犬童頼房作品

鎖の夏合宿

第4話
「幸江、私の胸も見せてあげる。私の胸って小さくて、他の人に見せるのは気が引けるんだけど、幸江にだけなら見せてあげる。ううん、幸江に見て欲しいの。見てくれる?」
「見せて見せて」
 幸江の期待に満ちた視線を受けながら、美園はシャツの裾を胸の上まで引っ張りあげた。フロントホックを外す。決して豊かな胸とは言えないが、濃いピンクの乳首はつんと上向いてその存在を誇示していた。
「どう、私の胸は」
「うん。すてきだわ。とってもきれい。ギリシアの彫刻みたい」
 幸江は目元を潤ませ、上気して頬を赤く染めていた。その姿に、美園は我慢ができなくなり、衝動的に幸江を抱きしめた。
「幸江…」
「み…美園」
 唇を重ね、胸と胸とをも重ねる。幸江の豊満な柔らかい乳房と美園の小さく引き締まった乳房とが密着し、美園が体を揺するたびにこすれ合った。
「あ…美園の乳首、コリコリしている。こすれて…気持ちいい。もっとこすってえ」
 胸をはだけたまま幸江は、過敏になった乳首に、しこりきって堅くなった同性の乳首を感じ、我知らず恥ずかしい催促の言葉を口走ってしまった。
 快楽に脳髄を犯されているたのは幸江だけではない。美園も、女同士の妖美な戯れに酔っていた。胸から甘やかな刺激が広がり、全身を犯す。そしてなぜか下半身が疼いた。くすぐったいと言うか、かゆいと言うか。
「幸江…」
 左手で幸江の肩を抱き寄せながら、も園は、右手を徐々に幸江の腰の辺りに這わせていった。美園の手は幸江の腰から尻を撫で、太股をさすった。そしてついに腿と腿との間、女性の最も恥ずかしく秘められた場所を求めて、美園の手は短パンの裾にもぐりこんだ。
「ああん… そんな所…」
 幸江の弱々しい哀願をすげなく無視し、美園の指は、幸江の下着の内側にすべりこむ。しっとりとした下腹の肌には、ちぢれた陰毛が生えている。毛を撫でたり引っぱったりしながら、美園は意地悪く幸江の耳元でささやいた。
「お嬢様の幸江にも毛が生えているのね。さっき、幸江がおしっこした時に見せてもらったけれど、こうして改めて手で触ってみるとずいぶんと生々しいわ」
「よして。変なこと言わないで」
「ふふふ。いよいよこれからがお楽しみよ」
 美園の手はさらに下へと這い降りてゆこうとする。させまいとして幸江は太腿をきゅっと閉じ合わせた。
「ほら、脚をゆるめて。無駄な抵抗は幸江のためにならないわよ」
 胸と胸とを合わせたまま美園はさりげなく脅迫した。脅迫に真実味を加えるために幸江の下草を強く引っぱる。
「ん… 痛」
 わずかだが幸江の脚から力が抜けた。そのすきをついて美園は、右手を太ももと太ももとの間にこじ入れた。
「いや!」
 他人に触れられたことにない場所に親友の淫らな指先を感じて、幸江は体を強ばらせた。女の肉裂に辿り着いた美園の指は、秘めやかな窪みを守るように盛り上がっている肉唇を軽く撫でた。そうやって何度かソフトな愛撫を繰り返して、幸江を安心させてやる。このままずっとこれが続くのかな、と幸江に思わせておいて、いきなり美園は中指を恥裂の内に沈めた。
「あんっ…」
 幸江の腰が跳ね上がった。 柔らかな肉の内側の粘膜は濡れていた。トロリとした粘つく液体が、今にも秘唇の外に滴り落ちようとしていた。
「何よこれは」
 容疑者の前に証拠品をつきつけた検察官のようにニヤニヤと笑いながら、美園は友人の清楚な美貌をのぞき込んだ。
「どういうこと。濡れているじゃないの」
「う…嘘よ、そんなの」
「嘘じゃないわ。ほら」
 美園は、幸江の下着の中から手を抜いて、粘液のついた指を見せつけた。
「恥ずかしい」
 恥ずかしさのあまり、幸江は目を閉じて顔を背けた。
