言われた通り、居住区の各部屋を一つずつ律儀に調べていたマイは、医務斑が持つ端末のアラームに足を止めた。
それはホリィの医療ベットにリンクしていたセンサーからのもので、彼女の体調に異変が生じた際に知らせるように設定していた物であった。
「彼女が目を覚ましたの?」
言って端末の小さなモニターを覗き込んで、マイは息を呑んだ。呼吸・脈拍が異常な数値を示していたのである。
「何よこの数値?何が起こったのよ」
戸惑ったのも束の間、次の瞬間にはマイの身体は医務室に向けてダッシュしていた。彼女はその中で示された数値を確認していた。原因は色々と考えられたが、そもそもの原因が凡例のない事態だったために、おいそれと結論を出すのを避けていた。
センサーの誤作動と言う事もあり得るだけに、まずはこの目で見てから・・・・そう思うマイだった。
センサーが異変を知らせておよそ三分後、マイは医務室に辿り着いた。
「ホリィ目が覚めたの?」
入室一番、マイは虚ろな表情でベットに腰掛けているホリィに向かって尋ねた。
「ええ・・・・・」
ほんの僅か首を傾け、視線をマイに向けてホリィは小さく頷いた。見たところ、身体に何ら異常は見受けられなかった。
マイは彼女の様子を不信に思いつつ端末を確認したが、既に先程の数値は平均値を示し直していた。
「ホリィ、大丈夫なの?」
先程の異常数値は何だったのかと思いいつつ、マイは医療器本体の記録の確認をし始める。
「心配してくれて有り難う、何でもないわ。慣れない事にパニックを起こしただけだから」
「慣れないこと?」
ホリィの言っている意味が分からず、マイは作業の手を止めて彼女を見た。
「ええ、私見たのよ・・・・・」
「見たって何を?何処で?」
「あの変な球体の中よ・・・・・・」
マイはホリィの虚ろな表情と内容の不可解さから、まだ彼女がちゃんと覚醒していないのではいかと思った。確かに彼女は液状になった球体に沈んでいた。それがどのくらいの時間かは見当がつかなかったが、あの中で呼吸が出来たとも思えず、酸素欠乏による障害が起きているのではないかと予想した。
「ホリィ、悪いけどもう一度ベットに横になって。検査するわ」
「検査?私は大丈夫よ・・・・・・・」
「そう言わないで、万一の為よ」
マイはホリィの両肩に手をそえ、優しくベットに横たわらせた。
「私もう、大丈夫なのに・・・・・」
ホリィは横たわったまま、くすくす笑った。それはどう見ても、マイの知る彼女ではなかった。
「すぐ終わるから・・・・・ちょっと調べるだけよ」
自分は医療器の総合コントロール席に座り各スイッチを手順通り押し始めた。
そんなマイの様子と言葉に、ホリィは更に笑い声を漏らした。
「もう私、調べられたもの・・・・今度は貴女の番よ・・・・・」
「?」
マイが何を言っているのか分からなかったが、それでも構わずスキャニングマシンのスイッチを入れようとした時、不意にコンソールがぐにゃりとした感触に変わり、アメーバのように変形すると、添えられていたマイの両手を取り込み、硬化した。その姿はまるで彼女の両腕がコンソールに同化したようにも見えた。
「な、何これは!?」
思わず立ち上がろうとしたマイだったが、それより早く変形した椅子の脚部が彼女のすね辺りから下を取り込んだ。そして同時に、背もたれの左右から生えた触手が彼女の腰を一回りし、シートベルトのように身体を椅子に固定した。
「な、何!何が起こっているの?」
事態は瞬時に、しかもマイの常識の範疇を越えていた。戸惑う彼女の前に、ホリィがゆっくりとした足取りで近づいて来た。
「ホリィ、何なのこれ?助けて」
パニックを起こして動かせない手足をばたつかせ、とっさにホリィに助けを求めた。だが、当のホリィはくすくすと笑みをもらすだけだった。
「駄目・・・・・・今言ったでしょ。今度は貴女の番・・・・・って」
「な、何?何を言ってるの?」
「調べてもらうのよ・・・・・・・アレに・・・・」
「アレって・・・・・はぁん・・」
問いかけようとしたマイが喘ぎ声を漏らした。外的刺激がそうさせたのである。
