レズ汁 〜ミダラーナ帝国の淫謀〜 |
街並みには障子張りの二階建ての建物が並んでいた。 それぞれの建物の壁の前に広がるホログラムの看板の文字は、シルキー、シルヴィア、セシルの三人にはほとんど意味不明であったが、背景の色彩の艶やかさから、それらの建物のほとんどが淫らなサービスや物品を提供する店である事は何となく理解できた。 障子張りの籠を思わせる乗用飛行艇が飛び交う道の上空にも広告のホログラムが浮かび、淫らな形状をした携帯電話やそれに関連するサービスについてアピールしている。 そして街を歩く人々は、ほぼ全裸であった。皆、ユキと同じように、女の部分にこの国独特の女性専用の携帯電話を装着している。 全裸で街を歩くのは、シルキー、シルヴィア、セシルの三人にとって初めての事だった。 最初は人目が気になって仕方がなかったが、街を歩く人々が皆全裸であるためか、大勢の人々の視線が三人に集まる事はなかった。 むしろ、服を着ていた方が逆に目立ってしまうだろう。 「ちょっと、何なのあれは、彼女たちは一体何をやっているの?」 思わず声を上げたシルキーが指さす先では、道の真ん中で二人の女が人目もはばからずに互いの身体を密着させ、唇を合わせていた。 よく見ると、二人の腰が小刻みに震えているのが分かる。 恐らく二人の装着した携帯電話が女の部分の奥深くで激しく蠢き、彼女たちの身体に淫らな刺激を送り込んでいるに違いない。 通りかかった人々の中には、立ち止まって彼女たちをまじまじと観察しながら、腰を小刻みに震わせている者もいる。 彼女たちばかりではない。 辺りを見回すと、道の至る所で女同士が互いに身を寄せ合い互いの身体を撫で回したり唇を合わせたりする光景が見られる。 「見てのとおり、愛し合っているのですわ」 ユキが落ち着いた声で答えた。 「こんな真っ昼間から、こんな道の真ん中で? 海外旅行は初めてではないけれど、こんなにエロい街、見た事がないわ」 日中の路上の至る所で繰り広げられる淫らな光景にも、それらについて日常的な当たり前の営みであるかのように語るユキの落ち着きぶりにも、シルキーは驚きを隠せなかった。 シルキーだけではない。 全裸で街中を歩く人々や、彼女たちの淫らな仕草に、シルヴィアもセシルも並々ならぬ異常さを感じていた。 それはミダラーナ帝国の人々にとっては当たり前の日常であるが、ユキにはその当たり前を、当たり前と思わぬ異国の人々に説明する必要があった。 「サイバーエクスタシーに限らず、この国のほぼ全ての企業は業務内容を人工知能により完全自動化しています。それによって、人間は本来人間が行うべき行為に集中する事ができるのです。つまり、互いに愛し合い女の快感を貪る事に。そしてその姿を鑑賞し、賛美する事に」 上空から小さな紫色の球体が何個か飛来し、抱き合う二人の女を取り囲むように漂い始めた。 その様子を確認しながら、ユキは説明を続けた。 「彼女たちが愛し合う姿は街の至る所を浮遊するマイクロカメラで撮影され、ネット配信されます。撮影された映像は人工知能によって様々なキーワードが付加され、人々は携帯電話を使ってそれらの映像を自由に検索して閲覧する事ができるのです。もちろん映像に写る人物も自動識別され、映像のアクセス回数に応じた報酬が彼女たちの口座に振り込まれます」 「会社の業務が完全自動化されているなら、ミカ・サイトウはどのような仕事を?」 シルヴィアの質問に、ユキは答えた。 「国家の外交政策の支援ですわ。来るべき次期世界大戦を未然に防止するために、サイバーエクスタシーの製品を世界に広める。それが、我が国の女王陛下の提唱する世界平和政策。もともと女王陛下の侍女の一人であった彼女が現在サイバーエクシタシーの人間である事も、その政策の一環なのです」 「世界平和のために、国際協定違反の製品で外国の人々から戦う気力を奪うというわけ?」 シルキーのその指摘に対しても、ユキは臆する事なく答えた。 「その国際協定は、戦いに勝つ事を何よりも美徳とする男たちの価値観に基づく宗教的思想によって作られたものです。