補佐という役職の本当の役割 |
「あーはっはっは!きゃーはっはっは!」 「ごめんなさぁい!あっはっは・・・」 「きゃーはっはっは!あーっはっはっは!」 部屋の中に、桃香の笑い声が響く。 だが、その笑い声も休憩なしでのくすぐり責めが1時間を超えた頃から、徐々に弱くなっていき、1時間半を過ぎたあたりには、すでに息も絶え絶えになっていた。 全身は完全にけいれんをおこし、もはや、逃げようと体を振るようなこともなくなっていた。 「あはは・・・いひひ・・・いや・・・」 「ごめ・・・なさ・・・あは・・・」 「ひひひ・・・ほんと・・・だめ・・・・」 桃香はもはや、うわごとのように、ただただ謝罪の言葉を繰り返していた。 もはや、失神するまで時間の問題なのも、誰の目にも明らかだった。 そのときだった。 「よし、お前たち。一回、止めなさい」 突然、成兼が桃香へのくすぐり責めを止めさせた。 「・・・!?はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」 「はぁ・・・はぁ・・・え?・・・」 不意に全身を襲うくすぐったさから開放された桃香。 長時間のくすぐり責めにより、すでに酸欠寸前だった桃香は、必死に何度も荒い呼吸を繰り返した。 「はぁ・・・はぁ・・・あの・・・・」 「ごしゅじん・・・さま・・・これは・・・」 すでに息も絶え絶えの桃香の耳元に口を近づけ、成兼が言った。 「君に最後のチャンスをあげよう。そして・・・」 「君の選択し次第では、このお仕置きを終わりにしてあげよう」 成兼の言葉に、桃香がビクンと反応した。 「本当ですか!?ご主人様!」 「私、なんでもします!ですから、どうか・・・」 この絶望から開放されるかもしれない期待から、桃香が成兼を潤んだ瞳で見つめる。 そして、成兼が執事たちに言った。 「誰か、再契約用の書類を持ってきなさい」 「他のものは、桃香さんの拘束を解いてあげなさい」 成兼がそう言うと、執事の一人がすぐに部屋から出て行った。 そして、残った執事たちによって、ようやく桃香の拘束が解かれた。 「ありがとうございます。ご主人様・・・」 もはや、自身が被害者であるという感情のかけらもない桃香が、まるで成兼に感謝するように大きく頭を下げた。 それから、1分もしないうちに、先ほど、書類を取りにいった執事が戻ってきた。 手には、ボールペンと、何か書類の束を持っている。 成兼はその書類の束を受け取ると、ボールペンと一緒に桃香に差し出した。 「あの、これは・・・」 桃香が体を震わせながら、成兼からそれらを受け取る。 そして、成兼が言った。 「これは今後、君がこのような問題を起こさないための、新しい雇用契約書だ」 「もし君がこれに同意し、サインするなら今回のお仕置きは終わりとしよう。だが・・・」 成兼が、不気味な笑みを浮かべて言う。 「もし、これに同意できないのであれば、仕方がない」 「先ほどのお仕置きを続けるとしよう」 その一言だけで、すぐに桃香は全身の血の気が引いていくのがわかった。 「ご、ごめんなさい!ご主人様!」 もはや、以前の雇用契約書とどのように内容が違うのかなど、気にしている余裕は桃香にはなかった。 「すぐにサインします!」 桃香はまったく内容を確認せずに、新しい雇用契約書にサインをしてしまった。 「・・・よろしい。では、今日のお仕置きに関しては、終了としましょう」 なぜか、成兼は相変わらずの笑みを浮かべながら、そう言ったのだった。
結局、桃香はその日は自室にて反省をするようにとの指示が出た。 |
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