マイは刺激の原因、撫で回された腹を見る。そこではコンソールから生えた数本の触手が先端を人の手の形に変形させ、すっすと腹を撫で回してたのである。
「何よこれ、何のつもりなの?」
マイは出来うる限り腰を引き、コンソールから伸びる疑似手から逃れようとした。
だが、その時には既に、背もたれからも何本かの触手が突き出し待ちかまえており、彼女は小刻みに蠢く突起状の触手に自ら背中を押しつける形となった。
「きゃは!はん・・・・もう・・やだ・・」
不意に襲った背中の感触に思わず仰け反ったマイは、そのはずみで前の疑似手に接触する。その手のくすぐったさに反射的に身を引くと、またも背中を刺激される。それを数回繰り返してから、ようやく堂々巡りになる事を避けて、マイは前後の触手に触れないぎりぎりの位置を把握し確保しようと努めた。
「ホリィ、一体これは何?」
当人は何も言っていなかったが、直感的に彼女が何かを知っていると判断したマイは慎重に身体の位置を維持しながらホリィに問うた。
「上手く説明できないわ」
いともたやすく答えるホリィ。特に嘘をついている訳ではない。
「ただ、私達の知りようもない何かね・・・・・向こうにとってもそうだけど、だからこそ、こうして興味を持っているのよ」
「興味?何?何に対して?」
マイは沸き上がった疑問をホリィと自分との両方に投げかけた。が、自分に至っては考えがまとまる前に、身体を駆けめぐったくすぐったさに中断を余儀なくされた。今まで届かなかった前後の触手がそのリーチを伸ばし、マイの身体にその先端を接触させたのである。
「やだっ!あっはははははははははははははは。ちょ、ちょっと、くすぐったい〜〜!きゃはっははははははははは。や〜っははははははは。こ、こんな事してな、何になるのよ〜っはははははははははは!」
マイは固定された腕を引き抜こうと、固められた足を解放しようと、必死に手足に力を入れたが拘束を解くことは出来なかった。又、せめて椅子から逃げだそうと腰を浮かせようとも試みたが、ベルト状に変化した二本の触手を引きちぎる事は出来ず、虚しく腰を震わせるだけだった。
「アレは私達に興味があるのよ・・・・・そうやって悶える姿にもね・・・・・」
傍らでマイの笑い悶える姿を眺めて、ホリィは恍惚とした表情で言った。
「マイ・・・・まだまだこれからよ。もっともっと激しくなるから・・・・・・」
ホリィの言葉に応えてか、触手の動きが更に活発となる。腹と背中を責める触手はその数を増し、触れる範囲は徐々に広くなって行った。
「きゃ〜っははははははははははは!だめ〜〜っ!もうやめてっ〜は〜っはははははははははははは!」
一層激しさを増したくすぐったさにマイの身体は敏感に反応し、許される限りの範囲でよがり続ける。そんな彼女をあざ笑うかのように、触手は更なる責めを始めた。
手足を拘束している部分から新たな触手が生え、ツタが枝に巻き付くかのように螺旋を描きながら四肢を這い上って行った。その先端は手に擬態しており、こちょこちょとくすぐりながら、ゆっくりと這い上がっていったのである。
「ひやっはははははははははははは、い、いや・・・・きひひひひひひひ・・・・」
マイには分かった、この四本の触手はゆっくりと這い上がりながら、自分の両脇の下と脇腹を目指しているのだと言う事を。この状態で急所である四箇所を責められる事に、マイは悶えながらも恐怖した。
間もなく訪れるだろう最悪のくすぐったさから逃れようと、あらん限りの力を振り絞ったマイだが、希望の光は訪れなかった。
やがて四本の触手は彼女の予想したとおりのポイントに辿り着いた。
「はああっっっっっっあああああぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
医務室にマイの絶叫が響き渡った。その絶叫は瞬時に閉じた医務室の扉によって遮られ、船内の誰の耳にも届く事は無かった。
サティは空間跳躍機関区の奥にある、メインメンテナンス用のコントロールルームにいた。先の空間跳躍機関の自動的作動をチェックするためであった。
手近な位置にあった端末はドリスによって壊され、使用不可能となっていたため、サティは彼女の行為を罵りながら、この部屋を使用する際に行う何項目もの手順を実施したのであった。