そしてあなた方の国は隣国のゴーリカ帝国との間で宗教的な思想の違いをめぐっての対立が続いていると聞いています。あなた方の信仰する神は、人が互いに愛し合う事よりも、戦いによって殺し合う事の方を良しとするのかもしれませんが、私たちにはそのような信仰はありません。信じるものがあるとすれば、女だけが体験する事のできる大いなる愛の悦び。それこそが私たちの生きる喜びなのです。あなた方が敵国の民を殺す事によって得る物。それは本当に女の喜びと命を犠牲にして得るだけの価値を持つのでしょうか」 「それは……」 シルヴィアには返す言葉がなかった。 確かに、人間同士が互いに愛し合うよりも戦って相手を倒す事を良しとする考えは、男たちがこの世にいた時代の、男たちの価値観なのだ。 しかし、この世から男たちが消えた現在もなお、ほとんどの国の国民たちは、男たちの作った価値観に縛られて生きている。 もしも今生き残っている女たちが過去の男たちの価値観に縛られず、女だけが感じる事のできる淫らな快感を謳歌しながら生きる事ができれば、世界はもっと平和になるのだろうか。 ユキが一軒の建物の前で足を止めた 「着きました。ここが私のお気に入りのレストラン、崇快楽です」 シルキー、シルヴィア、セシルの三人は、壁の前を覆うように広がるホログラムの看板を見上げた。 『御食事所 崇快楽』 『女体盛り、ドリンク類(聖水・シロップ)、各種あります』 女体盛りがどのようなものかは想像できなかったが、聖水は恐らく栄養ドリンクのようなものと推測できた。 建物の中に入ったユキ、シルキー、シルヴィア、セシルの四人を、ウェイトレスらしき和服姿の女性が出迎えた。 先ほどのユキの説明ではあらゆる業務が自動化されているとの事であったが、少なくとも一部の接客業はどうやら人間が行なっているようだ。 「いらっしゃいませ。4名様ですね。こちらへどうぞ」 「さすがにこの時間だと、他の客はいないようね」 ユキは店内を見回して正直に呟いた。 ――ちょっと変わってるけど、結構まともな制服だわ。 シルキーは、ケッペキーナでは見慣れない服装でありながら、一応ウェイトレスが服を着ているのを見て少しだけ安心した。 服装がまともなのだから、出てくる料理もまともなものかもしれないと。 しかし、4人が和室に通された時、テーブルの上に浮かび上がっていたメニューを見たシルヴィアは眉をひそめた。 お姫様ランチ、お姉様ランチ、お嬢様ランチ、女王様ランチ…… シルキー、シルヴィア、セシルの三人は、メニューに書かれた意味不明な名前の料理が果たしてどのようなものなのか、想像できずにいた。 「ご注文はお決まりでしょうか」 ウェイトレスが4人の前にお茶を置きながら尋ねた。 「私は「お姫様ランチ」を」 ユキがさっそく注文を伝えた。 どうやら彼女はその料理がどのようなものか分かっているようだ。 「それじゃ、私たちもそれで……」 そう言いかけたシルキーを、シルヴィアが遮った。 「いいえ、私たちはもう少し考えさせて頂きますわ」 「隊長」 シルヴィアの方に顔を向けたシルキーに、シルヴィアは自分の意見を述べた。 「ここはケッペキーナではないのよ。どんな料理か様子を見た方がいいわ」 4人はひとまずウェイトレスに出されたお茶を飲みながら、ユキの注文した料理が来るのを待った。 しばらくすると、先ほどのウェイトレスとは別な女が部屋に現れた。 彼女の和服の胸元は大きく広げられ、露になった胸の頂きの蕾の周りには小さな卵のようなものが取り付けられている。 それらの卵は激しいモーター音を上げながら、彼女の胸の蕾に淫らな刺激を与え続けているようだ。 彼女はそう言うと、テーブルの上にふくよかなお尻を載せ、ユキの前で太腿を大きく広げた。 「お待たせ致しました。お姫様ランチになります」 シルキーは彼女のその大胆な行動に目を見開いた。 「こ、これがランチ?」 「思ったとおりだわ」 シルヴィアも眉をひそめて呟いた。 