小学校2年生の時、川崎美香の教室にはまだ男の子たちがいた。
ある日、雨の降る昼休み、彼らは一人の男子児童の机に群がり、嬌声を上げていた。
机の上に何が置かれているのか美香には分からない。しかしそんな事は問題ではない。恐らく漫画雑誌かゲーム雑誌か、はたまたゲームをダウンロードした携帯電話か、とにかく学校に持ってきてはいけないものなのだ。
男の子たちはいつもそうだ。いくら先生に叱られても懲りる事なく悪さを繰り返す。おまけにテレビのアクションヒーロー物の暴力シーンのまね事をする者までいる。なぜ女の子たちのように大人しくふるまう事ができないのか、美香には不思議でならない。
「男の子と女の子は成長するに従い、互いに興味を持つようになるのです」
学校から配られた教科書の一つには、確かそう書かれていたが、美香にはどうしても信じられない。もしかしたら、信じてはいけない事なのかもしれない。なぜなら、その教科書は、担任の先生からも親からも、見る事が許可されていないのだから。
しかし美香は、その教科書の事が頭から離れなかった。
その教科書は、他の教科書とは異なり、児童にではなく保護者に配られた。「生命」という、美香の両親が小学校の時にはなかった、極めて最近設けられた授業ためのものだった。しかし実際にはその授業が行われる事はなく、その授業の為に設けられた時間は別な授業の補習の時間となっていた。理由は分からないが、美香は親からその教科書を受け取っていなかった。美香の友達も、誰一人として受け取っていなかった。
「あの本は、子供の読むものではないわ。まったく、学校からあんな本が配られるなんて、おかしな世の中になったものね」
美香の母はそう言って、教科書の隠し場所を決して言わなかった。しかし、見るなと言われれば余計に見たくなるのが子供の心理というものだ。
昨日、両親が二人とも外出している時、家中を探し回り、ついにその教科書を見つけた。
そこには、男の子がオシッコを飛ばすのに使う部分の、美香がまだ見たことのない姿が詳細に描かれていた。その時美香の目に写ったそれは、凶器以外の何物でもなかった。別なページには、美香がまだ自分ですらよく見た事のない女の子のオシッコの部分が、こと細かに描かれていた。さらに別なページには、それら二つが交わった状態の断面図が描かれていた。
どのページにも、詳細な解説文が添えられていた。
教科書に書かれていた事のほとんどは、美香にとって信じ難いものであった。しかし、教科書を元の場所に戻し、自分の部屋で鏡を使って自分の秘密の場所を観察してみた時、教科書に書かれた内容が非常に正確なものである事を知った。そしてもし男の子たちが同じ教科書を見たらと思うと、たまらなく恥ずかしくなるのだった。
「美香、顔赤いよ。どうしたの?」
突然、誰かに声をかけられた。顔を上げると、ポニーテールのよく似合う友達が机の前に立っていた。
「な、何でもないわ」
美香は慌てて答え、笑って見せた。
「そう言えば、あの秘密の教科書、見つかった?」
「い、いいえ、まだ見つからないわ」
美香は思わず嘘をついた。あの教科書を見た事はまだだれにも言っていない。自分だけの秘密だった。無理にでも話題を変えようと、頭の中で話のネタを探し始めた。
「男性の身体には、性的に興奮すると、勃起という現象が起こります」
突然、男子の集団から声が聞こえた。その言葉には、見覚えがあった。あの教科書に書かれた言葉だった。
美香は思わず男子児童たちの群がりの方へ真っ赤な顔を向けていた。恐らく男の子たちの群がる机の上には、あの教科書が置かれているのだ。美香は恥ずかしさで顔が燃え上がるのを感じた。友達が何か言ったようだが、美香には聞こえなかった。
