――ここはどこ? どこへ行くの?
美雪は漆黒の闇に中を落ち続けていた。
いや、本当はただ浮かんでいるだけかもしれなかった。
自分がどこにいてどこへ向かっているのか、全く分からない。
やがて眼下に広がる空間に、町並みがぼんやりと見え始めた。
――そうか……あたし、夢を見てるのね。
美雪はぼんやりとそう思った。
美雪の身体はその中の一軒の家に向かってゆっくりと近づきつつあった。
そこは、美雪がついさっきまでいたはずの、自分の家だった。
美雪の身体は壁を通り抜け、2階にある美雪の寝室へと入った。
もう一人の美雪がベッドの上でスヤスヤと眠っている。
そして1階の茶の間では、二人の女がお茶を飲みながら何かを話している。
「うそ、どうしてあたしがもう一人いるの? それに、どうしてママとあの人が一緒にいるの!?」
美雪は思わず大声を上げたが、二人の女に聞こえた様子はなかった。
ふと、壁のカレンダーが美雪の目に入った。
「……ここは……過去の世界……?」
美雪が自分の部屋で自分の恥かしい部分を悪戯しているのを偶然目撃してしまった次の日の夜中、美雪のママ・杏子は一人の女を自宅へ招いていた。
寺沢理奈だった。
「あなたとこうして会うの、何年ぶりかしら」
杏子が茶の間のテーブルの前に座っている寺沢にお茶を差し出しながら、言った。
「確か、高校卒業以来、私たち全然会ってなかったわね」
寺沢はお茶を飲みながら続けた。
「あなたは潔癖症だったから、私の事、軽蔑してるのかと思ってたわ。そのあなたが私よりも早く結婚してたなんて、さっき聞いた時はびっくりしちゃったわ」
「潔癖症だなんて。あなたの方がおかしいのよ。女の子なのにあんな事……しかも同じ女の子に……。それに、私はちゃんと正式に見合いをして結婚したのよ。私を育ててくれた親や家のためにね」
「それじゃ、結婚したのは自分の意志ではないって言うの?」
「そうよ。女は本来家のために結婚するものよ。自分の欲望に従って男性へついて行くなんて、女として恥ずべき事だわ」
「そうかしら。私には納得できないけど……ま、年頃の子供が自分でしたくらいでこんな時間に人を呼び出す人なら、仕方がないか。ところで、私に相談したい事って、どんな事かしら?」
杏子は箪笥から新聞を取り出し、寺沢に見せた。
『究極のウソ発見機、研究継続に対し批判の声高まる』
1年ほど前の日付の紙面の隅に書かれたその見出しに、寺沢の視線が吸い寄せられる。
「世の中にこんな物があったなんて、初めて知ったわ。でも、もっと驚いたのは、この研究にあなたが関わっていたという事よ」
杏子は記事の中に書かれた一人の人物の名前を指差した。
それは、寺沢が現在勤めている大学の有名な教授の名前だった。
「あたしは別に関わってなんかいないわ。今私のいる研究室は全然別だから……」
「そうかしら。それじゃ、これでも関係ないっていうのかしら?」
杏子はさらに箪笥から一冊の英文雑誌を取り出し、中ほどのページを開いた。
『Information Extraction from Personal Natural Neural Networks Using a Genetic Algorithm』と題された論文の著者名欄に、Rina Terasawa の名前があった。
「あなた、潔癖症ついでにとっても勉強家なのね。もしかして、美雪ちゃんをこの機械にかけろって言うのかしら?」
「そうよ。あの子、なぜ昨日あんな恥かしい事をしていたのか、何も話さないの。だから、この機械でそれを突き止めて欲しいの」
数時間後、寺沢の車が杏子とぐっすりと眠り続ける美雪を乗せて、ある大学の駐車場に到着した。
杏子は美雪を抱きかかえて車を降り、先導する寺沢に付いていく。
普段はあまり使われない狭い通路の壁に寺沢が指で複雑な文様を描くと、その壁が音もなく二つに割れ、地下へ続く階段が現れた。
階段を降り、曲がりくねった通路を進んだ先は、行き止まりになっているかのように見えた。
「さっきも言ったけど、この実験室は現在立ち入り禁止なの。あたしたちがここに来た事、教授や他の関係者に知れたら大変なの。だからこの事は、誰にも言わないのよ」
