ミニメロン作品

レディースデー
第2部 訓練

2-5 脱出
 気がつくと、ミカは仰向けに寝かされ、見知らぬ天井を見上げていた。平らな天井全体から放たれる光が、医務室を思わせる冷たい部屋を白く照らしている。
 気絶している間に着せられたのか、ミカの身体は再びあの黒いユニタードに包まれていた。全身が漆黒の薄い布で覆われ、手は手首から先、足は足首から先だけが露出している。
 横倒しになったX字のハリツケ台の上で大きく広げた手足を拘束されているミカを、白衣を着た一人の若い女性が見下ろしていた。小さな顔を短い黒髪に包んだ彼女は、大きな瞳を悪戯っぽく輝かせている。
「気がついたようね」
 そう言いながら妖艶な笑みを浮かべる女の顔が、ミカの怯えた瞳に映る。
「こ、今度は一体何をするつもりなの?」
 ミカの声が恐怖と怒りに震えている。
「ふふっ、恐がる事はないわ。あなたには普通の授業はまだ早すぎるようだから、ここであなたのための特別授業を受けるのよ」
「特別授業?」
「そう」
 女がすぐ近くにあるデスクのタッチパネルを操作すると、部屋が暗くなり、天井に映像が映し出された。ミカがさきほどまでいた教室の風景だった。
 壁際に寄せられていた机や椅子は元に戻され、薄手の制服に身を包んだ生徒たちが座り、授業を受けている。
 よく見ると、彼女たちは時折顔を歪め、小刻みに身体を震わせている。まるで何か凄まじい感情を必死に堪えているかのようだ。
「分かるかしら。今、彼女たちは授業を受けながら、必死に耐えているのよ。さっきあなたが飲めなかったドリンクのもたらす凄まじい尿意にね」
 ミカは何も言えず、ただ息を飲みながら映像を食い入るように見詰めるばかりだった。
 そんなミカの表情を確かめながら、白衣の女は先を続ける。
「しかも、あなたや彼女たちが身に着けているレオタードには、ちょっとした仕掛けがしてあるの。とっても面白い仕掛けがね」
 女が妖しく微笑ながら、再び机のタッチパネルを操作する。
 次の瞬間、ミカが身を振るわせながら悲鳴を上げた。
「いやぁっ、何? 何なのこれはっ!」
 ミカの全身が、凄まじい刺激の波に飲み込まれていた。身体にぴったりと密着したユニタードの下で無数の指が這い回っているような感覚に、全身を痙攣させる。
「きゃははは、だめぇ、いやぁっ、きゃははははは!」
 全身が指の刺激の蠢きに覆いつくされ、ミカはたまらず甲高い悲鳴と笑い声を上げる。
 脇腹、腋の下、背中、腰、お腹、お尻、太腿、脹脛、全身の至る所を執拗にくすぐられ、それぞれが別な生き物であるかのようにビクビクと震えている。
 笑い歪んだミカの顔に妖しい笑みを浮かべた顔を近づける白衣の女。
「ふふっ、くすぐったくてたまらないでしょ。やめてほしいでしょ。それに耐えるのも女スパイとしての訓練の一つなの。しかも彼女たちは、今すぐにでもオシッコがしたくてたまらない。けれども授業が終わるのはあと約3時間後。それまでずっと我慢し続けなければならないの。今のあなたと同じように、唯一身に着けている制服に全身をくすぐられながらね。けれどもあなたはまだ全身をくすぐられながらオシッコを長い間我慢する事が苦手なようね」
「そ、そんなっ、当たり前よっ、きゃはははははぁ、だめぇ、やめてぇっ、きゃはははは!」
 ミカは女の言葉にまともに取り合っている余裕などなかった。全身を這い回る妖しすぎる刺激を一刻も早く何とかしなければ、気が狂ってしまいそうだ。
