ミニメロン作品

レディースデー
第2部 訓練

2-2 入学
 山吹色の薄暗い光に照らされた廊下を、ミカは少女に手を引かれながら走った。
 途中で出くわしたアンドロイドは全て時間を止められたかのような不自然な格好のまま動きを止めていた。
 少女のハッキングの及ばない、派手な服装をした従業員らしき女性にも何度か出くわしたが、少女は人工のノミの入った筒をちらつかせる事で、いとも簡単に彼女たちの追跡をまぬがれた。
 外へ出た時、すでに辺りは暗くなり始めていた。
 そこは、ミカの全く知らない土地だった。周りを見回して、ミカは絶句した。街には今出てきた建物と同じような妖しげな看板を掲げた店がいくつも建ち並んでいる。どれも、女たちが女たちを相手に女の歓びを堪能するための店だ。道を行き交う女たちの服装も色とりどりで、どれもが露出度の高い、あるいは身体の線を強調するデザインとなっている。
 かつて何人かの客から聞いた事はあったが、その時は信じていなかった。しかしその光景が今目の前に広がっているとあらば、事実として受け入れるしかあるまい。それは、男性と共存していた時代には許されなかった女同士の歓びを、せめて絶滅までの間に存分に謳歌しようとする女の欲の具現化された姿だった。
 少女は人通りの少ない脇道にミカを引き込むと、ケータイリングを操作してホバーカーを呼び寄せた。
 ミカが助手席、少女は運転席に座った。ホバーカーは運転手の操作を待たず自動的に上昇を始め、上空を行き交う列の一つに合流した。
「あたしはユリノ・ナギサワ。よろしくね」
 ユリノは頭の後ろで組んだ手を背もたれに預け、笑みを浮かべた顔をミカに向けた。
「え、ええ」
 ミカは一瞬ユリノの方へ顔を向けたが、すぐにその視線を窓の外の妖しげな街の夜景へと戻す。店に連れて来られた時は目隠しをされていたため、自分がどこに連れて来られたのかまるで分からなかった。だから今回は自分がどこへ向かうのか、はっきりと見届けておきたい。
「深刻な顔して外ばかり見てないで、学校へ着くまで一緒に楽しみましょうよ」
 ユリノのそんな声が聞こえた瞬間、お尻から太腿にかけての座席に密着している部分に、何かが触れたような感触が走った。無数の小さな突起がパンティとワンピースの上から、敏感な柔肌を撫で回している。
 突然の異様な感覚にミカが身を震わせた瞬間、それまでミカの身体を支えていた椅子がいきなりその固さを失った。ミカの身体が一瞬にしてゲル化した椅子の中に飲み込まれる。
「ちょっと、何なのよ、この椅子は!」
 ゴムボールのように丸く変型し膨脹する椅子に腰や胸、手足までもが飲み込まれようとしているミカは、もがきながらユリノの顔を伺う。そこには勝ち誇ったような満面の笑みが浮かんでいた。
「恐がらなくてもいいの。ただ、あなたの笑顔を見ていたいだけ。入学前の身体検査も兼ねてね」
 この状況で身体検査と言われても、通常の検査で終るとは思えない。かつて宇宙工場で受けた破廉恥な検査が脳裏をよぎる。
「け、検査って、一体何すんのよ!」
 ミカは叫びながら、もはや外側からは見る事のできない手足を必死に動かそうとするが、それらは大きく大の字に広げられたまま全く動かない。さきほどまで椅子であったゴムボールはミカの首から下を完全に飲み込んだ時点で、ゲル化前以上の固さとなっていた。
 今やボールの内側のゴムがミカの全身にぴったりと密着し、無数の突起がミカの全身を服の上から撫で回している。お尻や太腿、腋の下や脇腹はもとより、靴の中にも浸入したゴムの突起の足の裏へのくすぐりに、ミカは必死に耐えていた。特に敏感な脇腹には突起が肉に深々と食いこみ、肋骨の間の神経を揉み洗うように刺激している。
