ、あっ、あっ、ああああぁぁっ!」
筆の穂先が激しく蠢き、無数の毛がメシベを撫で回す。
か弱いメシベに生まれた幾つもの稲妻が美雪の身体を貫き、激しい悲鳴と喘ぎ声を上げさせる。
全身を這い回る手と筆もそれに負けまいとして動き続ける。
腋の下や脇腹、背中、腕、首筋、腹、臍の周り、太腿、お尻、そして足の裏。
いたる所を手と筆が撫で回している。
それらの手と筆の動きは、単独でも美雪の身体をゾクゾクと震わせ悩ましい声を上げさせるのに十分なほどの巧みさだった。
それらが同時に美雪の全身を悪戯しているのだからたまらない。
全身から送り込まれる熱く妖しいさざ波が美雪の理性を確実に溶かしていく。
もう気が狂う、と思った時、体中を這い回る手と筆の動きが激しさと複雑さをさらに増した。
今まで一つの方向に動いていた一つの手の5本の指が、開いたり閉じたりを繰り返しながら美雪の敏感な肌を滑り続ける。
筆の動きもこきざみに動く方向を変え、一瞬先の動きさえ予想できない。
指も筆も美雪をさらに身悶えさせようと、我慢できないポイントを求めて這い回り続けている。
「いやぁ……お願い……もうやめて……あうっ、ああっ……」
今や美雪は全身を這い回る指と筆の動きの一つ一つに激しくのけぞりながら、悲鳴と喘ぎ声を上げ続けている。
そして、巨大な波に打ち上げられ、もう少しで天の高みへと昇り詰めそうになった時だけ、全身を撫で回す動きが意地悪く弱まるのだ。
「お願い、お願いよ……ああっ……」
美雪が失望に震えながら悲鳴を上げると、生徒たちの一人が美雪の耳元でささやく。
「ふふっ、もしかして、もっとしてほしかったのかしら?」
美雪が激しく横に首を振ると、一人の生徒が美雪の固く尖った胸の蕾をつまんでその固さを確かめ、別な一人が美雪の恥かしい花園からしとどに溢れた蜜を指にすくい取り、その指を美雪の目の前に見せつける。
開いたり閉じたりする指の間に、ねっとりとした蜜が糸を引く。
恥かしさに顔を背けた美雪の耳元で、美雪の胸の蕾を指で転がしていた生徒が、なおも巧みに指を動かしながら囁く。
「美雪ちゃんはウソつきね。お嬢様なのにこんなに乳首固くしちゃって。おまけにあそこもグチョグチョに濡らしちゃうなんて、とってもいやらしいのね。本当はもっとしてほしかったに決まってるわ。こういうはしたないお嬢様には、たっぷりお仕置きしてあげる」
そして彼女たちは指と筆をなお一層激しく動かし、美雪の全身をくすぐるのだ。
足の指を手でつまんで開かせ、その間にも筆が入り込み、執拗に責め立てる。
「きゃはははは、やめて、お願い、もうやめて、きゃはははは……」
美雪はたまらず身を震わせ激しい笑い声を上げる。
「やめてほしければ、自分がとってもいい子だっていう事を、自分の身体で証明するのよ」
笑い悶える美雪の耳元で一人の生徒が意地悪な言葉を囁く。
しかし、固く尖っていた乳首は全身のくすぐりによってさらに固さを増し、恥かしい花園からは熱い密がさらに激しく溢れ、絨毯の上にポタポタと落ちる。
激しい笑い声が底をつき、身悶え疲れた体をピクピクと痙攣させながら今にも気を失いそうになった時、くすぐりの手の動きが弱まり、妖しい愛撫へと変わる。
その動きのもたらす桃色のさざ波が、やがて美雪に恥かしい喘ぎ声を上げさせ、再び高みへと押し上げるのだ。
妖しい小波と激しいくすぐりの嵐が何度も美雪の身体を通り過ぎた後で、一人の生徒が美雪の敏感なメシベを口に含んで吸い上げそよがせると同時に、指でくつろげた花びらに筆の穂先を這わせ、激しく動かした。
「はうぅ、ああっ、いやぁ、ああっ、お願い、もう、もうだめぇ、ああああぁぁぁぁっ……」