「それでは、まずは媚薬入り栄養剤と胸とオサネのローターの刺激でじっくりと煮込まれたメインディッシュから頂きますわ」 ユキは女の足の付け根の女の花園から伸びるストローのうちの一つを口に含み、吸い上げた。 「ああっ、いいわぁ! 襞の奥で這い回る無数のストローに蜜を吸われるのって最高!」 テーブルの上の女はのけぞりながら、自分の女の秘めやかな部分の奥で起こる淫らなストローの動きを大声で叫ぶ。 彼女の悲鳴とのけぞる姿は女の淫らな歓びに満ち溢れていた。 思わず顔を赤らめ目を背けるシルキー、シルヴィア、セシルの三人であったが、ランチのお姫様の淫らな悲鳴は三人に先ほどの入国検査を思い出させ、三人は自分の女の部分の淫らな動きを抑えるのに必死だった。 三人が女の淫らな欲望に必死に耐えている間、ユキは一人、お姫様ランチを存分に愉しんでいた。 「次は食後の紅茶ですわね」 ユキはランチのお姫様の女の花園から伸びるもう一本のストローを口に含み、吸い上げた。 「ああっ、尿道の奥に差し込まれたストローで膀胱の出口を吸われるのって、気持ち良すぎて気が狂ってしまいそう!」 ユキがストローを吸う毎に、姫は甲高い淫らな歓びの悲鳴を上げ、ガクガクと身を震わせる。 「次は食後のデザートを直接頂きますわ」 ついにユキは姫の花園からストローを外し、その部分に唇を寄せた。 花園全体を唇に含み、その唇と下を激しく動かしながら、姫の女の部分を吸い上げる。 「ああん、メインディッシュと紅茶の残りを激しくなめしゃぶる舌と唇のいやらしい蠢きが気持ちよすぎてたまらないわぁ!」 ユキの唇と舌が動く度に、姫を激しく身を震わせ、甘く甲高い歓びの悲鳴を上げる。 シルキー、シルヴィア、シルキーの三人は、それまで見たことのない女同士の淫らな痴態に目を見開き、言葉を失っていた。 やがて姫のの身体がひときわ大きくのけぞり、甲高い悲鳴が和室に響いた。 「もうだめ、いくっ、いっちゃうぅっ! ああああぁぁぁぁっ!」 絶頂の歓びにガクガクと身を震わせた姫は、やがてぐったりと動かなくなった。 その後しばらくしてようやく姫が身を起こし、服装を整えた。 「それでは失礼します」 「ごちそうさまでしたぁ〜」 部屋を去っていく淫らな姫に、ユキは素直に礼を言った。 「ところで、あなた方のご注文はお決まりですか?」 ユキの質問に、シルキーが答えた。 「いいえ、あの……私たちはもう少し普通の食事にしようかと……」 「あら、今のが一番普通の料理ですのに」 「でも、あなた方の「普通」というのは、私たちの「普通」と何か違うような気がするので……」 「それでは、女の花蜜を下の口で頂くお姉様ランチや、乳腺刺激剤による胸のミルクを花蜜や紅茶と共に頂くお嬢様ランチなどはいかがでしょう。あとは、自分の溢れさせた紅茶や花蜜を口移しで飲ませて頂く女王様ランチ。それと、ランチメニュー以外では……」 ユキによる具体的な説明を聞いて、やはりこの店には自分たちの想像していた食事を取ることはできないと確信した。 「も、もう結構です。私たちは今日一日、食事は取らない事にしましょう」 「確かにそれが賢明な選択のようね」 シルキーの提案にシルヴィアも同意した。 「そんなぁ! 食事抜きだなんて……」 一人不満をこぼすセシルに、シルキーが言った。 「ママの手料理が食べたいのなら、さっさと片付けて帰るのよ」 4人はテーブルの上に置かれたお茶を飲み干すと、店を出た。 その時、シルキー、シルヴィア、セシルの三人は想像すらしていなかった。 彼女たちの飲み干したお茶には、ケッペキーナの女たちにとって恥ずかしくてたまらない二つの欲求を女体にもたらし強力に促す効果がある事を。 そして、ミダラーナ帝国の人々の美容と健康と淫らな雌の欲望と好奇心を促進するためのその凄まじい効果によって、ケッペキーナ帝国の人々が決して他人に見られたくない雌の痴態を公衆の面前で晒す事になる事を。 |
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