寺沢は杏子に念を押した後で、再び壁に文様を描いた。
壁が静かに開き、その向こうの部屋の明かりがついた。
大小さまざまな装置類が所狭しと並んでいる。
その部屋の中央に置かれた装置には、ビニール製の椅子が埋め込まれていた。
杏子が美雪を椅子に座らせると、寺沢は美雪の胴体をベルトで固定した。
そして椅子に備え付けられていたポケットから注射器を取り出して美雪の首に中身を注入した後、美雪の頭に巨大な帽子のような装置をかぶせてスイッチを入れた。
そして、その他の、部屋に置かれた全ての装置のスイッチを一つ一つ入れていった。
静かだった部屋に、装置の冷却ファンの音が低く響き始めた。
作業が終わった所で、部屋の隅に置かれた机の前で杏子に椅子を勧め、自分も別な椅子に座った。
机の上の端末の画面にメッセージが流れ、やがてそれが止まった。
「システム起動、問題なし。スキャン処理開始!」
寺沢がキーボードを叩くと、画面上にモノクロの映像が次から次へと映し出された。
無数の皺の走る白く丸い岩、そして何本もの腕で周りの仲間と結びつくアメーバのような原生生物……。
それらはいずれも人間の脳の映像だった。
「読み取りが終わるまで少し時間がかかるから、究極のウソ発見機と言われたこのシステムについて、もう少し詳しく説明してあげる。さっき美雪ちゃんの身体に注入したのは、これからしばらくの間目を覚まして動いたりしないための睡眠薬と、特殊神経造影剤。一定時間神経細胞に取り付いて、ある特定の放射線を吸収するの。それによって、神経細胞の一つ一つの像をはっきりと撮影する事ができるわ。そうして得られた画像データをこの部屋の大部分を占拠しているコンピュータで解析して、それぞれの細胞の種類と細胞同士の接続強度に関する情報を取り出すっていうわけ」
「何分ぐらいかかるかしら」
「このペースだと、あと1時間ぐらいかしら。退屈だったら、帰ってもいいわよ。結果は後で教えるから」
「いいえ、1時間ぐらいだったら、ここにいて結果を見届けるわ。美雪がなぜあんな事をしたのか考えてたら、今帰っても眠れないでしょうから」
寺沢は目を閉じ、首をゆっくりと横に振った。
「1時間であなたが望んでいる結果が出るわけじゃないわ。ただ美雪ちゃんの脳の物理的状態の読み取りが終わるだけ。本当に大変なのは、その後よ」
「どういう事かしら」
「脳における記憶の仕組みは、まだ完全には解明されていないわ。脳の神経細胞がそれぞれどの程度の強さで結びついているかを知ったところで、それが何を意味しているかを直接導き出すのは、少なくとも今の科学では到底無理な話なの。だから、読み取ったデータをシミュレータに組み込んで質問を繰り返す事によって、こちらが望む情報を引き出さなければならないの。相手が口の固い人だったら、それこそ永久に分からない場合もあるのよ」
杏子は寺沢の後に続いて、奥のドアを通った。
四角い箱が整然と並べられた金属の棚が何重にも取り囲んでいる場所に、円筒刑やY字形やその他の奇妙な形をした巨大な物体がいくつも置かれているのが見える。
「脳のシミュレーションには高速な計算機が必要なの。ここに置いてあるコンピュータは、気象庁や研究機関、それに外国の軍のお下がりを特別に引き取って寄せ集めたものよ。いずれも現在の最高速マシンではないけれど、何台も同時に動かせば、必要な計算速度をなんとか確保できるわ」
寺沢の言葉が終わると同時に、さきほどの部屋の机の上の端末のアラームが鳴った。
「読み取りが終わったようね。そろそろ始めるわよ」
二人は再び机に戻った。
寺沢がキーボードを叩くと、画面中央に『シミュレーション端末起動中』の文字がしばらく点滅した後、幾つもの単語が画面いっぱいに表示された。
「ここに表示されているのは、これから始める取り調べのパターン。この中から一つ以上を選ぶわけだけど、どれがいいと思う?」
杏子は画面に表示されている単語を見て目を丸くした。
『鞭打ち』『指詰め』『毒虫地獄』『人間サッカー』……。
「もしかして、この『鞭打ち』っていうのは……」
「御想像のとおりよ」