激しい桃色の悲鳴と共に美雪の身体がガクガクと震え、花園から送り込まれる巨大な波が、全身からの波と合わさって一つになり、ついに美雪を天の高みへと突き上げた。
何度も何度も激しくのけぞり甲高い悲鳴を上げた後、やがてぐったりと動かなくなった。
目を閉じて激しく弾む息を整え、気が付くとベッドの上に静かに横たわってた。
いつの間にか生徒たちの姿は消え、美雪は再び部屋の中で一人だった。
枕元に一枚のレターペーパーが無造作に置かれている。
それを取り上げた。
夕日は沈み、薄闇が部屋を包み込もうとしていたが、書かれている文字はなんとか読む事ができた。
『今のも、すごく良かったです。ボク、今のを見ながら彼女に世話してもらって、何度もイッちゃいました。すごく気持ち良かったです。いつか会って一緒にお話ができる日を楽しみにしています』
美雪は今の恥かしい身悶えを、少なくとも一人の男に覗かれていた事の恥かしさに顔を赤らめながら布団で裸の身体を隠し、身を縮めた。
――彼女がいるのに私の恥かしい姿を見て楽しむなんて……。
そう思いかけて、美雪ははっとした。
「彼女」というのは、本物の女の子ではないのだ。
いくら彼に最適なやり方で接していても、本物でない事は彼にとって動かぬ事実なのだ。
美雪のような、本当の女の子の精神を持ち本当の女の子であった記憶を持つ女の子は、ここでは貴重な存在なのだ。
たとえそれが本物の身体を持たない幻のような存在であったとしても。
手紙を書いてくれた男の子は、自分を必要としているのだ。
だから自分はこの世界で生きていける。
もしもだれからも必要とされなければ、即座に消されてしまうだろう。
美雪は静かに目を閉じた。
眠るのにはまだ早い時間だったが、とにかく眠りたかった。
眠りを妨げるかのように頭の中に浮かぶさまざまな考えに、美雪は眉根を寄せた。
それでは自分はこれから生きていくためには、恥かしい妄想に取り付かれた男たちのために奉仕しつづけなければならないのか。
自分の為に自由に生きる事はできないのか。
もし仮にここが現実の世界であったとしても、他人に尽くさなければ生きていけない事には変わりはない。
学校では先生や周りの友達に気に入られ、就職をした後は会社の人たちに気に入られ、結婚したら旦那に気に入られるように常に気を配らなければ生きていけないのだから。
自分が本物の女の子に近いという理由だけで気に入られるこの世界の方が、もしかしたらかつて自分の住んでいた現実の世界よりも生きやすいのかもしれない。
いずれにしても、今となってはこの世界で生きていく努力をするしか選択の余地がない事は明らかだった。
そしてその第一歩が、明日に迫った交渉なのだ。

流線形の薄い翼の上になめらかな膨らみを盛り上げた黒色の宇宙艇が、慣性飛行を続けながら星の光にうっすらと銀色の姿を浮かび上がらせる巨大な球体に向かってゆっくりと進んでいた。
窓はどこにも見当たらず、外側から宇宙艇の内部をうかがう事はできない。
それにもかかわらず、艇内の若い女性たちは星の光に満ちた宇宙の中にいて、艇の外の様子を見渡すことができた。
彼女たちはみな赤い服とマントで肌を隠している。
さらにそのうちの一人は、顔全体をも模様の描かれた黒い仮面で隠し、外から見えるのは目だけであった。
一人、先頭の操作盤の前にパイロットの女性が座り、他の4人は互いに向き合って見えない床の上に立ち、小さな声で話をしている。
仮面の女性もその中にいた。
パイロットの目の前に、銀色の船の壁が広がっていた。
球体の壁の丸みがほとんど認識できなくなり、彼女たちを取り囲む宇宙とその壁との境目が文字どおりまっすぐな地平線となった時、壁に小さな黒い点が現れた。
それと同時に、宇宙艇がゆっくりと向きを変え始めた。