 身体をビクビクと痙攣させながら今にも溢れ出しそうな笑い声を歯を食いしばってかみ殺すミカに、ユリアが楽しいゲームを始めるような顔で説明を始めた。
「このホバーカーの椅子は、特殊プラスティック製のマイクロマシーンが集まって出来てるの。椅子に限らずどんな物にも変形できるし、色や透明度を変える事もできるわ」
 ユリノの言葉と共に、それまで灰色不透明だったボールの色がみるみる失われ、無色透明となった。ゴムに埋もれたミカの身体が姿を現す。
 ボールは巨大なシャボン玉のように内部が空洞となっており、その内側にさらに透明なゴムの固い膜に包まれたミカの身体が手足を広げた状態で固定されていた。そのミカの身体に密着した膜の内側で、小さな無数の粒状の影が走り回っているのが見える。ミカの身体を撫で回している突起だ。
 ユリノはフロントパネルに向かって命じた。
「そろそろ身体検査による基礎データが揃ったんじゃないかしら。報告してちょうだい」
「はい。ただいま報告致します」
 落ち着いた女性の声がスピーカーから流れて来た。ミカの身長や体重、座高、さらにはスリーサイズまでもが、淡々とした語調で告げられる。
「さらに詳しく検査する事もできますが、いかが致しましょうか」
 スピーカーの問いに、ユリノは即座に答えた。
「もちろん、徹底的に検査してちょうだい。彼女の全てを」
「かしこまりました」
 ゴムボールの中で、ミカのワンピースが風に吹かれたようにフワリと持ち上がった。「ちょ、ちょっと、何すんのよ、いやぁっ!」
 ミカの悲鳴も虚しく、ワンピースは内側のゴム膜にみるみるうちにめくり上げられる。ゴム膜により腕が強制的に曲げられ、それと同時にワンピースも上へと運ばれる。ほどなくワンピースが腕から外され、ゴムボールの氷面に浮き上がった。ミカの首に絡み付いたそれを、外側に伸びた突起が持ち上げ、脇の床へと落とした。続いて、ミカの胸を覆っていたブラも同じように外され、床に落とされた。形のよい胸の膨らみが露わになったところで、両腕が再び強制的に広げられる。
 露わになった胸の先端の蕾が、透明なゴム膜によってつままれ、転がされた。
「あふぅっ!」
 蕾に襲いかかる甘味な刺激に、ミカの口から恥ずかしい吐息がもれる。
「ふふっ、乳首、ずいぶん固くしてるようね。さっきからいやがってるふりして、本当はもっとしてほしくてたまらないんじゃないかしら」
「ち、違うっ、んんっ、きゃはっ、きゃははははぁ、いやぁぁっ!」
 ミカの口を塞ぐかのように、胸の膨らみに無数の毛の這うような刺激が襲いかかった。敏感は蕾にも執拗な毛の蠢きのこそばゆい刺激が襲いかかり、ミカは気が狂いそうになる。身を捩ろうとしても固いゴム膜はミカの身体が動くのを決して許さない。体中の敏感な部分をゴムの突起でくすぐられながら敏感な胸の膨らみとその先端の蕾に妖しい刺激を与えられてはたまらない。狭い車内にミカの甲高い悲鳴が響き続ける。
 そんなミカにさらなる悲鳴と笑い声を上げさせようとするかのように、ゴムボールは次の動作に入っていた。ミカの足から靴と靴下を抜き取り、外に押し出したのだ。その素足に透明なゴム膜が貼りつき、無数の突起が走り回る。足の指の間にまで膜が入り込み、妖しい突起が悪戯する。その耐え難い刺激に、ミカの悲鳴と笑い声はより一層甲高いものとなった。
「きゃははは、だめぇ、もうだめぇ、お願い、もうやめて、きゃははははははぁ」
「まだまだよ。大事な所があと一箇所残ってるわ」
 ユリノのその言葉に反応したかのように、ゴムボールはミカのパンティを引き降ろし始めた。脚が強制的に閉じられ、女性の大切な部分を守る小さな布が抜き取られ、ボールの外へ送り出される。そのパンティをユリノの手が受け取ると、ミカの脚は以前よりもさらに大きく広げられた。