「だから、あなたには別な事に耐えてもらうわ」
 女がまたも机のタッチパネルを操作した。凄まじい刺激の蠢きに包まれたミカの身体の中で、かろうじて刺激の到達を免れていた秘めやかな場所、足の付け根の中央を包む布地の部分にひとりでに切れ目が入り、左右に開いた。
 ミカの大きく開いた足の間に腰を降ろした女の目の前に、ミカの薄い茂みに包まれた秘密の花園が露わになる。顔を近づけた女の息が茂みを揺らす。
「お願い、見ないで、いやぁっ、何するのよっ! きゃははははぁ!」
 必死に抗議しながらも、全身のくすぐりに激しく笑い悶え続けるミカ。
 女の最も恥ずかしい部分を間近に見られているだけでも恥ずかしくてたまらないのに、白衣の女はその恥ずかしい茂みを指でかき分け、割れ目をくつろげる。
「ふふっ、あなたのここ、すごく濡れてるわ。ほら、もうこんなにぐしょぐしょ」
 歌うように囁きながら、割れ目に触れた指をミカの目の前に持って行く白衣の女。人さし指と中指を開いたり閉じたりすると、絡み付いた透明な蜜がねっとりと糸を引く。
「いやっ、いやぁっ! きゃはははは!」
 恥ずかしい証を絡み付かせた指から顔を背け、なおも激しく笑い悶えるミカ。
「ふふっ、これだけぐしょぐしょなら、準備は万全だわ。さっそく始めるわよ」
 女がタッチパネルを操作すると、開いていたミカの股間の布が再びひとりでに閉じ合わされた。切れ目は跡形もなく消え去り、いままで開いていたのが嘘のように、継ぎ目のない漆黒の布に戻った。
 次の瞬間、ミカが甲高い悲鳴を上げていた。
「いやぁっ、何か、何か入って来る、何? いやぁっ!」
 たった今閉じ合わされた、恥ずかしい花園を包む布から、細い糸のような物が無数に伸び、割れ目を触手のようになぞりながら、中へと浸入してきたのだ。
 何十本という糸が秘めやかな花びらを撫で回し、別な何本かが敏感なメシベを撫でさする。
 そして、新たに伸びて来た糸の蠢きが、敏感なメシベのすぐそばに息づく狭路の出口へと侵入する。それと同時に、花びらの奧に隠されたた、濡れそぼった洞窟の入口へも、無数の糸が激しく蠢きながら這い進んで行く。
「いやぁ、だめぇ、そこはだめぇっ、ああぁぁっ!」
 秘めやかな場所に息づく女の子の恥ずかしい水の狭路から、染みのような痺れが広がって行く。同時に濡れそぼった女の洞窟では、糸に撫でさすられた襞の一つ一つがその妖しい刺激に激しく蠢く。鞘の中をくじり立てられながら全体を撫でさすられ続けるメシベは固く膨らみ、激しく震えている。
 女の子の恥ずかしい部分から広がる凄まじい稲妻に全身を何度も貫かれ、全身をガクガクと振るわせるミカ。
 その身悶えぶりを間近に眺めながら、妖艶な笑みを浮かべる白衣の女。
 やがてミカの身を包むユニタードの裾の部分に変化が生じた。それまで足首までしかなかった裾がみるみるうちに長さを増し、それまでむき出しだったミカの足先をすっぱりと覆った。
 次の瞬間、ミカは目を見開き、一際甲高い悲鳴を上げていた。
「いやぁっ、今度は何なの、きゃはははは、そんなのだめぇっ!」
 漆黒の布に包まれたミカの足の指が激しく蠢く。太腿や脹脛も激しく痙攣してる。
 さきほどまでむき出しだった足の裏と指を覆った布の内側が激しく蠢き、耐え難い刺激を送り込み始めたのだ。
 布が襞のように波打ち極細のヘビのようにのたうち蠢きながら這い回ったかと思えば、細かい無数の突起が皮膚を激しく不規則に撫で回す。
 その予測し難い布の動きの一つ一つが、ミカに甲高い悲鳴と笑い声を上げさせる。