男の子たちはそれからしばらく声をひそめて話をしていたようだが、やがて一人が大声を上げた。
「本当か? それじゃ、ためしてみようぜ」
突然、男子児童たちの集団が今までにも増して激しくなった。
いつの間にか、一人の坊ちゃん刈りの男子が他の男子に両腕を捕まえられ、大きく広げさせられていた。美香のクラスの男子の中で一番大人しい児童だった。そこへ別なスポーツ刈りの男子が両手の指を妖しく蠢かせて見せながら、ゆっくりと近づいていく。
「ちょ、ちょっと、やめてよ。ぼ、ボク、そんな事されたら、泣いちゃうよ」
掴まれた腕をゆさぶり必死に逃げようともがく坊ちゃん刈りであったが、更に数名の男子が腕の拘束に加わり、どんなにもがいても全く動かなくなった。
「泣けるものなら、泣いてみな」
スポーツ刈りの指が、男の子の無防備な脇腹に、制服である薄いシャツの上から食込んだ。
「ぎゃはははははぁ、助けて、くすぐったい、ぎゃはははははぁ!」
普段は大人しい坊ちゃん刈りが、大声で笑い始めた。
指は脇腹の奥に食込み、肋骨を洗うように揉みしだいている。敏感な神経を転がすように刺激された身体は激しい痙攣を繰り返しながら、凄まじい笑い声を上げる。
「こりゃおもしれぇや。俺も手伝ってやるぜ」
腕を抱えていた男子も片手を伸ばし、坊ちゃん刈りの腋の下に指を這わせ、蠢かせる。周りで見物していた男子児童たちもくすぐりに加わった。
「ぎゃはははは、やめてよ、ぎゃははははははぁ!」
何人もの児童にくすぐられ、男の子の笑い声がさらに激しくなった。
その時、スポーツ刈りの男子が、すっとんきょうな声を上げた。
「あーっ、こいつ、ここ固くしてるぜ!」
スポーツ刈りは、よってたかってくすぐられ続けている男の子の無防備なズボンの前を無遠慮に掴んでいた。
「おい、本当か?」
他の男子もくすぐりの手を止め、男の子のズボンの前を掴んだ。
「本当だ。こいつ、普段大人しい割に、すげえスケベだな」
「そ、それは、お前たちがこんな事するからじゃないか。こんな事されたら、誰だってこうなるさ。さっきそう言ったじゃないか」
坊ちゃん刈りは、顔を真っ赤にしながら抗議した。
「それじゃ、本当にだれでもそうなるか、試してみようか。今度は女の子でな」
スポーツ刈りはそう言うと、にやけた顔を美香の方に向け、真っ直ぐ指差した。
――え? うそ!
美香は周りを見回した。指差されたのが自分ではなく他の子だと思いたかった。
「おーい、川崎、ちょっとこっちに来て、実験に協力してくれないかなぁ」
川崎という名前はクラスに一つしかない。やはり自分に間違いなかった。美香は慌てて逃げ出そうと席を立ったが、教室の出口にたどり着く前に男子児童たちに囲まれてしまった。
「ちっと、美香ちゃんに何するのよ」
一緒に居たポニーテールの友達が両手を広げ、美香の前に立ち塞がった。その両手があっと言う間に男子たちに捕まえられた。
「こういう事だよ」
スポーツ刈りが、ポニーテールの無防備な腋の下に指を這わせ、蠢かせはじめた。
「きゃはははは、だめぇ、くすぐったい、やめて、きゃははははぁ」
女の子の甲高い悲鳴が教室に響き渡った。
美香は何とか逃げようと男子たちの間をめがけて突進しようとしたが、その瞬間腕を掴まれた。
友達と同じように腕を大きく広げさせられる。周りから、妖しく蠢く無数の指先が、美香の無防備な脇腹へと近づきつつあった。
「やめて、お願い、あたし、それ、だめなの。おねがい、ああああっ!」
ミカは必死にもがき、大声を上げながら目を見開いた。
狭く薄暗い部屋の中だった。ミカ以外、誰もいない。小学校の教室ではない。自分の着ているのもビジネススーツであり、小学校の制服ではない。