「ふふっ、このパンティ、ここがこんなにグショグショになってるわ。本当はとっても気持ちよかったんでしょ」
 ユリノはミカの目の前で、パンティの底の部分のねっとりとした蜜に濡れた部分を見せつけた。
「そんなはずないわ、きゃはははは、だめぇ、くすぐったぁい、ああぁっ、そこ、だめっ、んあっ、くふっ、きゃはははははぁ!」
 ミカの、無防備になった脚の付け根の花園に、意地悪なゴム膜がぴったりと貼りついていた。膜の内側に生えた無数の細かい毛の蠢きが、蜜に濡れそぼった花びらや敏感なメシベに襲いかかり、執拗に撫で回す。毛の刺激の一つ一つから桃色の稲妻が生まれ、ミカの身体を突き抜け激しく痙攣させる。体中の敏感な柔肌を悪戯されながら、女の最も敏感な恥ずかしい部分を刺激されてはたまらない。身体のあちこちから送り込まれる狂おしい刺激の嵐に、ミカは今にも気が狂いそうだった。
 しかし、ユリノはまだミカの身悶えぶりに満足したわけではなかった。革ジャンのポケットから、さきほどミカの脊髄のナノマシンを破壊する為に使用した金属の筒を取り出す。
 ゴムボールはまるでユリノの意図を読み取ったかのように反応していた。ゴムボールの表面に小さな穴が開きその穴とミカの脚の付け根の花園との間が一本のゴムの管で結ばれた。
 ミカはユリノの手にした筒を見て、慌てて叫んだ。
「だめぇ、お願い、それだけはやめて、そんな事されたら、あたし、あたし、だめぇ、だめよぉ、きゃははははは、お願い、やめてぇ!」
 ミカは必死に叫んだが、そんな声など聞こえないかのように、ユリノは筒の中味をゴムボールの表面に開いた穴に注ぎ込んだ。銀色の粉末が管を通ってミカの花園へと向かって行く。注ぎ終ると穴が閉じた。管も収縮し、ミカの花園を覆う膜に吸収される。
 花園に到着した銀色のノミは、敏感なメシベと花びらに群がり蠢きながら、猛烈なくすぐりの刺激を送り込む。絶え間なく閃き続けるむず痒い稲妻に、ミカのそこは別な生き物のように激しく蠢く。
 花の中心から溢れた蜜がゴム膜から染み出し、糸を引きながらポタポタとゴムボールの下部へと落ちる。そこにはすでに大量の蜜が溜っている。その蜜の溢れる泉にも無数のノミが入り込み、襞の隙間に蠢く。小さな手足を巧みに動かし猛烈なくすぐりの刺激を送り込む。
 それらの刺激の一つ一つは、ミカに甲高い悲鳴と笑い声を上げるのに十分すぎるほどの狂おしさなのに、それが無数に押し寄せたのだからたまらない。
 それに加え、膜による全身への悪戯もまだ続いており、花園から溢れたノミも全身に広がり狂おしい悪戯に加勢している。
 ミカの身体のありとあらゆる部分から激しい刺激の嵐が送り込まれ、その嵐にミカの理性と正気が砕かれて行く。もう目を開けていられない。
「きゃはははははは、だめぇ、ああっ、ああああっ、あはははぁぁぁぁっ!」
 もう気が狂う、とミカは思った。いっその事、狂ってしまった方がどれほど楽だろう、と。
 その時、ミカは自分の悲鳴と笑い声と喘ぎ声に混じって、別な声を聞いた。フロントパネルの隅に小さなウィンドウが開き、女性の顔が映し出されていた。
「ユリノ、任務は成功したようね」
 その声に、ミカは聞き覚えがあった。朦朧とする意識の中で必死に目を開き、ウィンドウに写る女性の顔を確認する。
 ミカは目を疑った。あの女だ。転職を斡旋すると言いながら、ミカの脊髄に変な仕掛をほどこし、ついいましがた脱出してきた店に送り込んだ、あの女、ヨシコ・ミヤハラが、隣に座る女性と話をしている。
「それじゃ、成功したご褒美をあげる。ユリノ、あれ、好きでしょ。たっぷり愉しみなさい」
