カイン作品

女子高生くすぐりバースデー

3.くすぐられ願望
 香苗がくすぐられる姿を見て、私の心の奥の好奇心はますます強くなってきました。それは、くすぐりというものを経験したことがない私にとって今日のパーティーはすごく新鮮だからです。

(私もくすぐられてみたい・・・。でもくすぐったいってどんな感覚なんだろう。)

 そんな想いで私の頭の中はいっぱいになっています。ところがその反面、さっきまで心の中は期待と好奇心だけだったのに、くすぐられて死ぬほど笑わされて本当に苦しそうだった香苗を見た今、わずかな不安と恐怖心が同居し始めたのです。例えるなら、短気で怒りっぽいけど大好きな彼氏がそばにいてくれてる女の子の心境。胸がドキドキするんだけど、いきなり怒られそうでちょっぴり怖い。そんな感じかな。分かりにくかったらゴメンナサイ。
 動けないように縛られてくすぐられるなんて、だれも経験したことはありません。だからみんなも同じ気持ちになってるみたいで、部屋の空気がピーンと張りつめています。といっても暗いわけではありません。いつものようにワイワイ楽しい雰囲気でババ抜きをしているのですが、みんなすごくくすぐりを意識しているみたいです。いつもの笑顔に緊張が混ざっています。ただ1人違うのは、ついさっき死ぬほどくすぐられていた香苗です。
「やったー! 一番もらい!」
 他の4人と違い、一度くすぐりを体験した香苗だけはリラックスしていました。もう怖いものはないといった感じで堂々とババ抜きをしていた彼女はこのゲームをトップであがったのです。
「さあさあ、だーれがあたしの仕返しを受けるのかなー。」
 香苗はくすぐられた仕返しをすることしか考えていません。しかも倍以上にして返す気満々なのです。・・・とその時、なんと私の手元にババが来たのです。私がカードをひく相手の亜紀は、今度はゆかりがくすぐられる番よというような顔をしています。でもそう見えたのは単に私がくすぐられてみたいと思っているからだけなのかもしれません。
 このババを最後まで持っておけば私がくすぐってもらえる・・・じゃなくてくすぐられる。私はこのババを残しておきたいと思うようになりました。
「よしっ!」
「助かったー!」
 亜紀と朋子があがりました。これで私と優美の一騎打ちになったのです。ババはまだ私の手にあります。

(どうかババをとらないで。みんなで私をくすぐって。くすぐられたい・・・。)