「目をつぶっても匂いはわかるわよね」
 美園は、幸江の鼻先に指を突きつける。なんとも言えない生臭い臭気が鼻をつき、幸江は顔を歪めた。
「自分のアソコの匂いでしょ。そんな顔をすることないじゃん。私も嗅がせてもらおうかしら。」
「やめてっ」
 慌てて幸江は身を起こし、親友の体にとりすがった。
「お願い。嗅がないで」
「じゃあ認めるのね。濡らしたって」
「はい…」
「まったく呆れるわね。こんなに濡れ濡れになるほど感じていたなんて。幸江ったら、はしたないのね」
「そ、そんな」
「でも私の指で感じてくれたのよね。うれしいわ」
 美園は、再び幸江の下着の内側に手を差し込んだ。人差し指と薬指とで姫裂を押し広げ、中指で敏感な粘膜を責めたてた。
「いい…あう…ん」
 顔をのけ反らせ、口を半開きにしながら、美園の指の動きにあわせて幸江は反応してしまう。生まれて初めて他人の指で淫肉を刺激され、自分の指では味わったことのない快美感を経験し、幸江の思考は乱れに乱れた。美園のくねくね動く中指にかき出されて愛液があふれ出し、下着の底に染みをつくってしまう。
「こんなに汁を垂らしちゃって」
 美園はわざと下品な表現を使って幸江を貶めた。
「ねえ幸江、言って。気持ちいいって」
 幸江は無言のまま首を横にふる。しかし赤みがさした肌や潤んだ瞳、プクっとふくらんだ乳首などが幸江の心情を雄弁に物語っていたる。が、美園は幸江自身の口からそれを聞きたかった。
「でないと、指をもっと奥まで突っ込むわよ」
「だめ…」
「処女なんでしょ。大事な処女膜を引き裂かれたくなかったら、正直に言うのね」
「う…気持ちいいです。美園にアソコを触られて気持ちよくなりました。愛液を垂らしました」
 美園はくすくすと笑った。
「幸江がこんなに淫乱だったなんてショックだわ」
「ひどい。美園が言わせたのに」
「いい、幸江。あなたは私の言いなりにならなきゃいけないのよ。捕虜が背中に銃を突きつけられているのと同じように、幸江はアソコに指を突きつけられているのよ。ほんの少しでも反抗したら、私の中指があなたの処女を突き破るからね。それだけじゃないわよ。血を滴らせたアソコの中を掻き回してやるから」
 美園の指は幸江の秘められた坑道の入り口付近をこすりたてる。すると左右の陰唇はひくひくと美園の指に絡みついてくる。
「ああん。何でも言うことを聞くから、それだけは許して…お願い」
「そう。じゃあ、こう言うのよ」
 耳元で卑猥な言葉がささやかれた。とてもそんなことは言えないと、幸江は首をふった。
「あら、さっきの言葉をもう忘れたの?」
 獲物を足下に見下ろしながら余裕の表情で美園が言う。
「うう…言います。幸江のいやらしマ*コから湧き出た蜜で…下着がぐしょ濡れになってしまったので、どうか…パンティーを脱がしてください」
 羞恥にさいなまれながら幸江は言った。
「よく言えたわね。いいわ。濡れ濡れで気持ち悪かったでしょ。脱がしてあげるからね」
 まず短パンが下ろされた。その次に下着に手がかけられる。陰部があたる部分の布には染みができていた。そこに美園が悪戯をする。布の下にある縦の溝に沿って人差し指が上下する。
「あん…いや…」
 布の上からの甘い刺激に、こらえきれずに幸江は腰をくねらせてしまう。
いままでに出したことのないような艶めいた声がもれ、ますます蜜を滲ませる。
「うふふふ。これ以上、下着を汚さないように脱がしてあげるわ」
 幸江の腰からゆっくりと焦らすように白い布がはがされてゆく。
「ほらほら、毛が見えてきたわよ。あと少しで裂け目が… やだ、こんなに濡らして」
 幸江の下着は、恥部を隠す役割を放棄させられ、足鎖の所まで下ろされた。