わざわざここに入った事もあり、彼女は思いつく限りのチェックは片っ端から行っていた。だが、どう確認してもその原因が見いだせなかった。システムは彼女が設計した通りに組まれ、コントロール関係も一切のミスはなかった。そもそもこの機関は、この船の実験のメインとなる物であるため、数十回に及ぶチェックが行われているのである。
したがってサティの知る限り、システムを起動させる事が出来るのはのはただ一つ、艦橋からの指示のみである。だが、艦橋には指示を出す人の気配は全くなく、彼女達が訪れるその瞬間まで全体がうっすらとした埃に埋もれて休眠状態となっていたのである。
あり得ない事だった。
何か見落としがあるのではないか?それを閃かせるため、彼女は目を閉じシートに深くもたれかかってため息をつき、思いを巡らせた。
(無人と化した船内。未だ一人の生存者も死体の痕跡すら発見されたと言う報告はない。乗組員は何処に消えたのか?空間転移の現象が有機物・無機物別々に作用し、別々に転送された?あり得る可能性ではあるが、そうすると主を失った船が戻って来た説明がつかない。自動設定の可能性もあるが、その真相は、あの航海士が調べた記録で後程明らかになる。でも、実験を目的とした船をフルオート設定にするはずがない。そもそもそんな計画では無かった。全てデーター収集のため手動で行う手はずになっていた。・・・・・・・・実験開始直後の事故?あり得る・・・でも、船体が無傷であり船内にも異常はなかった。これで事故だと言えるはずがない・・・・・・・一体乗組員は・・・・?)
結局は行方不明の乗組員に考えが行き着き、それに対し何の答えも見いだせぬまま、サティは目を開け・・・・・・・・そして息を呑んだ。
いつの間に来たのか、ホリィが間近で彼女の顔を覗き込んでいたのである。目を開けるまで全くその存在に気づかなかった驚きが先立ち、彼女が目覚めたのだという事を思い出したのは瞬間的に増大した心拍数がある程度落ち着いてからだった。
「ホ、ホリィ技士・・・・脅かさないで・・・・気がついたのね。よかったわ」
「御免なさい・・・・悪気はなかったのよ。ただ、貴女が何をしているか興味があったのよ」
ホリィは何が可笑しいのかくすくす笑いをもらしながら言った。
「それで、この船の事、何か分かったの?」
ホリィは子供のように悪戯っぽい笑みを浮かべて言い寄った。
「何も・・・・・私は貴女に聞きたいくらいなのよ。貴女が無線で異変を伝えた時、何を見たの?何か覚えてる?」
サティはシートに持たれたまま、疲れた表情で尋ねた。自分自身で事態を推測しきれず、結局当事者の証言を求めようとしている自分に、限界みたいのものを感じた。その一方で、ホリィが妙にハイである事に少なからず不信感を感じていた。不慮の事態から目覚めたにしては妙に落ち着いている様に見えたからである。
「ええ、覚えているわ」
期待していなかった答えが即答で返ってきて、サティは思わず彼女を見上げた。
「本当?」
「ええ、でも、落ち着いて聞いて」
ホリィは身を乗り出したサティの両肩を優しく押さえ、シートに押し返すと、またも可笑しそうに笑うと話を始めた。
「貴女の作ったシステム・・・・・『ゲート』って、呼んで良いかしら?」
その提案に頷くサティ。
「あれは、成功していたわ。空間と空間の次元壁に『穴』を空けて移動する・・・・・実験は成功しホーリーアーチ号は空間を渡った・・・・・・でも、辿り着いたのは当初の目的地じゃなかったの」
「・・・・・何を言ってるの?」
唐突に始まった説明は、サティの理解を超えていた。戸惑う彼女を後目にホリィは話を続けた。
「『ゲート』は私達の空間じゃなく、全く別の異空間に出口を作り出したのよ・・・・・そこは私達とは全く異なる生命が存在するばかりか、『常識・概念』すらも異なっていたの・・・・・・『アレ』は異世界からの侵入者に大いに興味を持ったわ・・・・・・私達、人間と言う存在そのものが興味の対象となったの・・・・・そして、乗組員はみんな取り込まれ、不用となったホーリーアーチ号が再びこの世界に帰って来た時・・・・・・・船は『生物』になっていたの・・・・」
