REDSHO MAFFY 作品

危険な遊戯

第4話 終焉
 亜矢との戯れは、日ごとにエスカレートしていた。お仕置きと称して一晩中くすぐったり、書道で使用する筆で体をくすぐってみたりもした。初めは服の上からくすぐり責めを行っていたが、徐々に亜矢の体ははだけていき、今日に至っては全裸の姿となった。
 1ヶ月経った頃には、弘志のくすぐりの腕も上達し、亜矢の弱点も浮き出しになってきた。脇の下が一番の弱点であるが、意外にお尻も感じやすいようだ。桃尻のお尻を責め続けて失禁させてしまったこともあった。
 弘志とは対照的に、亜矢の敏感な体がくすぐりに順応することはなかった。最近では亜矢の体に少し触れるだけで、声を上げるようになってしまった。弘志の指先に恐怖心を抱いているようだ。
「ただいま」
 弘志が居間でテレビを見ていると、昼過ぎに亜矢は帰ってきた。
「試験、出来た?」
「うん。昨日、お兄ちゃんに教えてもらったから」
 亜矢は3学期の期末試験の真っ最中であった。かくいう弘志の方は、大学受験も終わり、高校も自由登校となっていた。
「ねえ、お兄ちゃん」
「どうかしたの?」
「今日も教えて欲しいの。私、英語が分からなくて…」
「いいよ」
 弘志が優しく答えると、亜矢は満面の笑みを浮かべて、コートを脱いだ。
 弘志と亜矢は以前と変わらぬ、仲睦まじい兄妹のままであった。ただし、禁断の遊びを興じている時だけは、弘志は亜矢の優しい兄ではなく、サディストになる。しかし、ひとたび遊びが終わると同時に、弘志の変身も終わる。
「ママ、夜までお仕事なんだ」
 テーブルに残した書置きを見て、亜矢は言った。
「そうみたいだね」
「う、うん」
 二人の会話が詰まった。もう言葉は不要なのだろうか。
「二階にいるよ」
 弘志はそれだけ言うと、階段を上った。しばらくして、亜矢は下着姿で弘志の部屋へと入ってきた。部屋にはストーブが焚かれ、寒い季節を思わせない。
 弘志は無言で亜矢をベットの上に張りつけた。準備の整った弘志は、
「さあ、どこからくすぐろうかな」
 と開始の合図を送った。
「……」
「今日はママもいないし、時間もたっぷりあるからね。亜矢ちゃん、耐えられるかな」
「う…うん」
 亜矢は、願望と恐怖が入り混じった顔をしている。
 弘志は亜矢の頭上に立ち、両手で首の周りをくすぐってみた。亜矢は必死に首を引っ込めるが、弘志の指は亜矢の首の奥底まで入り込んでいる。
「キャハハハハ……キャハハ……」
 今度は亜矢の脇の下に両指を伸ばし、無防備な脇の下をくすぐり始めた。今まで亀のようだった亜矢がキリンとなり、必死に脇の下を閉じようとするが、無駄な足掻きのようだ。
「やっぱり、脇の下の方が感じるのかな」
「ア、アーン……ヒャハハハハ…」
 亜矢はそれでもなお、全開となっている脇の下を閉じようとした。すると、弘志の指は先程の首の周りへと戻った。亜矢が首を引っ込め始めると、すぐさま、弘志の指は脇の下へと移動した。
「キャヒャッ……ハハハハ…」
 弘志は、忙しく首と脇の下を交互にくすぐった。亜矢は悶えながらも、ようやくこのくすぐり責めの趣旨を理解した。
「亜矢ちゃんは、首と脇の下、どっちがくすぐったい?」
「……キャ…ハハハ…」
「ほら、きちんと言わないと駄目だよ」
 弘志は催促しながら、指に全精力を注ぎ、脇の下を集中的にくすぐった。
「ヒャハハハハ…イヤッ…………キャヒャヒャー……」
「早く言ってよ」
「キャハハハ…く……く…びです……」
 亜矢は簡単に白状した。この遊びで亜矢の性感帯を知り尽くしている弘志には、容易い事であった。
「じゃあ、首の周りを責めてあげるね」
 しかし、弘志の指は首の周りではなく、相変わらず亜矢の脇の下と脇腹を右往左往している。
「ア、アッ……お、お兄ちゃん……キャハハ…」
「嘘は駄目だよ。本当は、脇の下の方がくすぐったいんでしょ? 」
「……」
「亜矢ちゃんの弱点は分かってるんだから」
 弘志が詰問すると、亜矢は無言で頷いた。
「お仕置きに、徹底的に脇の下を責めてあげるね」
「や、やめてーーーー……」
 弘志は亜矢の両脇を責めたてた。時には両指で片方の脇の下を責め上げ、亜矢を発狂させた。学校や近所では清楚な美少女で通っている亜矢がこんなにも乱れるとは、誰も知る由はなかった。