自分がどんなに恥ずかしい格好をさせられているかを思うと、幸江は身が縮みそうだった。胸ははだけ、二つの突起はつんと尖ってその存在を主張している。足の付け根を覆うべき布はそこになく、性の茂みがさらけ出されている。その茂みはごく薄く、その下に息ずく濡れそぼった肉の狭間を遮ってはくれない。
 美園の視線が、少女の部分をねちねちと這いまわった。
「うう…そんな目で見ないで」
 少しでも股間を隠そうと、幸江は太股をよじり合わせた。
「どうしたの、もじもじしちゃって。刺激が足りなかった? さあ、続きを言って」
 先の言葉よりもさらに卑猥な言葉を言うように幸江は命令されている。女子校とはいえ、お嬢様育ちの幸江にとってはとても口にできないような内容だった。幸江は美園の顔色をうかがい、赦してくれそうもないと悟ると、小声でしゃべり出した。
「…あ…アソコを開いて、女の…雌しべをいじめて…気持ちよくして下さい」
 言い終えた途端、恥ずかしさのあまり幸江は顔を背けてしまった。
「まあ、幸江お嬢様がそんなエッチなことをおっしゃるなんて。信じられない。クラスや部活のみんなに聞かせてあげたいわ」
 身悶えする幸江の様子を、さも楽しげに美園は見下ろしている。
「いいわ。たっぷりと可愛がってあげる」
 幸江は体をおこされて、美園の胸に背中を預けた。美園の胸の突起が、幸江の背中に感じられる。幸江の拘束された手は、美園の下腹部にあたっている。
 美園の手が背後からのびてきて、幸江の乳房を捕らえた。しこりきった乳首をつままれると、我知らず幸江は吐息をもらしてしまう。甘やかな波が体の隅々まで伝わる。
「あん、いい…とっても…」
「ふふ…胸が大きい子は鈍感だって聞いたけれど、幸江は違うらしいわね。
すごく敏感。胸をさわられたくらいでこうなら、アソコの蕾をいじったら…楽しみだわ」
 美園の唇が、幸江の右の乳首をついばんできた。舌と唇とでやさしく慰撫されると幸江の薄桃のとがりは、はち切れんばかりに充血した。一方、美園の右手は、幸江の腹部をやわやわと這い降りている。へそや脇腹をくすぐられると、たまらずに幸江は体をヘビのようにくねらせてしまう。なお下に降りると中指がはず草の原にふれた。幸江は、きゅっと脚を閉ざした。
「脚を開いて。でないと可愛がってあげられないでしょ」
 幸江は、いやいやと頭をふる。脚を開いて愛撫して欲しくないわけではないのだが、幸江の理性がそうさせてくれない。
「強情ね。いいわ、これならどう?」
 幸江の胸をもてあそんでいた美園の左手が、いきなり幸江の右の脇の下にすべり込む。
「はうっ」
 普段は人の手にふれられることの無い場所で美園の指は踊りだす。
「や、きゃはははは」
「いかがかしら、私のくすぐり技は。なかなかのものでしょ。中学の頃、友達の女の子をふざけてくすぐっていたら、その子、笑いすぎてお漏らししちゃったの。幸江もそうなりたくなかったら脚を開きなさい」
 幸江の耳を咬んだりしゃぶったりしつつ美園はささやく。まるで悪魔の誘惑だ。美しくも淫らなサキュバスと化した美園は、幸江を禁忌の世界へといざなう。苦痛とも快楽とも異なる刺激が、幸江の倫理観を浸食してゆく。それに気をとられているうちに、下半身への意識が留守になってしまった。すかさず美園の指が、幸江の閉じ合わされた場所に侵入してくる。
「ああ、こそは…あ、くう」
「こんなに濡れちゃって、いったい幸江のアソコはどうなっているの。検査してあげるね」
 人差し指と薬指とが幸江の少女の肉溝を左右に分ける。きれいな桃色をした花の内部が、余す所なく外気にさらされる。