「美雪を鞭で叩くっていうの?」
「本物の美雪ちゃんじゃないわ。今読み取ったデータに基づいて作り上げた、もう一人の美雪ちゃんよ。それに、正確には鞭とは限らないわね。進化の仕方によっては木刀や金属バットの場合もありうるわ」
「進化?」
「そう。一回の取り調べで望む答えを得られなければ、取り調べパターンを修飾しているパラメータを変化させて、シミュレーションを繰り返すの。それもただランダムに変えるのではなく、生物が進化するために遺伝子を組み替える過程に似せた方法でね。それによって、美雪ちゃんから情報を引き出すのに適したパラメータの組み合わせを探索するの」
「要するに、もう一人の美雪は、これから世にも恐ろしい拷問を何度も受けるっていうわけね。それならどんな秘密も喋らずにはいられないわね」
「ところが、そう簡単にはいかないわ」
「どういう事?」
「ここに用意されている取り調べパターンは、ほとんどが男性用なの。女性の場合、男性に比べて痛みに強いから、痛みを与えるパターンは通用しない場合が多い事が分かったのよ。それから研究凍結までの間、女性用として開発された取り調べパターンは、この3つだけよ」
寺沢は画面の隅でマウスポインタをぐるぐると回した。
そこに書かれた3つの単語を見て、杏子は叫んだ。
「こ……これが、『鞭打ち』や『指詰め』よりも激しい拷問だっていうの!? 笑わせてくれるじゃないの」
「そうよ。本当に笑わせてくれるわ。でも、女の子はこれをされると長くは耐えられないわ。昔の日本でも本当に行われていた拷問よ。それに、これなんかも女の子にとってはとっても辛いし、それに抵抗する仕種をするのも、それに耐え切れなくなる事もとっても恥かしいし、それに潔癖症のあなたは経験ないかもしれないけど、これなんかも女の子にとってはたまらないものだわ」
寺沢は3つの単語を一つ一つマウスポインタで指しながら説明した。
「とにかく、今までのデータからは、女性に対してはこの3つのパターンを組み合わせるのが最も有効らしい事が分かってるの」
「説明は分かったから、さっさとはじめてよ」
「ただ、言っておくけど、どれだけ時間がかかるか、あるいは本当に答えを引き出せるかどうかは誰にも分からないわよ」
寺沢は、3つの単語の近くに存在するそれぞれの選択欄にチェックマークを入れ、「開始」ボタンをクリックした。
美雪は真っ白な部屋の中に手足を広げた状態で固定されていた。
身体を支えるものは何もないはずなのに、身体は宙に浮き、手足が目にみえない何かにしっかりと固定されていて、動かそうとしても全く動かない。
一糸まとわぬ生まれたままの姿の美雪を囲むように、3人の女が立っている。
可愛らしい顔に意地悪な微笑みを浮かべた黒いレオタード姿の彼女たちは、好奇心に溢れた瞳を美雪に向けている。
美雪はさきほどから、身体を小刻みに震わせ、可愛らしい顔を時々辛そうに歪める。
「ん、んああぁぁ……」
切ない悲鳴が可愛らしい口から微かに漏れる。
「ふふっ、美雪ちゃん、気分はどう?」
女の一人が美雪の辛そうな顔を覗き込みながら聞いた。
「お、お願い、あたし、と……トイレに行きたいの……」
恥かしい答えが美雪の口から迸る。
美雪が懸命に力を込め続けているの女の子の部分は、内なる恥かしい水の力に苛まれながらも懸命に耐え続けていたが、そのか弱い女の子の力はもはや限界だった。
「そう。それじゃ、あたしたちの質問に答えてくれたら、トイレに行かせてあげる」
女はそう言うと、美雪の今最も辛い女の子の恥かしい部分を掌で包んだ。
「ここを自分の指で悪戯した事、あるのかしら?」
「……そ、そんな恥かしい事、聞かないで……」
美雪はあまりの恥かしさに顔を背けた。
「だめよ。答えなければ、トイレには行かせないわ」
女の口調はうっとりとした落ち着いたものだったが、言葉は冷酷だった。
「そ……そんな……」
美雪はさらに強くなる意地悪な水の力に必死に抵抗しようと、恥かしい部分に渾身の力を込める。
すると、身体がガクガクと震えてしまうのだ。
それが恥かしくてたまらないのに、どうする事もできない。