 ヨシコがそう言った時、ユリノの座っていた座席も一瞬ゲル化し、ユリノを取り込んだ透明なゴムボールと化した。手に持っていたノミの筒がゴムボールの内側に転がり、半分ほど残っていた中味の粉末がこぼれた。粉末はゴムの壁をよじ登り、あるいはユリノの身体を包むゴム膜から伸びる無数の管によって吸い上げられ、ユリノの身体とゴム膜との間に浸入した。
 ミカの笑い声と悲鳴に、ユリノのそれが重なった。
「御褒美の感想はいかがかしら」
 ヨシコの問いに、ユリノは狂おしい刺激の嵐の中で必死に答えていた。その言葉に、ミカは耳を疑った。
「きゃはははぁ、すごい、すごく、くすぐったくて、きゃははは、すごく、いい、気持ちいいです、だから、きゃはははは、もうだめぇ、あたし、もう、きゃはははは」
「ありがとうございます、は?」
「きゃははははぁ、あぁぁ、ありがとうございますぅ、きゃははは、せ、先生ぃ〜!」
 ご褒美への歓びの言葉を口走るユリノを見届けると、ヨシコを写すウィンドウがフロントパネルから消えた。
 その後しばらくの間、いつ果てるとも知れない狂おしい刺激の嵐の中で、二人の甲高い悲鳴と笑い声が、車の中に響き続けていた。それはミカにとって永遠とも思える時間だった。
 その永遠とも思える時間をかけて、自分がどこへ運ばれていくのか、見極める余裕などミカに残されているはずはなかった。

 殺風景な狭い部屋のベッドの上で、ミカは目覚めた。
 天井も壁も、コンクリートがむき出しになっており、部屋の隅に置かれたベッド以外に家具といえば、小さな机が二つとその前にそれぞれ置かれた質素なソファーだけ。
 意外にもベッドは2人が並んで寝られるほどに大きくて柔らかい。その柔らかい布地が仰向けたミカの全身を深々と包んでいる。
 ミカは手足を動かそうとして目を見開いた。手足が大きく大の字に開かされているのだ。手首足首がロープで縛られ、ベッドの四隅の方に引っ張られている。しかも、ミカは一糸まとわぬ生まれたままの姿となっていた。
 そのミカの様子を、部屋に集まった十数人の女性が見おろしていた。彼女たちは皆、薄手の寝間着を身に着けている。
 その中に、見覚えのある顔があった。ヨシコ・フジワラとユリノ・ナギサワだ。
「遅れ馳せながら、スパイナーズカレッジへの入学、おめでとう」
 ヨシコの爽やかな笑顔を、ミカはきつく睨みつけた。
「ここがカレッジ? ガレージの間違いじゃないかしら? それに、あなたは、このガレージに何の関係があるのかしら?」
 ミカは一気にまくしたてた。この女のせいで、拷問に匹敵する仕打ちを受けて来たのだ。その怒りが一気に爆発していた。
「ふふっ、あたしはこの学園の理事長よ。そして、あの店はこの学園の契約店。あなたはこの学園に入る前に受けるべき訓練を、無事に終えた事になるわね」
 ユリノが先を続ける。
「あなたの言うとおり、ここはカレッジじゃないわ。あなたの寮部屋よ。あたしとあなたの部屋。今日は入学祝いの挨拶がわりに、これからあなたがお世話になる先生方に集まって頂いたの。みんなあなたの笑顔が見たくて、ここに集まったのよ。私たちと一緒にたっぷりと楽しみましょう」
「ちょ、ちょt、笑顔って、まさか……」
 ミカが顔色を変えた時、ユリノはベッド脇に隠れた手を僅かに動かした。微かな電子音がした後、ミカの身体に異様な刺激が襲いかかった。
「んあっ、んんっ、きゃははは、な、何なのよこれは〜!」
 突然身体を襲う刺激に、ミカは飛び上がった。
 ベッドの内部に隠された無数の細かい突起が、布地越しにミカの身体を這い回っている。布の触れている全ての部分に、突起の刺激の悪戯が這い回っていた。
 ミカは背中をなぞる刺激に身悶え、腋の下をくすぐる刺激に身を捩り、脇腹で蠢く刺激に悲鳴を上げ、お尻を撫で回す刺激に腰を振る。手足を襲う激しいくすぐりを必死に振り払おうとするが、拘束された手足はびくとも動かず、それをいいことに、ベッドはミカの全身をくまなく悪戯し続ける。