壁の黒点が壁に反射した艇の姿である事が分かる程度の大きさになった時には、船の壁は横とも下ともつかない角度に傾いていた。
それがちょうど水平になった時、彼女たちはその壁の上に立っていた。
そこは、山もクレーターもない銀色の小惑星さながらの光景だった。
次の瞬間、彼女たちは真っ暗な部屋の中にいた。
窓はなく、外の様子など全く見ることのできない闇の中に数少ない座席が並び、彼女たちはシートベルトで身体を固定されていた。
全員身体に密着した薄型の宇宙服を身につけ、透明な宇宙ヘルメットをかぶっている。
やがて彼女たちを取り囲んでいた壁と天井が後部を軸にゆっくりと起き上がるようにして開き、室内を星の光が照らした。
顔を見せている女性の中の、パイロット以外の3人のうち2人が、仮面の女と共にシートベルトを外し、宇宙服の首の後ろに取り付けてあったプラグを外して立ち上がった。
プラグから伸びた細いケーブルは、座席の背もたれに繋がっていた。
立ち上がった女性たちは、マグネットシューズを慎重に密着させながら艇の翼の上を歩き、船の壁の上へと降り立った、
壁の上に赤い光の線で表示された正方形の中に彼女たちが入ると、その正方形の部分がゆっくりと下に沈み始めた。
彼女たちの身体が完全に船内に入ったところで、新たな壁が彼女たちの頭上に開いていた正方形の穴を塞いだ。
跳ね上がるようにして開いていた艇の上部も元に戻り、艇内に残った2人は再び意識を別な空間へと移動させた。
2人の周りには、宇宙艇の周りの様子が映し出されていた。
彼女たちは船の壁の上の見えない椅子に座り、その場に異変が起こらない事を祈りつつ、辺りを注意深く見回しながら、仮面の女たちの一行の帰りを待ち続けていた。

エレベータの中が酸素の含まれた空気で満たされた事を宇宙服のセンサーで確認すると、仮面の女たちは宇宙ヘルメットを外した。
そして、透明な壁の外に現れた光景を眺めた。
身体を失った男たちを収納した棚が淡い光で照らされた空間に連なり所狭しと並んでいる。
巨大な生物標本室を思わせる不気味な光景が広がっていた。
「彼らは自分たちのこの姿の事を、知っているのでしょうか」
一人の女性がだれにともなくつぶやいた質問に、仮面の女が答えた。
「教育の過程で、一度は見せられるはずよ」
「彼らがもしも女だったら、きっとショックでしょうね」
別な女が呟いた。
「もしかすると、案外そうではないかも」
仮面の女の意外な言葉に、2人の女が振り向いた。
「私たちも医療施設に行けば、内臓の写真の一つや二つは目にするわ。それらは見ていて気持ちのいいものではないけれど、だからと言って自分たちが醜い生き物だと常に思う理由にはならない。この船の中に彼らと一緒に閉じ込められ陵辱され続けている女たちに比べれば、彼らは真なる生物の姿をかろうじて保っているだけ、まだ美しいと言えるかもしれないわ」
「いやらしい妄想に耽っていなければね」
やがて外の景色が再び見えなくなり、ほどなくエレベータは停止した。
扉が開くと、その向こうには小さな部屋があった。
飾り気のない青い壁で囲まれた部屋の中央に、肘掛け椅子が一つ置かれていた。

青い壁の部屋に入った3人の女たちの姿が教室の黒板に映し出されていた。
仮面の女が椅子に座り、背もたれから伸びたケーブルの先を首の後ろの辺りに差し込むのが見えた。
「あの人は……ロボット?」
美雪は黒板に向けた目を大きく見開いた。
「ちがうわ。彼女たちはマイクロマシーンによって脊髄神経の一本一本に微小アンテナを取り付けてあるの。宇宙服と神経との間で無線通信をする事によって、この世界に入ろうとしているのよ」
美雪の座る席の隣に白衣姿で立っていた寺沢先生が答えた。