*  *  *

 小一時間が経ち、弘志のくすぐり責めは亜矢の全身に及んでいた頃、電話が鳴った。弘志は自室のコードレスホンを取った。
「はい。高月ですが」
『美華です。亜矢ちゃん、居ますか?』
 亜矢の親友の美華からであった。弘志も面識があるが、スタイルが良く、大人びている少女であった。亜矢を可愛いタイプとすると、美華は美人なタイプである。
「ちょっと、待っててね」
 弘志は、張りつけられている亜矢のために、受話器を亜矢の耳元にあてがった。
「はい。亜矢です」
『どうしたのよ。急に改まっちゃって』
「えっ。ごめん」
 この環境下では、亜矢を従順にさせるのだろうか。
『亜矢ちゃん。今日の試験、出来た?』
「うん。昨日、お兄ちゃんに教えてもらったから」
『いいな。亜矢ちゃんには、立派な家庭教師がいて。今も教えてもらってたの?』
「う、うん」
 さすがに遊んでいたとは言えない。
『今度、私にも教えてって、弘志さんに言っておいてね』
「ちゃんと言っておくね。美華ちゃんも勉強、教えて欲しいって」
『お願いね』
 弘志に言うまでもなかった。
『それより、昨日のテレビ…』
「キャハハ…」
 弘志は、片方でコードレスホンを持ちながら、もう片方の手で亜矢の脇の下をくすぐり始めた。
『どうしたの?』
「う、うん。な、何でもない」
『それでね。あの番組中で…』
「キャッ…ハハハ…うん」
『何か面白いことでもあったの?』
「ち、違うの…で、でも…キャ…アアーン」
 弘志は片手ながらも、亜矢を笑わせるには十分であった。
『勉強してて、おかしくなっちゃったの?』
「ヒャハハ…アーン…何でも…ないの……」
(全く、可愛いな)
 弘志は、平静を装うとしている亜矢がいじらしく思えた。
『亜矢ちゃん。大丈夫?』
「う……ん」
『あっ! ママが帰ってきた。また、夜にでも掛けるね』
「……アア…ン」
『本当に大丈夫?』
「だ、大丈夫……」
 亜矢は余力を振り絞った。
『じゃあ、切るね』
 美華が受話器を置くと、亜矢はホッと一息をついた後、弘志を伺った。弘志はくすぐりを止めて、
「どうかしたの?」
「だ、だって…お兄ちゃんがくすぐるから…」
「亜矢ちゃんはお利口さんだよ。美華ちゃんにもばれなかったんじゃないの」
「もう!」
 亜矢がいじけると、弘志は亜矢を拘束していたロープを解いた。亜矢は下着姿のまま、弘志に身を寄せた。
「今日は長かったかな。亜矢ちゃんも疲れちゃった?」
「ちょっとだけ。でも、いいの。お兄ちゃんと一緒だったから」
「体、拭いてあげるよ」
 弘志は亜矢の体を熱したタオルで拭きながら、
「ママも居ないみたいだから、食事にでも行こうか?」
「うん!」
「じゃあ、着替えてから行こうね。でも、その後はお勉強だよ」
「……」
 亜矢はそっぽを向いた。弘志が亜矢を覗き込むと、亜矢は覚悟を決めたかのように、
「はーい」
 と、返事をした。

*  *  *

 俺達の危険な遊戯は、いつまで続くのだろうか。近親相姦の壁を超えてしまう時、俺は何を思うのだろうか。ただ、今はこの遊戯を亜矢とやりたい。なぜなら、俺は妹の事を愛しているからだ。
<完>


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