「きゃははは、くすぐったぁい、もうだめ、お願い、きゃははははぁ〜!」
 ミカはたまらず、甲高い笑い声を上げた。
 全身から送り込まれる耐え難いくすぐりの嵐の中で、ミカは絶望に打ちひしがれていた。せっかっく拷問部屋から逃れる事ができたというのに、逃れた先でさらなる拷問が待っていたのだ。ミカは目の前で笑みを浮かべるユリノを呪った。そして、突然訪れた客の言葉を安易に信じてしまった自分をも呪った。
 そんなミカの耳元で、ユリノは囁く。
「どう、ミカちゃん、こうやって全身をくすぐられるのって、とっても気持ちいいでしょ?」
「何言ってるのよ、こんなのが気持ちいいはずなんて、きゃはははぁ、ないじゃないのよぉ!」
 ミカは身悶え笑いながら叫んだ。
「ふふっ、本当にそうかしら?」
 ユリノは素早くミカの足の付け根に指を這わせ、その指をミカの目の前に突き出して見せた。指を開いたり閉じたりする度に、ねっとりと絡み付いた透明な蜜が糸を引く。
「これでも気持ちよくないって言うのかしら? 本当はもっとしてほしくてたまらないんでしょ? これからはもっとすごいわよ」
 ユリノが後に下がり、入れ換わりに部屋に集まっていた他の女性のうち三人がベッド脇に並んだ。両手の指を昆虫の足のように蠢かせて見せながら、それらの手をミカに近づける。
「いやぁっ、お願い、もうやめて! そんな事されたら、あたし、死んじゃう!」
 ミカは妖しく蠢く無数の指に恐れおののき叫んだ。しかし、ミカの胸の先端の蕾は指の蠢きを見た瞬間になおも一層固さを増し、足の付け根の花園からも恥ずかしい蜜が大量に溢れるのが自分でも分かる。
 やめてほしいのに、身体は勝手に反応し、あたかも耐え難い悪戯を求めているかのような反応を見せてしまうのをどうする事もできないのだ。
 妖しく蠢く6本の手が、ミカの身体に同時に触れた。
「きゃははははぁ、やめてぇぇぇぇ、お願いぃ〜!」
 甲高い悲鳴と笑い声が、狭い部屋に響く。
 左右の肋骨に無数の指が食いこみ、奧の神経を巧みに転がしている。大きく開かれた腋の下が、妖しい指の動きにかき回されている。さらに、左右の腰にも指が食い込み、その奧の玉の房を取り巻く敏感な神経に耐え難い刺激を送り込む。
 ミカの身体が意志とは関係なく激しくのけぞり身悶える。必死に手足を閉じようとしても閉じられず、ミカは気が狂いそうになった。
 ベッドに潜む妖しい突起に全身を悪戯されながら、か弱い部分を指で激しく悪戯されてはたまらない。
 三人の手は同じ箇所にとどまらず、少しずつ位置と動きを変えていく。その動きに、ミカは決して慣れる事はできず、新たな部分に加えられる刺激を恐れながら、ただひたすら笑い身悶え続ける。
 無限とも思える長い時間が経過した後、ようやくくすぐりの指がミカの身体から離れたと思うと、順番を待っていた他の女たちの指が再びミカの弱点に襲いかかって来る。そして再びミカは、体中を吹き荒れる激しいくすぐりの嵐の中で長き時を耐え忍ばなければならないのだ。
 女たちは皆、ミカを悪戯しながら自己紹介をしていた。自分の名前や担当教科などを述べていたが、耐えがたい悪戯による激しい嵐に耐え続けるミカに、彼女たちの言葉になど耳を貸す余裕などあるはずはなかった。
 しばらくすると、ミカの足の付け根に新たな刺激が襲いかかって来た。
 いつの間にかユリノがベッドの上に上がってうつ伏せになり、布地の下の突起がお腹や胸の膨らみを悪戯するのにも構わず、ミカの茂みをかきわけ、その奧に息づく花園に口づけたのだ。恥ずかしい歓びの稲妻が、ミカの身体を貫いた。
「いやぁ、何すんのよ、やめてよ、きゃははっ、ああっ!」