「サイトウ殿、おはようございます。あと5分で第2宇宙コンビナートに到着です。着陸時の衝撃に備え、シートベルトを今一度確認して下さい。あと5分で……」
部屋に響いた声を聞いてはっきりと思い出した。ミカはシャトルに乗って、リアルメカニクス社の宇宙工場へ戻る所なのだ。
ミカはソファの背を起こした。
「外の様子を見せて」
目の前のスクリーンに前方の景色が映し出された。
第2宇宙コンビナートの北端中央ハッチはすでに大きく開かれて目の前に迫り、今にもミカの社用シャトルを飲み込もうとしていた。
操縦パネルの時計は午前4時25分を示している。普段よりも3時間以上も早起きした事になる。しかしのんびりしていられるわけではない。外部から工場に入る者は、たとえ工場の従業員であっても入念な身体検査を受けなければならないのだ。
検査の目的は二つ。一つはコンビナートに男性が紛れ込む事を防ぐ事、もう一つは工場の従業員を名乗って入って来る者が、本人である事を確認する事である。
「テレビをつけて。ニュースチャンネルを」
フロントパネルの一部に四角い画面が現れ、外の風景とは別のものが映し出された。
「現在多発しております20歳未満の男性による女性居住区への不法侵入事件について、意見交換会が行われました。この会合で、加害者のうちの50%が第3マザーファクトリーで生産されており、多発している性犯罪を撲滅する為には第3マザーファクトリーについて徹底的に調査する必要があるとし、調査員の派遣を要請する意見書と署名を、マザーファクトリーを管理している生命技術省に今月中に提出する事になり……」
ニュースを見ながら、ミカは眉をひそめた。
男の子は、いつの時代でも悪いことばかりする。やはり、全人類を男にするのは間違いなのだ。全人類を女にすのであれば、世界はもっと平和になるはずなのに、とミカは思った。
アダムズ計画の発端は、ある学者の言葉だった。
「我々人類は、自然界のさまざまな脅威と闘い、克服し、ひいてはその力を利用しながら生きのび、文明を発展させてきた。それを可能としたのは、科学技術に他ならない。
しかし現代科学を以ってしてもなお人類の克服できない自然の脅威が存在する。それは、我々人類の持つ、原始的な欲望である。その欲望により、世界のどこかで絶えず戦争や醜い争いが発生し続けている。そればかりではなく、原始的な欲望は人間の様々な行動に影響を与え、判断を誤らせる。
例えば、本来明確かつゆるぎない価値基準で行われるべき美術作品の評価の場においてさえも、我々の視線は女性の裸体を描いた作品に引き付けられる。
人間にこのような誤った判断や行動をさせる元凶である原始的な欲望に対し、我々人類はこれまでに培ってきた科学技術を結集して立ち向かわなければならない」
その言葉がテレビ演説だったとしたら、視聴者は嘲笑したであろう。しかし、それが生物工学の国際会議での事となれば、話は違ってくる。
当時、その言葉に感銘を受けたある研究員は、ヒトの遺伝子からの欲の削除という新たな研究テーマを見出し、またある者はヒトの無性生殖に関する研究を開始した。
それから数年後、とあるアメリカの大学生が、ラットの卵細胞の人工孵化に成功した。哺乳類の卵細胞が雌の子宮を使わずに孵化したのは、これが初めてだった。
その後も研究を続けた彼は、猿の人工孵化にも成功。そしてチンパンジーでの成功を機に大学を中退し、会社を設立した。
会社の名前はアダムズ・マザー・エイジェンシー。事業内容は代理母の斡旋だった。
当時、代理母を探す事は非常に難しいとされていたが、この会社は依頼主に対して短期間で確実に代理母を斡旋していた。その噂は全米に広まり、会社には依頼者が殺到するようになった。