「もう一度聞くわ。ここを自分で悪戯した事は、あるのかしら?」
「な……ないわ」
美雪の言葉に、別な女が反論する。
「嘘をついてもだめよ。あたしたち、あなたが昨日そこを自分で悪戯してたっていう事ぐらい、知ってるんだから」
「も……もうだめ、もう漏れそう……」
美雪は、必死に抵抗し続ける女の子の部分が、大いなる自然の力に今にもこじ開けられようとしているのを感じていた。
「ここで漏らしちゃだめよ。もしも漏らしたら、あたしたち全員であなたの全身をこういうふうにしてあげる」
女は美雪の腋の下に手を当て、指を蠢かせた。
「きゃはは、やめて、お願い……きゃはははは……」
美雪は女の指のもたらす妖しい刺激に、たまらず笑い始めた。
美雪が声を上げるたびにお腹に力が入り、内なる水に押された女の子が悲鳴を上げる。
必死に笑いをこらえようとするが、指の動きに身体が勝手に反応し、思わずお腹に力が入ってしまうのを、どうする事もできない。
ただ一箇所でさえこれほどくすぐったいのに、3人に全身をくすぐられてはたまらない。
「分かったわ。あるわ。あるから、もうやめて……」
美雪の言葉に、女の手が腋の下から離れた。
「最初から素直にそう言ってくれれば、時間を無駄にしないで済んだのよ」
「は、早く……トイレへ……」
美雪は女の子の辛さに身を震わせ眉をきつく寄せながら、3人の女に懇願した。
美女たちは、美雪のその表情としぐさが可愛くてたまらないといった表情で、美雪を見つめていた。
「もう一つ、あたしたちの本当の質問に答えてからよ。昨日、ここを自分で悪戯していた理由を教えてちょうだい」
美雪の恥かしい所に手を当てていた女が歌うような口調で質問した。
「理由って何なのよ!」
美雪は女の子の部分に押し寄せる激しい欲求に身を捩りながら叫んだ。
「だれから教わったのか、それとも、だれかに何かをされて、そういう事をしたい気分になっちゃったのか、教えてくれないかしら」
女は美雪の叫びに対して質問を変えた。
「ま……ママに頼まれたのね。あたし、絶対に言わないわ……」
美雪は激しく泣き続けるかわいそうな女の子の部分に渾身の力を込めた。
「言わなければ、ずっと我慢してなければならないわよ。それとも、あたしたちに全身をくすぐってほしいのかしら」
女の言葉に合わせて、他の女たちが美雪の身体に手を伸ばした。
腋の下や腰、胸、腹などに指を這わせ、激しく蠢かせる。
美雪はその刺激に再び身悶え激しい笑い声を上げた。
お腹に力が入り、その力が内なる水の意地悪な力をさらに強めた。
「きゃはははっ、ああっ……もうだめぇ、あああぁぁぁ……」
美雪が甲高い悲鳴を上げた瞬間、女の子の部分から恥かしく熱い水が噴出した。
「やだぁ、この子、もう漏らしちゃったわ」
「ホント、可愛い顔してこんな所でしちゃうなんて、信じられないわ」
美雪は女の子の最も見られたくない瞬間を見られてしまった衝撃と女たちの恥かしい言葉に顔を赤らめながらも、激しく吹き出す恥かしい水の噴流を止める事ができなかった。
水はその部分を覆っていた女の手を濡らし、美雪の脚を伝って床に落ちる。
やがて水の勢いが少しずつ治まり、止まった。
「ふふっ、いっぱい出したわね。私の手、美雪ちゃんのオシッコでぐっしょりよ。こういう子には、徹底的にお仕置きしてあげる」
彼女が言い終わると同時に、美雪の身体を弄んでいた女の子の手の動きが激しくなった。
一つの手が脇腹を揉むように刺激したかと思うと腋の下をまさぐり、別の手が首の辺りから腕の方へ、そして背中へと指を滑らせる。
もう一人もまた片方の手で腰の辺りを揉むように刺激しながらもう片方の手でお尻や太腿へと指を滑らせる。
「きゃはははお願い、やめて、もうやめて、きゃははははは……!」
美雪は美しき拷問官たちの指の動きから必死に逃れようと身を捩ろうとするが、彼女を拘束している目に見えない何かは決してそれを許そうとしない。
それをいい事に、美女たちの指はなおも激しく蠢き走り回る。
時には肌に深く食い込み奥の神経を転がして稲妻を起こし、時には触れるか触れないかといった軽さで触れながら這い回り、皮膚の表面にさざ波を立てる。