仮面の者の身体が椅子の中でぐったりと動かなくなった時、教室の扉の向こうに人影が現れた。
扉が開き、その人物が教室に入り、美雪の前に立った。
「あなたが、新井美雪ね」
若い女性の声だった。
もちろん、彼女の本当の声かどうかは分からない。
しかし美雪は、仮面のせいでくぐもったその声の主を、よく知っているような気がしてならなかった。
美雪は仮面を見つめながら、だまって頷いた。
仮面の主は、寺沢先生に顔を向けた。
「それじゃ、約束通り、美雪と二人きりにして頂けるかしら」
「ええ、いいわよ」
寺沢先生はそう答えると、美雪の肩に手をかけた。
「それじゃ、また後で会いましょう。無事に済んだら、またたっぷり可愛がってあげるわ」
先生は席を立ち、教室を出ていった。
「あの人、とってもいやらしいのね。工学博士とはとても思えないわ」
「寺沢先生は、人間なんですか?」
先生の出ていった扉の方に顔を向けたまま呟いた仮面の女に、美雪が静かに聞いた。
「人間だった、と言うべきね。寺沢博士もあなたも、それに恵子やその他ごく少数の生徒たち、すなわち寺沢博士の研究に協力した事のある女の子たちも、今や人間どころか生物ですらないわ。でも、あなたが私に従う事を約束しさえすれば、人間の身体を取り戻すことも可能なのよ」
「もしも私が拒否したら?」
美雪の言葉に、仮面の女は大きく見開いた目で美雪の目を見つめた。
仮面のせいで表情は見えないが、その瞳は美雪のある種の決意の浮かんだ表情に、わずかに震えていた。
しばしの沈黙の後、仮面の女が静かに口を開いた。
「そんなはずはないわ。あなたは必ず私についてくるはずよ。私は、あなたの事なら何でも分かるもの」
「どうして?」
美雪の問いかけに、仮面の女は意外な言葉を口にした。
「なぜなら……私はあなただから」
「あなたが……私?」
美雪は目を大きく見開き、笑った。
しかし笑いながら見つめる相手の目は、笑っていなかった。
その眼差しに見つめられながら、美雪の笑いが徐々に引いていった。
ここ数日、体験した事や知った事は、これまでの自分の常識では信じられない事ばかりだ。
だから、今もまたここで新たに知る事実がどんなに意外なものであってもおかしくはないのだ。
恐らく本物の美雪は家出した後何らかの理由でフィメール・スピリットと接触し、彼女たちと共に地球を飛び立ったのだ。
その後光速航行が行われていれば、それによって時間のズレが生じたのかもしれない。
しかし吉沢先生の話から考えれば、航行速度としては、むしろ彼女たちの方が遅かったはずだ。
すなわち、男たちの船の時間が彼女たちの時間に比べて早く進んでいたとは、考えられないのだ。
だとすると、やはり今はもう本物の美雪が生きているはずはない。
「そう。私は、あなたなの。今、証拠を見せてあげる」
仮面の女の言葉と共に、それまで普通の黒板に戻っていた黒板に再び映像が映し出された。
椅子にぐったりと沈み、静かに目を閉じている仮面の女。
その仮面が、彼女のそばにいた女性のうちの一人の手によって外された。
「そ……そんな……」
美雪は仮面の下から現れた女の顔を見た。
そして、息を飲んだ。
椅子に座っている女の顔は、まぎれもなく美雪の顔だった。
年月の経過を感じさせない、皺一つない若いままの美雪の顔がそこにあった。
そして、教室に立っていた仮面の女もまた自分の仮面を外し、美雪とそっくりな素顔を見せた。
「そんな……どうして……」
席に座ったまま目を見開いていた美雪は、驚きと混乱とでそれ以上言葉が続かなかった。


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