「ふうん。女のアソコの中ってこうなってたんだ。自分でもよくは見たことないから。ほら、幸江も見てみなよ。自分のなんだから遠慮しないで」
「いや」
 蜜を滲ませ生々しい様相を呈している女の器官を、幸江は正視することができなかった。ましてや自分のなら、なおさらである。媚唇を分けたまま、美園の中指が感じやすい粘膜を上下にこすってくる。
「んあああ…変よ。体がおかしくなっちゃう。ああん」
 美園の指の動きのままに、幸江は不自由な体をのけ反らしてしまう。幸江の頬にはほんのりと赤みがさし、目元は快楽のために潤んでいる。美園の指が与えてくれる悦楽は、幸江が今までに体験したことのないものだった。自分でするよりも遙かによい。しかし幸江は、そのことが何だかいけないことのような気がした。また、自分が快楽に溺れている姿を親友に見られるのも嫌だった。
「ああ、もうよして。嫌よこんなの。いけないことなの。わからなくなっちゃう」
「いけないことじゃないのよ、幸江。わからなくなっても構わないの。身を任せていいの」
 耳たぶを咬み、熱い息を吹きかけながら、美園は誘惑した。その間も休むことなく幸江の脇や姫部に淫らないたずらを続ける。
「あ、もう…耐えきれない。み…美園、どうかもっと。お願い、焦らさないで。幸江の…雌しべを…」
 道徳と貞節とがよろめく。その少女の様子を、美園はにやにやしながら堪能している。
「雌しべをどうして欲しいの」
「いじって。さわって。こすって」
 全てを振り払って幸江は親友を求めた。誰に強制されたわけでもなく自身の意志で恥ずかしい言葉を叫んだ。羞恥心や嫌悪感はどこかに吹き飛び、肌と肌とのふれ合いがもたらす快楽に身を委ねた。
「美園にだったら…」
 美園にだったら、何をされてもいいとまで思った。
「幸江…」
 幸江の拘束された体に、美園は後ろから抱きついた。幸江は、この時はじめて美園と真に心が通い合ったと感じた。日常の中での表面的なつき合いでは得られないものを、非日常の中で手に入れたのだ。
「可愛い幸江。たっぷり泣かしてあげる。体がくたくたになっても許さないわよ」
 陶酔感に浸っている幸江の女唇を、美園はあらためて押し広げた。
「あん…」
 たったそれだけで、幸江はうつむいてしまう。蜜に濡れてきらきら光る肉襞がさらされる。肉の亀裂の上に生きづく蕾を、美園の白く細い指先がとらえた。女芯をつつんでいる肉の鞘をやさしく剥きあげる。
「んんあ… やさしく、やさしくしてね…」
「心配しないで。いつも私が自分でやっているようにするから」
 あふれ出す女の果汁を美園は指ですくい、幸江の肉粒にまぶした。
「こうすると痛くないの」
 幸江の敏感な雌しべを、美園はいつくしむように撫でさする。そのたびに幸江の体は痙攣してしまう。下半身から走る甘美な刺激は幸江の体中を駆けめぐり、脳裏に桃色の閃光を明滅させる。
「んふ…ああ…いい…すごい…すごすぎる。壊れちゃう」
 こらえようとしても、のどの奥から甘い喘ぎがもれてしまう。経験したことのない最上級の快楽に対するどうしようもない反応だった。
 美園は、全ての指を駆使して幸江の女を甘やかに責めたてた。乳首を撫で、脇をくすぐる。花びらをこすり、雌しべを摘み、まだ開かれていない聖なる坑道の入り口をつつく。
「気持ちいい?」
 が、聞くまでもない。幸江のうっとりとした表情。狂ったように跳ね踊る肢体。しこりきった乳首。とめどなく湧きだす花蜜。そのいずれもが幸江の心を代弁している。
「んあああ…あああ…」
 美園の手から迸る奔流に幸江の感覚は押し流され、愉悦の大海に漂った。

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