補佐という役職の本当の役割 |
先輩を見送った後・・・その日の10時頃だった。 執事4名に呼ばれ、客室に行くと、そこにはすでに成兼がいた。 そして、満面の笑みを浮かべて行った。 「桃香さん。改めて、研修終了、本当におめでとうございます」 「さっそくですが、これから特別学習を受けていただきますよ」 いきなりだった。 一気に桃香に緊張感が走る。 「はいっ!私、精一杯、頑張ります!」 一方の桃香は何もわからないまま、とりあえずお辞儀だけした。 そして、以前、先輩に"立ち入り禁止"と言われた違う色のじゅうたんの続く通路をあるいていく。 (・・・先のほうは、こうなってたんだ・・・) どうやら、その先には、さらにいくつか部屋があった。 そのうちの、ひとつの前で成兼が止まった。 部屋の入口には"第一 特別学習室"と書いてある。 「さあ、桃香さん。中へどうぞ」 成兼がそういって、桃香に入るように指示をした。 「はい。失礼します」 ゆっくりと部屋へと入っていく桃香。 「・・・・・・えっ?」 途中で、思わず歩みを止めた。 「あの・・・・、ご主人様。これは・・・・」 すでに明りのつけられた部屋に入った桃香。 その視界に入ってきたのは・・・"T"の字の形の張り付け台だった。 明らかに拘束するためだろう。 その手首、足首、腰のあたりには革製のベルトがあるのが見てわかる。 (勉強のための部屋・・・・だよね?) 自然と、鼓動が早くなっていく桃香。 一方の成兼は、笑顔のままで言う。 「さあ、桃香さん。その張り付け台に背中を合わせるようにして立ちなさい」 そして、当然のように、そう言った。 「あの、ちょっと待ってください・・・」 さすがに戸惑う桃香。 「これって、人を動けなくするためのものですよね?」 「私、何か罰せられるようなことをしましたでしょうか?」 桃香には、なにも拘束されるような失敗をした覚えはなかった。 いや、そもそも磔台に拘束するという行為自体、あきらかに異常に思える。 「もし、私のせいでしたら、せめて、なにか別の償い方を・・・」 まだ、桃香が話している最中にもかかわらず、成兼は4人の若い執事に言った。 「お前たち、桃香さんをこの磔台に拘束しなさい」 すぐに、4人の執事はうなずき、桃香へ近づく。 「ちょ!ちょっと待ってください!」 「だから、なんでこんな!・・・・」 いくらなんでも4人の若い男に、桃香がかなうはずがなかった。 「ちょ・・・お願いです!まっ・・・」 必死の懇願もむなしく、桃香はあっさりと磔にされてしまった。 「なんでですか!?いったい、これはどういうことですか!?」 すでに、左右の手首・足首・腰の計4ヵ所で、丈夫な革ベルトで拘束されてしまい、首以外、満足に動かすことのできなくなった桃香が、怒りをあらわに成兼に問う。 一方の成兼は、あわてた様子など、一切ない。 懸命に拘束を解こうと体をクネクネを動かしている桃香に、笑顔さえ向けながら、言った。 「いいですか、桃香さん」 「今日から、あなたに本格的に"特別学習"を行います」 そんな成兼に、あきらかに怒った様子で言う桃香。 「だから、こんな状態で何の学習をするっていうんですか!?」 そんな強気の態度を崩さない桃香に、笑顔のまま、成兼が言った。 「性行為の中でも特別な価値を持つもの」 「くすぐりに関する学習ですよ」 その言葉を聞いた途端・・・。 「えっ・・・・・・・!?」 今まで声を荒げていた桃香が急におとなしくなった。 (あれ?・・・今・・・・) (くすぐりって・・・言った?・・・) 徐々に桃香の中で、恐怖心が膨らんでいく。 (うそ・・・嘘だよね?) 今、桃香は両手を真横に伸ばし、両足は揃えた状態で丈夫な革ベルトで拘束されている。 そのうえ、腰の部分にもベルトが巻かれ、もはや満足に身動きすら取ることができない。 まして、桃香は自他ともに認める、"くすぐったがり"である。 以前、全身マッサージの際にも、笑いを堪えるのに必死だった。 それを、このようなT字磔の格好で行われたら・・・。 (・・・・・・) あぜんとし、もはや、反論すらできない桃香の磔台のすぐ後ろに回った成兼。 桃香はすでに泣きそうな表情を浮かべ、懇願した。 「お願いです!ご主人様!どうか・・・どうかくすぐりだけはご勘弁を!」 「私、本当にくすぐりに弱いんです!身動きできない状態でのくすぐりなんて、本当に命にかかわります!」 もちろん、成兼は止めるつもりなどまったくない。 ゆっくりと、むき出しになっている桃香の脇の下へと両手を伸ばしていく。 「・・・!?あの、執事さん!」 「お願いです!ご主人様を止めてください!」 このままくすぐられてはたまったものではないと、たまらず、桃香を拘束して以来、傍観を続けている執事たちにすら、助けを求める桃香。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 もっとも、当然のごとく、執事はただただ立ち尽くしているだけだ。 誰も桃香を助けようとはしなかった。 そしてついに・・・。 こちょこちょこちょこちょ・・・ こちょこちょこちょこちょ・・・ 桃香が最後まで拒否し続けた刺激が、むき出しの左右の脇の下から送られ始めた。 「ひゃあ!嫌!だめ!」 「きゃは!きゃーはっはっは!あーっはっはっは!」 成兼が磔にされているため、無防備になっている桃香の脇の下をくすぐり始めた途端・・・。 たまらず、桃香が大声で笑い始めた。 「あっはっは!きゃーはっはっは!」 「だめです!いや・・・あーっはっはっは!」」 「きゃはははは!あーっはっはっは!」 桃香は元々、くすぐりに弱い。 そのうえ、脇の下は、桃香がもっともくすぐりに弱い"弱点"でもあった。 くすぐり責めが始まって数分後には、もう桃香は涙を流し始めていた。 「あっはっは!やめてぇ!ひゃーっはっはっは!」 桃香は、必死に全身に力を入れ、何とかくすぐりから逃げようとした。 だが、両手首・両足・腰をしっかりと磔台に固定している革ベルトは丈夫で、拘束が解ける様子はまったくない。 「あっはっは!きゃーはっはっは!」 もちろん、桃香とて、今までくすぐられたことがないわけではない。 だが、今までは長くてもせいぜい数秒間・・・もちろん、拘束などされてはいない状態でのくすぐりだった。 このように弱点の脇の下を、身動きできない格好で集中してくすぐられるなど、まったくの初体験だった。 「あっはっは!あーっはっはっは!」 笑い狂いながら、桃香は思った。 (こんなの、絶対におかしいよ!) (絶対に・・・絶対に・・・) (絶対、許さないんだから!)
「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
その後、本当に桃香の拘束はすぐに解かれ、自室へと連れて行かれた。 |
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