しかしその噂は同時に政府関係者の耳にも入り、会社は政府の許可なく人間の卵細胞の人工孵化を行なった疑いで監査を受ける事となった。
会社の施設内には人工受精卵の生成や人工孵化に関する論文に掲載されていたものと極めて構造の似た装置が幾つも発見されたが、決定的な証拠は見つからず、調査は長期に渡って行われる事となった。
しかし、その調査は数週間で打ち切られた。会社に日本政府によって買収されたためだ。
買収を提案した国会議員は政治汚職の根絶を公約に掲げて当選した者だった。その公約を実現する手段として、アダムズ・マザー・エイジェンシーの持つ技術を選んだのだ。
それから2年後、日本で最初の大規模な人間製造工場、第1マザーファクトリーが稼働を開始した。
人工受精卵に組み込むヒト遺伝子からは、ヒトの基本的欲求のうち性欲のみが削除された。他の欲求を削除した場合にどのような影響が出るか、予測できなかった為だ。
工場で生産される子供は全て男の子だった。性犯罪や性差別を根絶する為、国民の性別を統一する為だ。
女性ではなく男性が選ばれた根拠は、ある調査会社が過去に行なったアンケートの結果だった。
「生まれ変わるとしたら、男に生まれたいか、それとも女に生まれたいか?」という質問に対し、男性解答者のおよそ80%が「男」と答えたのに対し、女性解答者のおよそ50%もまた「男」と答えたというのだ。
マザーファクトリーの稼働開始に伴い、婚姻制度は廃止され、男性と女性が同居する事も禁止された。
日本のこのような動きは、やがて世界各国に広まって行った。
それから20年が経過した今、地球上では男性と女性はそれぞれ異なる地域で生活し、何かの都合で男性が女性の土地へ入る時、あるいは女性が男性の土地に入る時は、警官の付き添いが必要となっている。そしてそれは、地球から遠く離れた周回軌道上の宇宙工場でも同じ事であった。
格納庫での自動着陸が完了すると、美香はシートベルトを外し、機内エレベータへと向かった。中に入り、扉が閉まると、床の方向、すなわち工場の遠心方向に動き始めた。
最初、ミカを床に引き留めるものはブーツに埋め込まれた磁石のみであったが、時間が経つにつれて、身体全体を下の方へと押し付ける力が強まって行った。エレベータがとまった時には、あまりの身体の重さに倒れてしまいそうだった。地上と同じ強さの重力のはずなのに、自分の身体が地球を出発した時よりもはるかに重く感じられる。
それは、今まで無重力状態だったからというだけではない。ここはミカが男たちの為に忌まわしいロボットを開発しなければならない工場だからなのだ。そしてその工場に入る為に、身体検査を受けなければならないからだ。
その身体検査は、ミカにとっても、この工場で働く他の社員にとっても、決して慣れる事のできるものとは思えなかった。
エレベータの扉が開いた。
ミカは、白い光に包まれた、病院の処置室を思わせる広い部屋に出た。間隔を開けて整然と置かれているワゴンや棚には、見慣れない器具が並び、人の背丈ほどもある怪しげな機械も目に付く。
看護婦を思わせる白衣に身を包んだ何人もの女性たちが数名ずつのグループに分かれ、方々に集まって何かを取り囲んでいる。おそらくそれぞれの集まりの中心には工場に入ろうする他の被験者がいるのだろう。
ミカの目の前にもまた、数名の若い女性たちが美香の方を向いて並んでいた。
ミカは女たちの案内に従ってしばらく歩き、指示された場所で足を止めた。女たちがミカを取り囲んだ。
「服を脱いで、ベッドに横になってください」