 部屋の中にミカの甲高い悲鳴が響く。
 ユリノはミカの悲鳴など聞こえないかのように、舌と唇を動かす。
 敏感なメシベを唇に含んできつく吸い上げ、舌先でチロチロとつついたかと思うと、再び唇を開いて周りの花びらごと含み、その中にちりばめられた敏感な部分の全てを舌先でくじり立てる。
 体中の敏感な部分に激しいくすぐりの嵐を送り込まれながら、女の敏感な部分を悪戯されてはたまらない。
 ユリノの舌先が、敏感なメシベのすぐ下にある秘めやかな部分をつついた時、ミカはその部分に熱い痺れを感じて身体を硬直させた。外側だけでなく、内側からも、その部分が狂おしく悪戯されている。ここ数時間の間に内側に溜った恥ずかしい水の力が、外側からの刺激に反応し、暴れ始めていた。ミカの身体がガクガクと震える。
 ユリノの舌先は、まるでお宝を捜し当てたかのように、その部分を執拗にくじり立てる。そして、敏感なメシベと共に唇に含み、きつく吸い上げながら舌でなめ上げる。
 ユリノの唇と舌が動く度に、ミカの身体がガクガクと痙攣し、女の子のか弱いその部分が激しく蠢く。外側と内側から同時に責められ、今にも狂ってしまいそうなその部分に、ミカは渾身の力を込めながら、全身の悪戯に耐え続ける。
「だめよ、きゃはははっ、そんな所、そんなにされたら、きゃはははぁ、ああっ、もうだめぇ!」
 ユリノの舌と唇の動きが激しくなった。
 そして同時に、ミカの濡れそぼった花園の中心に指を差し入れ、探るように動かし始めたのだ。
 指がミカの内側の敏感な部分を探り当てた。内側と外側に同時に生まれた激しい波が、ミカの理性を打ち砕く。花園が激しく痙攣し、女の子のか弱い秘めやかな部分が内側の水の激しい悪戯にこじ開けられた。
「ああああぁぁっ、だめぇ、もうだめぇ、ああああぁっ」
 甲高い悲鳴と同時に、ミカの花園から熱い水流が勢い良く噴出した。異臭を放つ聖水はユリノの顔を直撃し、ぐしょぐしょに濡らし、ベッドの上に流れ落ち、大きく開かれたミカの足の間へと溜る。その一部が足をくぐってベッドの外へと流れて行く。
 水の噴出が止まった後も、ユリノの唇と指と舌は激しく動き続け、ミカを桃色の歓びの極みへと打ち上げる。
 甲高い悲鳴と共にミカの身体がガクガクと激しく震え、それがしばらく続いた後ぐったりと動かなくなってから、ようやくユリノは指を引き抜き、唇を離した。

 ミカが絶頂の極みから覚めた後も、女たちはミカの身体を弄び続けた。順番が何周か回ったところで、ようやくくすぐりの手を止め、ミカの部屋から出て行った。部屋には、ベッドに拘束されたミカと、ユリノが残された。
 疲れを知らないベッドの突起はなおもミカの全身を這い回っているが、ミカにはもうその刺激に身悶えるだけの力すら残っていなかった。
 ユリノが手足のロープをほどくと、ミカは転がるようにベッドから降りた。
「ちょ、ちょっと、何よ、この床は!」
 床の上に四つん這いになったミカは、再び悲鳴を上げた。
 床は無数の細かいイボで埋めつくされており、それらのイボは小刻みに震えながらそれぞれバラバラな方向に揺れ動いているのだ。イボの蠢きは部屋の床を、まるで砂嵐が吹き荒れているかのように見せている。
 床についた両方の掌と膝、そして足の指とその間を、イボの蠢きが刺激する。
「きゃははは、だめぇ、ちょと、どうしたらいいのよぉ!」
 これでは立ち上がったとしても、常に足の裏に耐え難く妖しい刺激を受け続ける事になる。そうでなくても、たとえどんな姿勢であろうとも、身体の一部が床に触れている限り、その部分をくすぐられ続ける事になってしまう。
 ふと、ミカは部屋の隅に置いてある、机の前のソファーに目を向けた。あのソファーに座れば、床から足を上げる事ができる。