 一方、蜜の溢れる花園の奧では、蠢き続ける糸の一本一本が、その尖端から蜜を激しく吸い始めた。
 蜜の中で尖端を壁に吸い付かせ、なおも襞の間をかき分けるかのように蠢き続ける無数の糸。
 外側でも無数の糸の尖端が敏感なメシベや花びらに吸いつきながら激しく蠢き撫でさすっている。
 布の蠢きに足を激しくくすぐられ、同時に女である部分を無数の糸に吸いつくされながら激しく蠢き這い回られてはたまらない。
 やがてミカは、布の蠢きに責め嬲られている太腿や脹脛、足の裏や指の間に細く生暖かい水流が幾つも吹き付けられるのを感じた。花園の奧で吸い取られた蜜が、幾筋もの水流となって、足全体を這い回っているのだ。
 それらの水流もまた予測不可能な蠢きを見せ、そのくすぐったさにミカの上げる悲鳴と笑い声、そして身悶えは、より一層激しさを増した。
 吹き付けられた水流は、柔肌にねっとりと貼りつき、そのぬめりの上で布がさらに激しく蠢く。蜜まみれの足を無数の細い指で撫で回されているかのような感覚が、ミカの神経を激しく悩ませる。
「ふふっ、どう? くすぐったくてたまらないでしょ? この服には、女子刑務所の囚人たちが着用する拘束衣と同じ機能が備わってるの。足を洗うための機能がね。囚人たちは、みんなこうやって悪事から足を洗うというわけ。これをされるとどんな気丈な女でも、可愛らしい声で笑い転げ続けるそうよ。でも、ここの生徒ならこれくらい平然と耐えられなければいけないわ」
 ミカは白衣の女の言葉をほとんど聞いていなかった。そんな事よりも、足のあまりのくすぐったさに、今にも気が狂いそうだった。
「だめぇ、もうだめぇ、助けて、きゃははははははぁ!」
 いっそ、このまま狂ってしまえれば、どんなに幸せだろう。
 そんな考えが脳裏をよぎった時、足を責め立てていた布の蠢きがピタリと止まった。
 ミカの身体からぐったりと力が抜ける。目を閉じたまま激しく息を弾ませるミカの顔を不審そうに見詰める白衣の女。
「い、一体何が……ん? きゃぁっ、な、何?」
 ミカが女の悲鳴に目を開けると、そこには信じられない光景があった。教室や廊下と同様に蠢くイボに覆われた床から、数本のイボが紐状に伸び、白衣の女の両手を後手に拘束している。さらに、彼女の足首にも紐状に伸びたイボが無数に絡み付き、床の上にしっかりと引き留めている。
 ミカの手足を拘束していた金属の環が冷たい音を立てて開いた。
 状況が飲み込めないまま、それでも脱出のチャンスとばかりに素早く起き上がるミカ。しかし床を埋めつくす無数のイボを見たミカは、床に降ろそうとしていた足を慌てて引っ込める。
 その拍子に床に転落しそうになったミカは、かろうじてバランスを取り直し、ハリツケ台の中央に腰かけた。
 床から伸びた綬による拘束を解こうともがき続ける白衣の女を一瞥してから、再び床のイボへ目を凝らすミカ。
 その時、上の方から別な女性の声が降って来た。
「大丈夫。今は足を床につけても何ともないはずよ」
 ミカが驚いて声のした方へ顔を向けると、部屋の中央の空間に若い女性が浮いていた。目鼻立ちの調った抜けるような白い顔に理知的な微笑みを浮かべている。緩やかにウェーブのかかった豊かな髪を腰の辺りまで伸ばし、身体にフィットしたシンプルな青いスーツに身を包んでいる。
「ミサキ!」
 ミカは目を見開き、かつての同志の名前を叫んでいた。

 あれは、ミカがリアル・メカニクスに入社して間もない頃だった。
