危険な遊戯 |
弘志は、階下に降りて、物置からロープを取ってきた。 「どうするの?」 亜矢は、自分の立場を分かっていないらしい。 「いや、亜矢ちゃんをくすぐるにはこれがないとね」 「ロープ?」 「うん。身動きできなくするためにね」 「ひょっとして、亜矢のことを縛るの?」 無垢な顔で弘志を覗き込むと、ますます苛めたくなった。 「そうだよ。昨日は、ちゃんとくすぐれなかったからね」 昨日は、弘志も遠慮がちに亜矢をくすぐった。それも、片手で亜矢の両腕を押さえたため、実質では片方の指でしか、責め立てることが出来なかった。 「ね…ねえ、お兄ちゃん。本当に苦しくなったら……やめてくれる?」 「もちろんだよ。だから、縛ってもいい?」 亜矢はコクリと頷き、弘志はロープで、左右の手首と足首を縛り、ベッドに貼り付けた。ベッドの角から伸びる4本のロープが亜矢の動きを制している。 「痛くない?」 「うん。大丈夫」 亜矢は動けない状態にもかかわらず、キョロキョロと周りを見渡した。 (これが、SMってやつか) この時、弘志の心の奥底は、亜矢を完全に支配下に置いた気持ちとなった。弘志は、ふつふつと沸き起こる興奮に身を震わせ、数分前の眠気を忘れた。 「今日は、両手でくすぐるからね」 弘志は、指先の準備運動を始めた。 「ちょ、ちょっと…待って」 亜矢は急に怯え始め、体をクネクネとさせた。弘志は、不敵な笑みを浮かべ、 「最初は、脇の下から責めてみようかな」 弘志の両指は、亜矢の脇の下を捉えた。 「キャハハハ……だ、駄目…」 「やっぱり、縛ってるとくすぐりやすいよ」 「キャハハ…や、やめて……キャハハハハ…」 「もうやめて欲しいの?」 「…だ……だって…キャ……アアアン」 弘志の指は脇の下から脇腹へと移動した。 「アーン。も、もう…駄目…」 亜矢の悶える声を聞くと、弘志の股間は疼いていく。弘志は、ますます指を加速させ、自分のいちもつを硬直させた。 「キャハハハハ……お…お兄…ちゃん……許して……」 亜矢の途絶える声を聞き、弘志の指は止まった。亜矢は必死に息継ぎをしている。 「あ…ありがとう……お兄ちゃん」 亜矢は、弘志を神様のように奉った。 「休憩してるだけだよ。別に亜矢ちゃんのために、やめたわけじゃないよ」 豹変している弘志に対し、亜矢は恐怖に陥った。弘志は、亜矢を縛りつけたことで、優位に立った錯覚に陥っていた。 「次は、下半身を徹底的に責めようかな」 弘志がボソッと言うと、亜矢は慄きながら、 「お兄ちゃん、やめて。亜矢のお願い!」 亜矢は吐息を漏らしながら、言った。 「全く、亜矢ちゃんはずるいよ。こんな可愛い顔でお願いされたら、誰でも亜矢ちゃんのお願いを叶えたくなっちゃうよ。でも、今日はお兄ちゃんの好きな通りにさせてもらうからね」 「そ…そんな…」 「だって、亜矢ちゃんのお願いは、今、叶えてあげて途中なんだよ。ほら、くすぐって欲しいって言ってたでしょ?」 「……」 「あれは嘘だったの?」 「……」 亜矢は返答が出来ず、息を整えるだけであった。 「亜矢ちゃんは嘘吐きだなあ。こうなったら、お仕置きしちゃうからね」 弘志の準備運動は、再度、始まった。 「キャー、やめて…」 亜矢の言葉を無視し、弘志のくすぐり責めは開始された。今度は、亜矢のパジャマで覆われたしなやかな足の付け根から足の裏まで、指をフル稼動させ、下半身をくすぐった。 上半身のくすぐりと違い、予測が出来ない下半身のくすぐりに、亜矢は笑い声だけを部屋に響かせた。 「キャア…ハハハハハ……キャハハハ…」 「亜矢ちゃん、苦しそうだね。でも、本当はこういう風にお仕置きされるのが好きなんじゃないの?」 足の裏を責める弘志は、意地悪く問い掛けた。 「す…好きじゃ……ない…」 「亜矢ちゃんは敏感だからね。くすぐられて気持ち良くなっちゃうタイプだよ」 「…そんなこと……ないよ…」 「じゃあ、お兄ちゃんが確かめてあげるよ。亜矢ちゃんが変態さんかどうか」 「亜矢、変態さんじゃないもん」 口を尖らせながら、兄に文句を言ったのだが、それも無意味な反抗であった。 (こういう亜矢ちゃんも苛めたくなるな) 「じゃあ、亜矢ちゃんの弱点を責めてあげるからね」 「えっ!」 「お兄ちゃんを怒らせたからだよ」 「そういう意味じゃ……」 亜矢が言いかけた時、弘志は亜矢の体に座り込み、脇の下をくすぐり始めた。 「アアアーン……キャハハハハ……だ、駄目……」 「やっぱり、変態さんだよ。パパとママにも報告しなくちゃ……」 「駄目……キャハハハ……ア…アーン……」 弘志は、亜矢の悶え苦しむ顔を見ながら、十本の指を酷使した。 (亜矢には絶対、マゾの血が流れてる。俺にはサドの血が……) |
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