それらの刺激の一つ一つが美雪の身体の中で混ざり合い、激しい嵐となって荒れ狂う。
「きゃははは、だめぇ、もうだめぇ、きゃはははは、もうやめて、きゃはははは……」
「やめてほしければ、私たちの質問に答えるのよ」
美雪の恥かしい水で手を濡らした女が笑い悶える美雪の耳元でそっと囁く。
「いやぁ、お願い、もうだめぇ、きゃはははは……」
美雪は女の言葉には答えず、激しく笑い悶え続けている。
「ふふっ、強情な子ね。それじゃ、もっともっと可愛がってあげるわ」
彼女の言葉と同時に、美女たちのくすぐりの手が急に止まった。
狂おしい嵐から解放された美雪は辛そうに目を閉じ激しく息を弾ませた。
そして再び目を開いた時、女の片手にはいつの間にか、小さな塗り薬のチューブが握られていた。
濡れた指にねっとりとした透明な薬を乗せ、美雪の目の前に近づける。
「ふふっ、どんな潔癖な女の子でも、これを女の子の敏感な所に塗られると、そこに恥かしい刺激を受けたくてたまらなくなるの。ましてあなたのようなはしたない子がこれを使われたら、どんな事になるかとっても楽しみ。覚悟はいいかしら」
女は妖しい笑みを浮かべながら、美雪の顔を覗き込んだ。
「そんな……いやぁ!」
美雪の怯えた顔を楽しみながら、女は指を美雪の女の子の部分へと近づけ、ついに敏感な花びらに触れた。
「いやぁっ!」
女の子の秘めやかな部分をまさぐられる恥かしさと、これから自分を責め苛むであろう未知なる刺激に美雪は叫んだ。
女はそんな叫び声など聞こえないかのように、美雪の花びらやメシベを指先でまさぐり、妖しい薬をたっぷりと塗り込んでいく。
「ふふっ、これだけ塗れば十分でしょう。どんな声をあげるかとっても楽しみ」
女が指を離した時、美雪はもう女の言葉を聞く余裕などなかった。
女がまさぐっていた部分に虫の這うようなむず痒さが生まれ、敏感な花びらやメシベを這い回っている。
そのむず痒さは、花びらに隠された中心の奥までをも疼くような痺れに悩ませる。
まるで無数の昆虫たちが蜜を求めて花に群がり、舌を伸ばして奥をまさぐっているかのようだ。
必死に耐えようとしても腰が勝手に蠢き、花の奥からは、塗られた薬とは別な透明な蜜が溢れ、太腿の付け根を濡らしている。
そして、もっともっと激しい刺激がほしくてたまらないのだ。
その欲求は妖しい炎となって燃え上がり、美雪の全身を包み込む。
切ない部分が勝手に蠢き恥かしい涙を流しながら泣きじゃくっている。
もしも両手が自由に動かせたら、泣きじゃくっている恥かしい部分を思いっきりまさぐりたかった。
少しでもその部分に触れれば天の高みに昇りつめてしまいそうなのに、それができない悲しさに、今にも気が狂いそうだ。
「ふふっ、美雪ちゃん、今の気分はどうかしら?」
女が美雪の耳元で歌うように囁く。
「お願い……あたし……もう……ああっ……」
美雪の口からうわごとのような喘ぎ声が漏れる。
恥かしい部分に渦巻く激しい欲求に、目を開けている事もままならず、まつげを切なげに震わせている。
溢れた涙が頬を濡らす。
「ふふっ、可愛い顔が涙でぐしょぐしょになっちゃうわよ。なんで泣いてるの? お願いって何? どこをどうしてほしいのかしら」
女は美雪の耳元で、恥かしい質問を繰り返している。
「はうっ、んっ、ああっ……」
美雪は女の質問には答えず、身体をのけぞらせながら激しい欲求に必死に耐え続けている。
「黙ってたら分からないわ。何とか言いなさいよ」
女は妖しい笑みを浮かべながら、美雪の胸の膨らみの蕾を指で転がした。
「あふぅっ、ああっ、もっと……」
「そう。これがいいのね。もっとしてほしいのね」
美雪は喘ぎ声を上げながら、激しく頷いた。
「あなたって、とってもいやらしいのね。ここ、こんなに固くなってるわ」
「い、いわないで……ああっ……お願い、やめないで……」
美雪は敏感な蕾を転がされながら、激しい悦びの悲鳴を上げ続けた。
しかしその刺激は同時に、薬を塗られた女の子の部分に渦巻く欲求をさらに熱く燃え上がらせるのだった。
「ああっ、お願い、ねえ、お願い……ああっ……」