 ミカは椅子の方へと這い進もうとしたが、もはやミカには手足を動かすだけの体力すら残されていなかった。
 その時、腹の下に誰かの手が回り、上に持ち上げられた。ユリノだった。
 ミカを抱きかかえたユリノはそのままベッドに上がって仰向けると、ミカの膝を自分の開いたそれぞれの太腿の上に置き、ミカの両手を自分の肩に置いた。
 ミカの手足によって自らベッドの上に押さえ付けられる格好となったユリノは、ベッドによるくすぐりに顔を歪め、身悶えながら笑い声を上げている。
「くふっ、ははははっ……あのソファーにも……きゃはははっ……仕掛があるのよ……もし座ったら……あはははっ……お尻がくすぐったくて……んあぁっ……たまんないわよ」
 笑い声の混じったユリノの言葉に、ミカは凍りついた。この部屋にいる限り、くすぐりの刺激からは決して逃れられないのだ。
「今夜は特別に……きゃははっ……あたしの身体の上に……あはははっ……避難させてあげる」
「あ……ありがとう」
 ミカは心から礼を言った。例え一分でも、耐えがたい刺激から逃れたかった。
 しかし、次にユリノの口にした言葉に、ミカは耳を疑った。
「その代わり……きゃはははっ……あたしたちがあなたにした事……んあぁぁっ……今度はあなたがあたしにするのよ」
「えっ?」
 唖然とするミカの右手を掴み、自分の脇腹の上に導くユリノ。左手も同様に脇腹の上に置かせた。
「ここを揉むように指を動かすの。やってみて」
「でも……」
 今でもこんなふうに身悶えているのに、大丈夫なの?
 躊躇するミカに、ユリノは声を荒げた。
「早くしてよ……きゃははっ……すごく欲しいんだから……はははっ……いつもはベッドの上に……んきゃはっ……さっきのノミをまいて……寝るんだから」
 再びミカは凍りついた。 
 ベッドによる狂おしいくすぐりの刺激から逃れて眠りにつくには、もはやもっと激しいくすぐりにより気を失うしか方法がないという事か。
「あたしが一言注文すれば……きゃははっ……ベッドの下から……んきゃははっ……ノミたちが……這い上がって来るのよ……あははははぁっ……でもそうしたら……あんた、狂っちゃうでしょ?」
 確かにそのとおりだ。今ベッドの上にノミが這い上がって来たら、ミカまで巻き沿いになってしまう。そんな事になってはたまらない。
「わ……分かったわ」
 ミカはユリノの脇腹に当てた手の指を蠢かせ始めた。
 ユリノは大きく広げた両手でベッドの布地を掴み、ミカの手の動きを妨げようとする衝動と必死に闘っている。
「い、いいわ……もっと強くしてぇ、強弱や動かし方を少しずつ変えるのよ」
 ミカはユリノに言われたとおり、強弱を微妙に変え、ずらしながら指を動かし続ける。指の動きの一つ一つに、ユリノの身体がビクビクと痙攣し、その身体の震えが蠢く指先に伝わって来る。
 ユリノの身体の反応は、いつの間にかミカの中に意地悪な好奇心を芽生えさせていた。ユリノの蠢きに合わせ、動かす指に力を込める。
「そうよ、うまいわ……きゃははははっ……その調子で続けて……きゃははは」
 ユリノの身体が狂ったように何度も大きくのけぞる。
 ミカの手はその身体に食らいついているかのように離さず、執拗な悪戯を続ける。そして、その手の位置を、脇腹から腰の辺りへとずらす。そこには敏感な急所が隠されている。
 腰の奧の敏感な神経を転がされ、ユリノの身体は狂わんばかりに蠢いている。
「きゃははは、やめて……いやぁ、やめないでぇ!」
 狂気の嵐の中で矛盾する言葉を同時に叫ぶユリノ。
 その揺れる足の上で、ミカはサーフィンをしているかのようにバランスを保ちながら、手を激しく動かし続ける。
「本当にやめなくてもいいの? 大丈夫なの?」
 ユリノの狂態にミカは思わず訪ねてしまう。