 あの時も、今と同じように、殺風景な白く狭い部屋でベッドに寝かされ、大きく広げた両手をベッドの隅に拘束されていた。上半身は裸。そして腰から下は、二股に分かれた卵のような形状の装置にすっぽりと埋めこまれていた。
 その状態で、ミカはすでに1時間以上も激しく身悶えなから、悲鳴と笑い声を上げ続けていた。
 時折見せる、悩ましい表情。そして熱く甘い喘ぎ声。
 そんなミカの汗に濡れ光る顔を、白衣を着た若い女が間近に見詰めている。名前はミサキ・サクラギ。ミカは彼女と共に、ある刑務所から依頼された装置の開発に取り組んでいた。
「ふふっ、ミカ、今の気分はどうかしら?」
 うっとりとした表情で歌うように問いかけるミサキ。しかしミカは彼女の質問に答える余裕などなかった。
「あひぃっ、きゃははははぁ、ああっ、もうだめぇ、もうだめぇ、ああっ!」
 まともな言葉を発する事ができず、ただひたすら悲鳴と笑い声と喘ぎ声を上げながら、下半身を覆う装置によって送り込まれる激しく悩ましい刺激に悶え続ける。
 その装置こそ、二人が開発に取り組んでいる装置の試作品であった。
 性能の主観評価に先立ち社内から被検者を募ってはみたが、だれ一人として志願する者はなく、指名した者にはことごとく拒否された。そのため開発担当者たちが自ら被検者となる以外になかったのだ。
 そして今、ミカは生まれたままの下半身を装置の内部に拘束され、足を大きく開かされていた。二股に分かれた細い球形の部分の中に、ミカの足が片方ずつ固定されているのだ。
 装置の内部には、様々は太さの突起がびっしりと生えている。指ほどの太さのものもあれば、毛のように細いものもある。それらの突起の全てが不規則に蠢き、ミカのふくよかなお尻や太腿、脹脛や足の裏、そして足の指の間までをも絶え間なく悪戯し続けているのだ。
 さらに、恥ずかしい花園の奧には長く細い管のような突起が差し込まれ、激しく蠢きながら壁面や襞の間をまさぐり、そこから染み出す蜜のぬめりを吸い上げながら這い回っている。そして外側では尖端に窪みのある小さな突起が固く尖った敏感なメシベに吸い付いている。メシベを護っていた莢は窪みの縁により押しのけられ、窪みの内側に蠢く無数の細かい毛がメシベの尖端から根本までをもくまなく執拗に撫で回す。
 毛の尖端からは時折ねっとりとした蜜が噴出する。それは、花園の奧に蠢く管によって吸い上げられた、ミカの恥ずかしい証に他ならない。
 毛から噴き出す蜜の奔流はメシベを刺激し震わせ、そのぬめりは毛の蠢きによる刺激の妖しさをより一層際立たせる。
 すると、花園の奧にはさらに大量の蜜が染み出してしまうのだ。
 メシベだけではない。お尻や太腿、脹脛や足の裏で蠢く無数の突起もまた大量の蜜を噴出し、そのぬめりの中でさらに激しく蠢きながら、なお一層妖しく耐え難い刺激を送り込み続け、花園の奧に更なる蜜を湧き出させるのだ。
 女の淫らな証である蜜が渇れるまで、その蜜で足を洗い続ける。それがその装置の機能なのだ。それによって、罪を犯し刑務所に入った女たちは邪悪な犯罪から足を洗うというわけである。
「もうだめ、だけじゃ分からないわ。どこがどうだめなのか、きちんと説明してくれないと、評価にならないでしょ?」
「でも、でもぉ、ああああぁぁぁ、いくうっ、イっちゃうぅっ!」
 敏感なメシベと花園の奧に蠢く刺激が下半身の至る所から送り込まれる刺激と融合して巨大な波となり、ミカは今にも天の高みへと打ち上げられそうだった。