そう言った美香の正面の女の顔は、まるでこれから楽しいゲームでも始めるかのような好奇心に満たされている。他の女たちも、妖しい期待に目を輝かせながら、美香の身体をなめるように見回している。そのねっとりとした視線は、美香に服を脱ぐのをためらわせるのに十分すぎるほどであった。
「そんなにジロジロと見ないでください」
ミカは、スーツの胸元を両手で押さえ、怯えた目で女たちを見回した。
「何をしているの? 女同士なら、恥ずかしがる事はないでしょ? それとも、私たちに見せられないものでも持っているのかしら?」
ミカの後ろに立っていた女が耳元で囁きながら、手を前へと回した。その手は無遠慮にもミカのスーツの懐へともぐり込み、ふくよかな胸の膨らみをブラウスの上から揉みしだいた。
「あふぅっ、いやっ、何すんのよ!」
ミカの口から甘い悲鳴が迸る。
女の手を引き剥がそうとしたミカの両手を、そばにいた二人の別な女がしっかりと掴んだ。
「もちろん、検査に決まってるでしょ。この工場は男子禁制ですもの。あなたが本当に女かどうか、しっかりと確かめなければならないわ」
背後の女の指は、ミカの敏感な胸の蕾を探り当てると、ブラウスの上からなぞった。
「あうっ!」
ミカの身体がビクッと震えた。
「どうやらここは女のようね。でも、まだまだ分からないわ」
女は素早くミカのスカートを脱がせると、ブラウスのボタンを外し、あっと言う間にブラの前ホックを外した。
女の両手がミカの露になったふくよかな胸の膨らみを包み込み、指がピンクの蕾を転がす。
「あふっ、ああっ、だめぇ!」
美香の口から甘い喘ぎ声が漏れる。
「本当にイヤ? でも身体はそうは言っていないわよ。だってここ、こんなに固くなってるもの」
女はなおも執拗にミカの乳首を指で責め立て、淫らな悲鳴を上げさせる。女の指先によって生み出される女の悦びが全身に広がり、女の部分を誘惑する。思わずモジモジと太腿を擦りあわせるように腰をくねらせてしまう。
それを見てとった女はミカの耳元で囁く。
「腰の動きがいやらしいわよ。胸の他にも、もっとよく調べてほしい所があるのかしら?」
ミカは女の恥ずかしい質問に顔を赤らめながら、女の指によって胸の蕾に注ぎ込まれる桃色の悦びに耐えているだけで精一杯だった。
女の片方の手が胸の膨らみから離れたと思った瞬間、ミカのスカートのファスナーを素早く降ろした。
「あ、そこはだめっ!」
ミカはスカートの中に侵入しようとした女の手を思わず掴んだ。
「ふふっ、やっぱり何か隠しているようね。こうなったら徹底的に検査しなければならないわ」
女は妖しい微笑みを浮かべながらミカの耳元で囁く。
いつの間にか、二人のメイド服姿の若い女性がミカのそばに立っていた。二人はミカの両手を掴むとしっかりと抱え込み、すぐ近くに置いてある奇妙な物体の方へと引っ張り始めた。
「さあ、ミカちゃん、いい子だからベッドへ行きましょうね」
メイドの一人が子供をあやすように言い聞かせる。
「いやよ、離して」
ミカは必死に抵抗したが、二人のメイドはその容姿からは想像できないほどの異常な力でミカを引っ張って行く。
彼女たちがベッドと称する物体のそばまで来た時、二人のメイドの手が素早く動いた。目にも止まらぬその動きに、ミカは何が起こったのか分からなかった。
次の瞬間、ミカは自分が一糸まとわぬ生まれたままの姿でベッドに拘束されていた。ミカが一瞬前まで着ていた服は、すぐそばの床の上にきれいに畳んで置かれている。人間には不可能な業であった。
ミカの拘束されたベッドは、そうと知らなければ決してベッドであるとは分からない。なぜなら、そのベッドは手足を広げた何かの動物の骨をかたどったような、金属の細い棒を何本も組み合わせたものなのだ。棒のところどころに小さなクッションが取り付けられており、ミカはそれらのクッションの上に手足と胴体を乗せている。手足は大きく広げられ、それぞれの手と脚が別々の棒に、丈夫なバンドで固定されている。