「とってもいいの……きゃはははは……そのうち……あんたにも分かるわ……さあ、もっと……もっとよ」
 ミカはユリノの腰に食いこませた指に力を込め、小刻みに震わせながら探るように動かした。そして、ユリノの身体が大きく痙攣した時、指の当たっていた部分を集中的に刺激した。
「きゃはははは、そこだめぇ、きゃははははは、ああぁぁっ」
 ユリノの身体がひときわ激しく痙攣し、断末魔の悲鳴が部屋に響く。
「ここね。ここが、一番効くのね」
「そう、そこが効くの。もう少しなの。もう少しで……きゃははは」
 ユリノはもはや笑い声以外の言葉を発する事ができない。
 悲鳴お上げながら何度も何度も身体を大きくのけぞらせ、痙攣させた後、やがて死んだようにぐったりと動かなくなった。
「ユリノ、大丈夫?」
 ユリノの顔に近づけたミカの耳に、静かな寝息が聞こえた。その顔は、幸せそうに微笑んでいる。
 ユリノの背中には、まだベッドの内側の突起が布地越しに執拗に這い回っているはずだ。そんな状況の中でこのような顔で眠る事が可能であるなど、ミカには信じられなかった。
「あたしも……寝なきゃ」
 ミカは改めて自分の乗っているユリノの裸体を見降ろした。
 ユリノの身体はミカよりも一回り小さい。ミカがその上で寝るなど、いくら彼女が許可したからといっても、実際には不可能だ。
 ミカは恐る恐るベッドの上に手をついた。掌を襲う耐えがたい刺激に、ミカは再び悲鳴と笑い声を上げそうになる。掌だけでもこれだけくすぐったいのに、全身をベッドに預けてしまったら、本当に気が狂ってしまうかもしれない。だが、いつまでもためらっているわけにはいかない。
 ミカは意を決して片足をベッドに降ろし、続いてもう片方の手足を降ろした。
「ああっ、やっぱりだめぇ!」
 ミカはなんとかベッドの刺激から逃れようと、ベッドの上に片足の膝だけで立った。
 ベッドの柔らかい布地に沈み込んだ膝と、その周りの太腿や脛に、突起の刺激が襲いかかって来た。
 耐え難い刺激に身をよじったミカはバランスを崩し、ベッドの上に前のめりに倒れた。布地に押しつけられた胸の膨らみや敏感な蕾、そしてお腹や下腹部に、くすぐりの嵐が容赦なく襲いかかる。
「ああああぁぁぁっ、だめぇ、きゃははははぁ」
 ミカの甲高い悲鳴が部屋に響く。
 その悲鳴にユリノの眠りが妨げられたのか、謔言のように呟くのがかすかに聞こえた。
「まだ……くすぐりの……気持ちよさを……分かってないのね……でも大丈夫……すぐに慣れるわ……」
 ――そんなの嘘よ!
 ミカが心の中で叫んだ時、館内放送が流れた。
「消灯時間5分前です。部屋に戻り、ベッドに入って就寝の準備を……」
「こ……こんなんじゃ、眠れないわぁ!」
 放送の途中でミカは叫んだ。
 その時、ミカの耳に、何かを引きずるような音が届いた。
 慌てて後ろに向けたミカの目に、異様な光景が飛びこんで来た。それまで二人の足先で畳まれていた毛布が勝手に広がり、這い寄って来る。
 毛布に生えた無数の毛が、妖しく蠢いている。毛布の裏側にも無数の毛が蠢いており、その毛の蠢きによってで前進しているようだ。
「ああっ、ちょっと、来ないでよぉ!」
 ミカは不気味な毛布から逃げだしたかったが、さきほどから身体の敏感な部分に妖しい刺激を送り込まれ続けるミカは、ベッドの上で身悶え続ける事しかできなかった。
 毛布がミカの背中を這い上がってきた。毛布の毛がミカの敏感な背中やお尻、太腿、を、容赦なく撫で回す。
 やがて照明が消え、部屋は闇で満たされた。その闇の中で、ミカは激しく身悶え、悲鳴と笑い声を上げ続けていた。


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