 しかし次の瞬間には女の部分への刺激が弱まり、絶頂の寸前で引き戻される。淫らな快感の極みを迎える事ができなかった事への激しい切なさが、たまらなく恥ずかしい。
「ほんとうにイっちゃったの?」
 美しい顔に微笑みを浮かべながら恥ずかしい質問を囁くミサキ。
 ミカは、なおも激しく足から送り込まれるくすぐりの嵐に笑い悶えながら、首を激しく横に振る。
「そうよね。もしイっちゃってたら、問題よね。絶頂を迎えさせる事なく恥ずかしい悪戯で延々と責め嬲り続けるのも、この装置に要求されている機能なんだもの」
 ミサキの言葉を聞いている余裕など、ミカにはなかった。装置の中で蠢く突起は不規則に動きを変化させながらも、指や筋肉の微妙な動きや力の入り方などに現れる反応を検知し続ける。それらのデータを分析する事により、装着者がどこをどのように責められると弱いのかを判断し、学習する事もまたその装置の重要な機能の一つなのだ。
 今までのミカの反応から検出された無数の弱点を同時に責め嬲られ、ミカはなおも激しい悲鳴と笑い声を上げ続ける。そしてその声が渇れ始める頃、花園の突起が再び妖しく蠢き始めるのだ。
「でも、もういいの。だって私はもう、ここから出て行くから」
 ミカはその言葉の意味をすぐに理解する事ができなかった。妖しさを増す刺激の嵐の中に、ミサキの言葉がかろうじて届いていた。
「やっぱりあたしには、会社務めは向いていなかったみたい。こんないやらしい装置の実験台になるのもいや。だからここを出て、ここへ来る前と同じように生きて行くわ」
 ミカは目を見開いた。「それってどういう事?」と問い掛けようとしたが、それは声にならず、激しい笑い声がミカの喉を突いて迸り続けていた。
 ミカが聞き返せない事をいい事に、ミサキはなおも先を続ける。
「みんなには内緒にしてたけど、ミカにだけは教えてあげる。私はもともとこの国の人間ではないの。ここに来る前は、外国の特殊諜報員だった。他国の政府機関や自国の中で問題のある企業などに潜入して情報を盗むのが主な任務だった。けれども自分の身を危険に晒し続けるそれまでの生活がいやになって、この国に逃げて来たの。若返りの為の手術を受けた時に、顔もこの国の人に見えるように整形したわ」
 ミカはすぐには信じられなかった。悪い冗談に決まっている。
 装置による責めに激しく身を捩らせながら、狂おしく笑い続けるミカ。しかしたとえ装置が動いていなくても、この時ばかりは笑ってしまっていたかもしれない。
「そんなに笑っているのは、私の話を信じていないからかしら。でもそんな事はどうでもいいの。とにかく私はここを出て行く。だからミカにもついて来て欲しいの。一緒に来てくれるかしら?」
 突然そんな事を聞かれても、答えられるわけがない。それに、妖しく激しい責めに耐え続けるだけで精一杯のミカに、答えを探す余裕などあるはずがなかった。
「どうかしら。答えを聞かせて」
 再び問い掛けられても、ミカはただ下半身を襲うくすぐりの嵐に、甲高い悲鳴と笑い声を上げながら、やっとの事で言葉を吐き出した。
「だ、ダメよ。あたしには無理」
 ミカは決して当時の仕事に満足しているわけではなかった。しかし、会社を辞めてまでミサキについて行くのも不安だった。彼女の話が本当かどうかも分からないし、仮に本当だとしたら、それこそ自分の身を危険に晒す事になる。
 それに、ミカがそう答える事で、ミサキが思い留まってくれる事を、心のどこかで期待していた。