いつの間にか、美雪は再び恥かしい部分の激しい欲求に悲鳴を上げ続けていた。
「ふふっ、ここをいじられるだけではものたりなくなっちゃったのね。いいわ、それじゃ、もっともっと楽しませてあげる」
女の言葉と同時に、乳首を責めていた刺激が消えた。
とっさに目を開いた美雪の前に、3人の女が両手に大小さまざまな筆を持って立っていた。
「これで、もっともっと可愛がってあげるわ」
女の言葉と同時に、6本の筆が美雪の柔肌に触れた。
さきほどまで乳首を弄んでいた女の持つ筆が、美雪の乳首を執拗にくすぐり、妖しい魔力を持った刺激を送り込む。
その刺激に反応して、固い乳首がフルフルと震えながらますます固く尖っていく。
さらに他の女の筆は脇腹や背中、お尻、腰、お腹、そして蜜でぐっしょりと濡れた太腿などを這い回り、彼女たちの唇や舌も美雪の身体の敏感な箇所に吸い付きながら動き回っている。
それらのもたらす妖しい刺激は美雪の身体の中で渦巻き、太腿の付け根の恥かしい部分を這い回る欲求と混ざり合い、激しい嵐となって美雪を悩ますのだった。
それでいて、女たちの筆も唇も、最も肝心な女の子の悲しい敏感な部分には全く触れようとしない。
少しでもその部分に触れられれば、今にも天の高みへと舞い上がってしまいそうなのに、どうする事もできないのだ。
「はうっ、いやぁっ、お願い、あたし……ああっ」
美雪は女の子の恥かしい部分の激しい欲求に身悶えながら、悲鳴と喘ぎ声を上げ続けている。
それがたまらなく恥かしいのに、どうする事もできない。
身を捩りながら何かを叫んでいなければ、今にも気が狂ってしまいそうだった。
「ふふっ、お願いって、何? 正直に言ってごらん」
女が美雪の耳元で再び歌うように囁く。
しかし、考えるだけでも恥かしいその欲求を口に出す事など、うら若き乙女にはできるわけがない。
「ふふっ、黙ってるっていう事は、このまま続けてほしいのね」
女たちの筆や舌、唇の動きが激しくなった。
乳房を撫でたかと思うと敏感な蕾を弄ぶ筆、全身を激しく這い回る筆と舌と唇。
激しく吹き荒れる風のようなその動きに、美雪の悲鳴がより一層高くなる。
そして、激しく悶えながら蜜を溢れさせ続ける恥かしい部分。
太腿を撫でていた筆が上の方へ這い上がってきても、その肝心な部分に触れる寸前で再び遠ざかってしまう意地の悪さに、美雪は思わず叫んだ。
「そこ、もっと上よ、お願い、ああっ、お願い……」
「もしかして、ここかしら?」
美雪の耳元で囁いていた女が、一本の筆を美雪の太腿の付け根の最も切ない部分に軽く触れさせた。
「ああっ、そこよ、お願い、お願い、もっと……」
美雪は恥かしさに苛まれながらも、その言葉を口にせずにはいられなかった。
しかし、筆は再び上の方へと遠ざかり、美雪の胸の膨らみと蕾を刺激し続けるのだった。
「いやぁっ、お願い、お願い、もっとして……」
「それじゃ、美雪ちゃんが私たちの質問に答えてくれたら、してあげるわ。昨日、あなたが今とってもたまらない部分を自分の指で悪戯していたのは、どうしてかしら?」
「そんな……あふぅっ……そんな事……あぁっ……」
美雪は激しい欲求に身を捩りながらも、それ以上答える事なく、切なげに目を閉じながら必死に耐え続けた。
「そう。答えないつもりね。でも、いつまで耐えられるかしら」
言いながら、彼女は美雪の胸の膨らみを、筆でさらに激しく刺激した。
そして、他の二人の女は、片方の筆をさらに激しく動かしながら、今度はもう片方の手の指を美雪の身体に這わせ、激しく動かした。
「いやぁ、だめぇ、きゃははははは……」
指の動きのもたらす激しいくすぐったさに、美雪は激しく身悶え笑い声を上げた。
恥かしい部分に熱く燃え上がる恥かしい欲求の妖しい炎、そして全身を這い回る筆の妖しい刺激、そして指による激しいくすぐったさ。
凄まじい嵐に美雪の理性はもう限界だった。
「ああっ、もうだめぇ、お願い、ああああぁぁぁ……」
ついに美雪は甲高い悲鳴を上げながら激しく身体を震わせ、やがてぐったりと動かなくなった。
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