「いやっ、お願い、見ないで!」
ミカの悲鳴が白い部屋に木霊する。
普段は服の内側に隠れている胸の膨らみや、女の子の大切な部分が、同性とはいえ多くの視線にさらされている。それが恥ずかしくてたまらないのに、それらを隠す事はできないのだ。
白衣の女性の一人がミカの大きく開かれた太腿の間にしゃがみ、最も恥ずかしい部分を覗き込んでいる。
「まずはここをしっかりと検査してあげるわ。さあ、あなたたちも手伝うのよ」
女に促された別な白衣の女二人が、両脇に立った。ミカのふくよかな胸の膨らみに指を這わせ、撫で回す。
「いや、そんな事、もうやめて!」
ミカは二人の指の動きのもたらす妖しい刺激から必死に逃れようとするが、ベッドにしっかりと固定された身体は全く動かない。
「ふふっ、恥ずかしがっている仕種は女の子のようね。でも、いつまで続くかしら?」
二人の女はミカの耳元でそう囁くと、その唇を下の方へと持っていき、ミカの胸の膨らみの、敏感な蕾を含んだ。
「ああああっ、だめぇ、それ、すごい!」
二人の女の手と唇と舌が動く度に、ミカの身体が激しく震え、甲高い悲鳴が迸る。
さらに、二人のもう片方の手は、ミカの全身を撫で回している。
胸の膨らみと蕾、そして全身を刺激する女たちの動きに、ミカは桃色の悲鳴を上げ続けていた。
ミカの大きく開かれた恥ずかしい部分から、透明な蜜があふれ、糸を引いて床に落ちた。
「あら、ここから何か零れたわ。何かしら?」
その部分を覗き込んでいた女の手が、茂みをまさぐる。
「だめぇ、そんな所触っちゃいやあっ!」
ミカの悲鳴など聞こえないかのように、女はミカの恥ずかしい花びらをくつろげる。その奥から、大量の恥ずかしい証しが溢れ出た。糸を引いて、ポタポタと床に落ちる。
「どうやら一見した所、ここは女の子のようね。しかもこんなにぐちょぐちょにしてるなんて、とってもいやらしい子。それなら、ここはどうかしら?」
女は指をほんの少しだけ上の方へ滑らせ、固く尖ったメシベを探り当てた。
「あひぃっ、ああっ!」
敏感なメシベに触れられたミカの身体が、ビクビクと跳ねる。
意地悪な女はミカの身体の恥ずかしい反応を楽しむように、なおも執拗にメシベを指先で撫でさする。
「だめよ、お願い、もうやめて、あたし、もうだめぇ!」
「まだまだよ。あなたのここ、こんなに固くて大きいんですもの。もしかしたら、男の凶器かもしれなくてよ。もっと徹底的に調べる必要があるわ」
女は意地悪な笑みを浮かべながら、ミカの敏感なメシベを唇に含んだ。唇でそよがせながらきつく吸い上げ、舌先で転がし、撫で上げる。その刺激の一つ一つにミカの身体がビクビクと跳ね、激しい悲鳴が迸る。そして花園の奥からさらに大量の蜜が溢れ出し、床に零れる。
それらの恥ずかしい反応の数々をひとしきり楽しむと、女は片手の指をミカのぬれそぼった花園の奥へと沈め、静かに動かし始めた。それと同時に敏感なメシベを舌と唇でなおもいっそう激しく責め立てながら、もう片方の手をお尻へと回し、むっちりとした膨らみに指を這い回らせ始めた。
「ああっ、だめぇ、そんな……きゃはははは、はううん、くうっ、ああっ!」
激しい悲鳴と笑い声、そしてあえぎ声を上げながら、ミカは激しく身悶える。
お尻を妖しく撫で回す何本もの指の刺激は、ミカに恥ずかしい悲鳴を上げさせると同時に、敏感なメシベと胸の蕾をいっそう固く尖らせる。それらの固くなった敏感な部分を三人の女の唇と舌先で弄ばれる度に、激しい桃色の稲妻がミカの全身を突き抜ける。