 だが次の瞬間、その期待は見事に裏切られた。
「それなら仕方がないわ。私は一人でここを出て行く。でもその前に、私がここにいたという証を、ミカのこの装置に刻んでおく事にするわ」
 ミサキはミカの顔から顔を離し、椅子に座ると、装置に接続された端末のタッチパネルに指を走らせた。
「い、一体何を……ああっ、だえめぇ、きゃはははははぁ!」
 足を責め嬲る突起の蠢きが、それまでにも増して激しくなった。固く尖ったメシベに貼りつく突起はなお一層そこをきつく吸い上げ、撫で回す毛の蠢きは激しくなり、花園の奧で蜜を吸い立てる管の蠢きもまた激しさを増した。
 凄まじく妖しい刺激の嵐に身悶え、悲鳴と笑い声を上げ続けるミカ。その狂おしい声の中でもよく通る凜とした声で、ミサキは説明した。
「この装置には学習機能がある。装着者がどこをどう責められると、どのような反応を示すのか。それらのデータを利用すれば、逆に装着者がだれであるかを特定する事も可能だわ。そして、学習によって得られたデータがミカの物と一致すれば、その場所を私に報告してくれるよう設定する事もね。もちろんこれはミカの為の特別な隠し機能。もしもミカが将来刑務所に入るような事になった時、私が助けになれるように、ミカの為に追加しておいてあげる。あたしからの置き土産としてね」
「そ、そんな機能は……ああっ、きゃははははっ!」
 ミカはまともに口をきく事ができなかった。お尻や足、そして女の子の敏感な部分から送り込まれる刺激の嵐の凄まじさはミカを激しく身悶えさせ、悲鳴と笑い声となってミカの口から絶え間なく溢れ続ける。
 端末の操作を終えたミサキの顔が、再びミカの顔に近づいて来た。
「これで設定は完了したわ。最後のお別れに、私の手と唇で存分に可愛がってあげる」
 ミサキの指が、ミカの胸の膨らみの尖端の固く膨らみきった蕾に触れた。それまで何も触れていなかった敏感な部分に甘い刺激が走る。
「ああっ!」
 ミサキの指が蕾を転がす度に、ミカの身体が雷に打たれたかのように大きく震える。
「ふふっ、いい反応ね。これ、気持ちいいのかしら。それじゃ、もっともっと気持ちよくしてあげる」
 甘く囁きながら降りて来たミサキの唇が、指の触れている方とは反対側の胸の膨らみに近づき、尖端に息づく蕾を含んだ。きつく吸い上げながら、舌先で執拗に転がす。
 舌先によって送り込まれる甘い痺れに、ミカの口から甘い悲鳴が迸り、身体が痙攣する。
 さらに、片方の蕾を悪戯していた手の残りの指が胸の膨らみを軽いタッチで撫で回す。そして妖しく耐え難い甘味な刺激をひとしきり送り込んだ後、その手が無防備な腋の下へと滑り、敏感な窪みを執拗にくじり立てる。
 下半身全体を激しくくすぐられながら、敏感な乳房や腋の下をもしなやかな指先でくすぐられてはたまらない。
 花園の奧が、湧き出す蜜を吸い取りながら蠢く細管の蠢きに、再び自ら激しく蠢き始めていた。激しく恥ずかしい歓びの波がミカを何度も打ち上げる。
 しかし天の極みに達する直前で、波は再び意地悪く引いてしまう。
「きゃはははぁ、ああっ、もうだめぇ、お願い、お願い!」
 恥ずかしさと切なさに耐え切れず、ミカは激しいくすぐりの刺激に笑い悶えながら、思わずうわごとのように叫んでいた。
「ふふっ、お願いって、何かしら。もしかして、イかせてほしいのかしら?」
 ミカの胸の蕾から口を離したミサキが意地悪く質問する。