 私のそんな願いもむなしく優美は私の大事なババをひいてしまい、そのまま私があがってしまったのです。
「終わったわね。じゃあ優美、トイレ行って来て。」
「分かったわよ。」
亜紀の指図で優美はトイレに行きました。まあいいや、くすぐるのも楽しかったし。私は開き直って優美をくすぐることに集中しようと思いました。
 優美がトイレから戻ってきて、いよいよ運命のサイコロです。
「香苗の見た後じゃあ4以上はイヤね。1を狙おう。」
 優美がそう言うと、
「ダメよ。そんなのつまんない。4以上、もういっそのこと6出しちゃえ!」
 香苗が興奮気味に言った後優美はサイコロを振りました。
「1ーー!!」
「6ーー!!」
 1と6の応援合戦です。といっても1は優美だけで、私たち4人は思いっきり6を応援しています。ところが出たのは2。私たちはガッカリしました。
「マジー!」
「たった4分ー」
 優美以外はみんな口々にグチりました。
「グチらないの。ほらさっさと縛って。」
 安心したのか、優美がせかします。私たちは優美の手足をベッドの4隅に縛り付けました。優美はノースリーブの水色のブラウスに白いミニスカート姿です。半袖の香苗と違って、ノースリーブの優美はもうすでにきれいな腋の下が露出しています。
「4分ぐらい我慢してやるわ。ごめんねみんな、あんまり楽しませられなくて。」 優美はくすぐりを甘く見ているみたいです。この言葉でみんなの、特に香苗のやる気に火がつきました。
「行くわよ4分間。ヨーイ、ドン!」
 朋子の合図で私たちは優美の全身をくすぐり始めました。
「くくく・・・ダ、ダメ!あははははははははははははは!!」
 すぐに優美は笑い出しました。4分どころか4秒も我慢できませんでした。
「きゃはははははーははははははは!!い、いやあーはははははははははははーー!!きゃーっはははははははははははは!!!」
「あーら優美ちゃーん。我慢するんじゃなかったのぉー?」
 香苗が勝ち誇ったように言います。
「あはははは!ム、ムリよ!ははははははははははー!!ひーっひははははははは!!こんなの!あーはははははは!!!我慢できなーい!!きゃははははははははははははー!!!」
「でしょー。強がっちゃダメよん。」
 4分という短い時間のせいか、私たちの指先は香苗の時よりも巧みさを増しています。それに加えて優美は腋の下が丸見えになっています。「きゃはははははははははは!!!そ、そこダメ!!あはははははははははははは!!!」
「あら、この子腋の下が一番効くみたい。」
「素肌だからじゃない?」
「そっか、だったらブラウス脱がしちゃおか。」
 亜紀はくすぐられてピクピクしている優美を見ながらブラウスのボタンをはずし始めました。
「ち、ちょっと!はははははははははははは!!なにしてんのよーー!!ひゃーっはははははははははは!!」
「ブラウス脱がせておなかを直接くすぐってあげるわ。」
 ボタンをはずし終わった亜紀は、ゆっくりとブラウスを広げました。真っ白なかわいいブラジャーが、くすぐられてプルプル揺れるやわらかいおっぱいを大事に包みながら顔を出しました。私は香苗と2人でおなかをくすぐりました。
「きゃーーっはははははははははははは!!おなかダメェー!!あーははははははははははははー!!」
 優美のおなかの痙攣が激しくなりました。
「あははははははは!!あんたたちー!きゃーははははははははははは!!そんなのルールに無いわよー!!きゃはははははははーー!!くすぐったいぃー!!いひひ!!はーはははははははははははは!!!」
「くすぐったいんだったら腋の下を閉じたらいいでしょ。」
「ホント、そうやって両手あげて腋の下全開にしてると、くすぐってほしいんだって思うわよ。腋の下閉じたらやめてあげてもいいわよ。」
「はーはははははははは!!あーーっはははははははははははは!!!」
「この子バンザイのカッコやめないね。」
「うん。やっぱり4分間たっぷりくすぐってほしいみたいね。」
 優美がベッドにハリツケにされて動けないのに、みんなワザとそんな意地悪を言っています。どうやら優美は香苗よりもくすぐったがり屋みたいです。素肌を直接くすぐっているとはいえ、体の反応は香苗よりもずっといいのです。
「きゃははははははははは!!い、今何分ー!あはははははははははは!!もう!ひゃははははは!!も、もうすぐ4分でしょぉーー!!いやあーーっはははははははははは!!!」
 優美がかわいい顔を涙でぬらして聞きます。
「ところがなーんと、まだ2分過ぎたばかりなのでした!」
「あーはははははははは!!ウソ!きゃーはははははははははは!!そ、そんなのウソよぉー!!はははははははははーーはっはははははははははは!!!」
「ウソじゃないわよ失礼ね。だったら見せてあげるわ。ホラ。」
 朋子がストップウォッチを優美の方に向けました。ホントです。ようやく2分20秒になったところです。でも優美はそんなの見る余裕もなく、動けない体を激しく震わせながらただひたすら笑い続けています。
「きゃはははははは!!く、苦しいぃー!!あはははははははーはははは!!も死んじゃう!あーーっははははははははは!!!た、助けてえーー!!ひーひひひひひひ!!あははははははははは!!!」
 私は優美をくすぐりながら興奮しています。体中をくすぐられて狂ったように笑い苦しんでいる優美が、かわいくて
かわいくてたまらないのです。我慢してやるなんて強がってた彼女の決意を一瞬にして壊してしまう、女の子が他人に見られたくない恥ずかしい顔、姿を思い切りさらけ出させてしまう。そんなくすぐりの魔力に私はとりつかれています。
「ははははははははは!!きゃはははははははは!!死ぬぅーー!!あーははははははははははははは!!」
「なに言ってんの。あたしはこれを8分も続けられたのよ。あんたはたった4分なんだから泣きごと言っちゃダメ。」
 香苗がさっきの仕返しを存分に楽しみながら言います。私も優美をくすぐることを楽しんでいます。
「あはは!あーっはははははははははは!!もう死ぬー!あははははははははは!!ホ、ホントよ!きゃははははは!!ホントに死ぬーー!!ひゃーっははははははは!!きゃはははははははははは!!い、息が!はーははははははは!!息ができなーい!!あーはははははははは!!や、やめて!ははははははははは!!やめてください
いぃー!!」
 優美は女の子の中でもわりと声が高いので、おなかの奥から絞り出される笑い声は部屋中に共鳴して私たちの耳の中でキンキン鳴り続けています。私は優美の子供のようなかわいい笑い声に酔いしれています。
「あと10秒。ラストスパートよ!」
「あはははははははははははは!!!きゃーーっははははははははははははははははーー!!!」
 私は優美をくすぐりながら、またくすぐられたいと思うようになりました。笑いたくないのに笑ってしまい、涙が出てもおなかが痛くなっても勝手にドンドン笑い声が出てくる。いったいどんな感覚なのかな。私は不思議でしょうがありません。こんな体験してみたい、くすぐられてみたい・・・。
「・・・プよ!!」
「えっ?」
「ストップって言ってるでしょ!!」
「あっ!!」
 私は思わず声を出して我に返りました。よく見るともうだれもくすぐっていません。そうです、くすぐりの魔力にとりつかれていた私は時間が過ぎた合図が聞こえなかったのです。
「ゆかり、タイムオーバーよ。ルール通り次は無条件であんたがサイコロを振るのよ。」
 今度こそ本当に私がくすぐられるのです。私の願いは思いもよらない形でかないました。


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