ert作品

クスグリトラレ

第13話 尿意
「お、お願い……、あ、芦浦……、お風呂、いかせて……」
 動画の日付は土曜日になっている。
 疲弊した星野さんの顔はやつれて見えた。
 芦浦が、星野さんの口へ、ペットボトルに入った黄色い液体を流し込む。栄養ドリンクかなにかだろう。
 ちゃんと口にくわえさせない上に、角度が急なので、だぱだぱと口元からこぼれる。見た所900mlペットボトルだ。
「げほっ、げほぉぉ……お願い、もっと丁寧に……」
「うるせーな! 水分補給させてもらえるだけでも、ありがたいと思え」
 芦浦は、空になったペットボトルを放り捨てると、彼女の足下にしゃがみこんだ。
 星野さんは、両足ともすでにソックスを脱がされており、素足だった。
「やっ……お願いっ! ちょっと、ちょっとだけでいいから! これ、外して……、逃げないから」
 星野さんは必死に訴える。
 芦浦はその様子を見てにやりと笑う。
「じゃあ『くすぐり気持ち良い』って100回言えたら、休憩させてやるよ」
「く、くすぐり気持ち良いくすぐり気持ち良いくすぐり――」
「馬鹿かお前。くすぐられながら決まってんだろうが」
 芦浦は、彼女の両足の指の付け根の下――芦浦が「肺臓」だと言っていた部位――をカリカリ10本の指でくすぐり始めた。

「きひゃっひひひひひひひひひ!!? いひぃぃいくしぃぃいひひひ、いきなり強いぃい゛い゛ひひひひひひ〜〜!!」

 星野さんの足の指が閉じたり開いたりしてよじれた。

「さあ、言え」

「くすぐりきもひぃぃひひひひひひひ!!! くしゅううひひっひ、ぐりきもぃいひひひっっひっひっひっひひっひ!!! くしゅぐりぎもひぃ〜〜〜っひっひっひっひっひ!!!」

 星野さんは必死に歯を食いしばって叫ぶ。
 しかし、芦浦は、
「ちゃんと聞き取れるように言え。俺が判定する。今のは全部ノーカンな!」

「そんな゛あぁ゛がはひひひひひひっ!!?」

 星野さんは、絶望した表情を浮かべる。
 それでも再度歯を食いしばり、

「く、ぎぃぃいぃっひっひっひっひ、くすぐりっ……ぐぎぎぎぎぎひひひひひ、きもちいいっ!!! ぶふひひゃははははははは!!!」

 鼻水を噴き出しながら言い切った。
 芦浦は、機械的に指を動かし続けている。
「そうそう。いまので1回。あと99回、がんばれ」

「ぐふぅぅい゛ひひっひいひっひ、くしゅ、くしゅうぎぃぃぃ、きもちいぃ゛ぃいっひっひっひっひっひっひ!!!」

「ノーカン」

「くすっ、ぐぎぃぃいっぃっひっひっひっひっひ、くすぐりぃいっひっひっひっひっひ、きもひぃぃぃいいいい゛ぃ゛〜〜〜!!!」

「ノーカン」

 あまりに厳しい芦浦のジャッジ。星野さんは泣きながら「くすぐり気持ち良い」を叫び続けた。
 そうして、20回目のカウントが認められたあたりから、星野さんの反応に変化が訪れた。

「くひひひひひ、……く、くしゅぐりゅっ……あはははは!? おね、あひうらっ、休憩させてっ……ぎぃぃぃっっひひひっひっひっひっひ!!!」

 膝をがくがくと揺らし、身もだえする星野さん。
 きゅっと拳を握りしめて、全身に力が入っているようだ。
「あ? まだ全然ノルマ達成してねーじゃねーか。甘えるなよ」
 芦浦はにやにやしながら爪で彼女の足の裏を弾いた。

「ひぃぃいいっひっひひっひっひ!!? まま、まってぇぇへへへへ、ホントに……っ、限界だからぁあははははははははは!!!」

 星野さんは、泣き叫ぶ。
 彼女は腰を浮かせたりねじったりしていた。膝が激しく揺れるのは、股を閉じようとしているように見えた。
「なんだよ。なにが限界なんだよ。言わないとわからないだろ?」
 芦浦はそう言うと、両手の指を蠢かせながら下方へずらしていき、土踏まずのやや内側下部をカリカリと引っ掻く。

「ひ゛や゛ぁ゛あぁあがぁはははははははっ!!? だめ゛ぇ゛えぇへへへへへへ、漏れちゃうう゛ううぅぅ!! でぢゃう゛がら゛ぁああひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

 星野さんの体が激しくのたうちまわる。
「だったら早く100回言えよ」
 芦浦が執拗にその部位をくすぐりながら言う。

「むり゛むり゛ぃいい゛ぃ゛〜〜っひっひっひっひっひっひ!!! お願いぃいいいぎひひひひひひひひひ!!! といれいかせてぇぇぇぇぁあぁ゛ぁ゛ぁあ゛〜〜〜〜がああははははは」

 星野さんは、腰を激しく上下に動かして暴れた。
 そして、彼女がひとしきり大きな悲鳴を上げると、体が弓なりに仰け反った。

 ぷしゅ。

 彼女の股間で音が漏れた。直後、じゅわ、と彼女のスカートの裾から黄色い液体が溢れだしてきた。

「ぶえっぇひへへへへへへへへ!!? ばがぁあぁはっはっははっははは、もれ゛ぢゃっだあぁぁがははははははははは〜〜!!!」

 彼女は泣きながら怒りを露わにしているようだが、口角が上がっているため醜く歪んで見える。
「あーあ、漏らしやがったな。ひとん家で。高校生にもなって」

「ひぇっへっへっへっへ、ぞん゛な゛のぉがはははははは!!! どい゛れ゛いがせでい゛った゛の゛にぃいぃいぃっひっひっひっひっひっひ〜〜!!」

「漏らしたから、罰として、またゼロカウントからやり直しな」

「ひぎゃぁぁああはははははははは!!? おにぃいいっひひひひひひひ、あ゛く゛ま゛ぁ゛ぁ゛ああがひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ〜〜っ!!!」

 芦浦の指の動きにあわせて、星野さんは身をよじる。そのたびに、彼女の背中で尿が飛沫を上げた。


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