 恥ずかしい答えを口走る代わりに、ミカは首を激しく縦に振っていた。それだけでもたまらなく恥ずかしいのに、ミカの身体は女を絶頂へと導く高波への期待に激しく燃え上がっている。
 しかし、ミサキはミカのその恥ずかしい意志表示が理解できないかのように、自分の耳の後ろに手を当てる。
「え? 聞こえない。どうしてほしいの? はっきり言ってくれなきゃ分からないわ?」
 足に送り込まれ続ける刺激の嵐がミカの理性が粉々に砕き、その破片の一つ一つを花園から送り込まれる熱い歓びの波がドロドロに溶かして行く。
「イかせて、イかせてぇ、おねがいっ!」
 ミカの口から恥ずかしい欲望が激しく迸った。
「ふふっ。分かったわ。とってもいやらしいミカの身体を、もっともっといやらしくしてあげる」
 ミサキの伸ばした手がタッチパネルに触れた時、ミカの花園を這い回っていた管の蠢きが激しくなった。同時にメシベに吸いつく突起もまたそこをきつく吸い上げながら、内側の無数の毛でなおも激しく撫でさする。そしてその周りの無数の突起が敏感な花びらを激しく撫で回す。
 ミサキの唇が再びミカの乳首を含み、軟らかい舌が激しく転がす。同時に両手の指がミカのもう片方の乳房や上半身全体を撫で回し、無防備な腋の下を執拗に責め立てる。
 メシベから送り込まれる桃色の稲妻と花園の奧から溢れる快感の津波が全身から送り込まれるくすぐりの刺激の嵐と融合し、巨大なうねりとなって渦巻く。その渦に飲み込まれながら、ミカは天の高みへと突き上げられて行く。
「ああっ、もうだめぇ、もうだめぇ、あああああぁぁっ!」
 絶頂の悲鳴が部屋に響き、ミカの身体がガクガクと痙攣する。ミカの視界が桃色に染まる。全身の至る所で快感の波がぶつかり合い、激しく砕けて散っては、再び新たな波が押し寄せる。
 やがてミカの身体の痙攣が徐々に勢いを失い、疲れ切ったようにぐったりと動かなくなった。肩を激しく上下させ息を弾ませる。
「ふふっ、とっても良かったみたいね。でも、まだまだこれからよ」
 ミサキは桃色に染まったミカの顔を見下ろし妖しく微笑みながら、再びタッチパネルに手を伸ばした。
 軽い金属音と共に、装置の一部、ミカの腰を覆っていた部分が開いた。装置全体がベッドの一部と共に、後ろへ下がって行く。
 装置の中にあったミカの下腹部が、そして太腿が、脹脛が、徐々に露わになる。
 蜜に濡れ光る足全体から、そして後退する装置からも、大量のぬめりがポタポタと床に落ちる。
 その足をミサキの手がかかえ上げ、ゆっくりと床に降ろす。
 ミカの身体は腰から上だけがベッドに支えられお尻から下には支える物が何もなく、床についた自らの足がお尻と太腿の重みを支えている。
 その足もとにはミカの足から、そして恥ずかしく濡れそぼり震え続ける茂みの奧の花園から溢れ落ちた大量の蜜により、水溜まりが広がる。
 恥ずかしい花園から大量に溢れた蜜で無数の突起に洗われ続けた足は、激しく吹き荒れていたくすぐったさの余韻に力なく震え続けている。
 そのミカの太腿を両手で大きく開かせると、ミサキは床の上の水溜の上で腰を降ろした。
「いやっ!」
 ミサキの吐息が茂みと花園にかかるのを感じ、思わずミカは叫んでいた。
「ふふっ、何がいやなのかしら。本当は欲しくてたまらないくせに」
 ミカが何か言うよりも早く、ミサキは露をたっぷりと含んだ茂みをかき分け、その奧に息づくメシベに唇を寄せた。
「ああああぁぁっ!」
 舌先で転がされたメシベから全身に広がる快感の稲妻に、ミカの口から熱い悲鳴が迸る。