濡れそぼった恥ずかしい花園はさらに恥ずかしい刺激を求めて脈打ちながら、淫らな証しをさらにしとどに溢れさせ、女の手と床を濡らす。花園の奥で激しく蠢く指は、さらに凄まじい快感の稲妻を生み出し、ミカの全身を激しく身悶えさせる。くすぐったさと恥ずかしい快感の嵐に、ミカは今にも気が狂いそうだった。
「ああっ、もうだめぇ、あたし、だめぇ、ああっ!」
甲高い悲鳴と共に、ミカの身体が大きく震えた時、ミカの内側で蠢いていた指の動きが止まり、同時にメシベを吸い上げそよがせていた唇と舌がその部分から離れた。ミカを今にも天の高みへと舞い上がらせようとしていた恥ずかしい女の子の刺激が突然消えてしまった哀しさに、ミカは思わず悲鳴を上げた。
「いやっ、やめないで!」
叫んでしまってから、その言葉のあまりの恥ずかしさに、ミカの顔が赤く染まっていく。
近くにいた白衣姿の女の一人が、ミカの顔を覗き込んだ。ミカは思わず顔を背けようとするが、身体が拘束されていてはどうにもならない。
「うっふっ、ここをもっとよく調べてほしいなんて、大した自信ね。ここを調べている限り、あなたが男であったとしても、その事はばれないという事かしら。それなら、他の所もよく調べる必要がありそうね」
女が妖しい笑みを浮かべながらそう言った直後、ミカは身体中のいたる所に何かが触れるのを感じた。その刺激が妖しく蠢き始める。
ミカを取り囲んでいた白衣の女たちが一斉にミカの身体中に両手の指を這い回らせているのだ。
「きゃははは、だめぇ、お願い、それはだめぇ、きゃはははは!」
無数の指が身体中を這い回る妖しい刺激に、ミカは激しい笑い声を上げた。そんなミカの笑い声など聞こえないかのように、女たちの無数の指はミカの身体中を妖しく刺激し続ける。
特に脇腹や腰にを這い回る指のうちのいくつかは、時々その部分を強く押して食込み、奥の敏感な神経を転がすように刺激する。その度に耐え難い稲妻がミカを突き抜け、身体が激しく跳ねる。
「女たる者は、どんな時にもおしとやかにしているものよ。こんなに暴れる所を見ると、やはり男が化けているのかしら? もう一度徹底的に調べてあげるわ」
ミカの花園を覗き込んでいた女の手には、いつの間にか小さな筆が握られていた。その穂先で、ミカの敏感なメシベを撫で上げる。それと同時に中に沈めていた指を再び蠢かせ始める。
「あうっ、ああっ、きゃははは、だめぇ、あふぅっ!」
身体中を無数の妖しい指で刺激されながら、女の子の敏感な部分を淫らに動く指と無数の毛先でイタズラされているのだからたまらない。
ミカは激しい桃色の悲鳴と笑い声を上げ続けた。
筆の穂先が固く尖ったメシベをひとしきり刺激すると、花びらの方へと降りていき、執拗に這い回る。そしてしばらくすると、また上の方へと戻っていき、無数の毛先が固く尖ったメシベを再び撫でさするのだ。
「ふふっ、ここ、自分から刺激を求めてピクピク動いてるわ」
筆をメシベに這わせている女の意地悪な言葉に、ミカは顔を真っ赤に染める。
「きゃははは、お願い、言わないで、ああっ……」
「笑いながら言われても、説得力なくてよ。本当はもっと言ってほしいんじゃないかしら」
女はなおも巧みに指と筆を動かし、ミカに熱い喘ぎ声を上げさせる。
他の女たちもミカの身体中に手を這い回らせ、ミカに甲高い笑い声を上げさせる。
筆を操る女の指の沈む花園の奥から、透明な蜜が溢れ、糸を引く。その女の証しが床の上に大きな水溜まりを作り、周りの女たちの足元を濡らすまで、検査は続けられた。
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