 さらにミサキは、濡れそぼった花園の奧に指を差し入れ、ゆっくりとまさぐるように蠢かせ始めていた。
「ああっ、ああああぁっ、それだめぇ、ああっ!」
 女の子の敏感な恥ずかしい花園の外側と内側を同時に責められ、ミカはたまらず何度も桃色の悲鳴を上げ続ける。
 そんな悲鳴など聞こえないかのように、ミサキは唇に含んだメシベをきつく吸い上げ、舌先で激しく転がしながら、花園の奧に差し入れた指を激しく蠢かせ、もう片方の手で蜜に濡れた太腿を撫でさする。
 その手は徐々に上の方へと這い上がり、やがて華奢な腰の括れへと伸びた。柔肌に包まれた敏感な神経を揉むように刺激する。
「きゃはははぁ、だめぇ、くすぐったぁい! 腰はだめぇ! ああああぁっ!」
 手足を広げたまま拘束されたミカにはくすぐりの刺激から逃れる術はなく、ただ甲高い悲鳴と笑い声を上げる事しかできない。
 それじゃ、もっと他の所を責めて上げる、とばかりに、手は腰を離れて脇腹に移動し、肋骨の間に潜む神経の一つ一つを洗うように刺激する。
「きゃはははは、だめぇ、そこもだめぇ、くすぐるのはだめぇ、きゃはははははぁっ、ああああっ!」
 意地悪な手に上半身をくすぐられながら女の子の敏感な花園を唇と舌と指で責め嬲られ、ミカは激しく笑い身悶えながら時折熱い桃色の吐息を洩らす。
 凄まじい快感とくすぐりの嵐による巨大な津波に、ミカは再び高みへと舞い上がる。快感とくすぐりの刺激の渦に、身体がバラバラになりそうだった。
「あああっ、もうだめぇ、もう、ああああぁぁっ!」
 ミカの全身を桃色の稲妻が何度も通り抜けけ、全身がガクガクと痙攣する。絶頂の極みの中で全ての刺激の波が融合して爆発し、桃色の炎が全身を焼き尽くした。
 やがてミカの身体がぐったりと動かなくなると、ミサキはミカの花園からゆっくりと指を引き抜いた。指には透明な蜜が糸を引いて絡み付き、花園からも大量の蜜がしたたり落ちている。
 ミサキは花園から離した顔に妖しい笑みを浮かべながら、花園からしたたる蜜を両手ですくい取ると、それをミカの脇腹や腋の下に塗りたくり、その上で指を妖しく這い回らせ始めた。
 ミカの激しい吐息が再び悲鳴と笑い声に変わった。
「いやぁっ、だめぇ、くすぐったい、きゃははははははぁっ!」
「ふふっ、大丈夫、すぐにもっともっと気持ちよくなるわ」
 ミサキはなおも激しく蜜に濡れた脇腹や腋の下に指を這わせながら、再び敏感なメシベを唇に含んだ。唇と舌先によって送り込まれる激しい快感の稲妻と、這い回る指による皮膚のざわめきが融合し、ミカの理性を狂わせる。絶え間なく吹き荒れる嵐がミカを再び絶頂へと打ち上げる。その凄まじい嵐の中で、ミカは女の子の恥ずかしい歓びに全身をガクガクと痙攣させ、桃色の甲高い悲鳴を何度も上げ続けていた。
 気がつくと、ミカは自分の部屋のベッドに横たわっていた。徐々に明るく光り始める天井の光の中で、目覚しの柔らかな音楽を聞きながら、ミカは思った。試作品の主観評価中にミサキから与えられた女の歓び。そして彼女がもうすぐいなくなってしまうという事。それらは全て夢の中での出来事ではなかったのかと。
 しかし間もなく部屋にかかってきた上司からの電話は、それらが夢ではなかった事を告げていた。ミカが目覚める数時間前、ミサキ・サクラギは小型シャトル一機と共に忽然と姿を消していたのだ。


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