「!?」
にわかには信じられるような事では無かった。だが、だからといって全てを否定するほど彼女も愚かな部類に属する科学者でもなかった。
もともと多次元多層(宇宙)空間の存在は、空間そのものにテーマを持った時から考慮していた物だった。ただ、自分達の存在するこの(宇宙)空間自体が無限とも思える広がりを持っているため、何らかの生命体が存在する異空間の一定ポイントに跳躍するなど、彼女達の宇宙で異星人と接触するよりも低い確率と思われたのである。
だが、それこそが、彼女達の常識と異世界の常識の差異かもしれない。
そしてホリィは、自ら『ゲート』と呼称するシステムに一瞬とはいえ取り込まれたのである。何かしらの影響を受けていないとは限らない。こちらの一瞬と『ゲート』の内側との時間の経過が同一とも言い切れないためである。
そしてその予想は、今のホリィの様子からして、間違いでは無いだろうとも思った。
言いようのない不安に突き動かされ、身を起こそうとしたサティだったが、それより早くシートの手すりが粘土のように崩れ、あたかもシート自身が背後から抱きかかえるようにして彼女を押さえつけた。
「こ、これは?」
「言ったでしょ博士・・・・・この船は生物だって・・・・博士に、そしてみんなに興味を待ってるのよ・・・・・」
「何をするつもりなの!?」
「すぐに分かるわ・・・博士」
何かに魅入られたような笑みを浮かべるホリィに、サティは身震いした。そして彼女の疑問はその身体で知る事となる。
「・・くぅっ・・ぅん!な、何?」
不意に身体を駆けめぐった快感に、サティは頬を染めて苦悶の声をもらした。
両腕ごと身体を抱え込むようにしていた(もと)手すり部分から、何本もの触手が枝分かれして服の隙間から侵入し、サティの成熟した身体を妖しく撫で回し始めたのである。
「はぁっ・・・あん・・やめ・・やめなさい・・・」
触手は既に女体を知り尽くしているかの様に蠢いていた。サティの両乳房をスッと撫で、敏感な乳首の一方を触手の先端で転がし、もう一方は巻き付いて、その腹で擦り上げる。得体の知れない物体による愛撫ではあったが、着実に彼女の性感を目覚めさせて行った。
「くふぅ・・・ぅうんっ・・・・はっ・・あ・・ああ・・・あ・・」
触手が伸び、その数を増やし、身体への進行率が上がる度にホリィは身悶え、噛みしめた口の隙間から微かな喘ぎ声をもらす。上半身を可能な限り捩り、足を思いっきりばたつかせ、せめてもの抵抗の意志を表す彼女であったが、触手はそんな彼女を嘲笑い、弄ぶかのように的確に弱点を探り当てて行った。
「博士・・・・存分に悶えて下さい・・・・アレは、それを見たがっているんです」
衣服の内外の触手が蠢く度にピクピクと痙攣するサティを愛おしそうに見つめつつホリィは囁いた。
「な・・・なに・・・なに・・を・・はぁぁぁぁぁん!」
熟し切った身体に絶え間なく送り込まれる甘美な刺激に、サティの身体は実に素直に反応していた。理性的と思われた女科学者も肉体的欲望を抑える事は出来なかったのだ。
「アレの世界には、快楽・苦しみ・欲望なんて言う感情が存在しなかったの・・・・・・・でも、ホーリーアーチ号の人々に出会う事によってそれを知り、だからこそ、さらに知りたいと言う『欲望』を覚えたの・・・・そして人の感情を探求しているのよ・・・・博士の今、見せている反応にアレも喜んでいるわ・・・・・・・・」
コントロール室にいつの間にか低い駆動音らしき音が響いていた。空間跳躍機関『ゲート』が再び起動を始めたのである。自分達に未知なる『興奮』を与えてくれる異世界の生命体を自分達の世界に招待するために・・・・・・
それを快感に翻弄されているサティが認識しているかは分からなかった。
今や触手はサティの全身に絡みついていた。上は首筋・耳から、下は足の指の間まで、ありとあらゆる所を陵辱し、彼女は仰け反って打ち震えるしか出来なかった。
やがて彼女の限界近くまで責めていた触手は、残していた最後のポイントである股間に向かってゆっくりと、進行を始めた。腹を這い進むもの、太股を這い上がるもの、その意図がはっきりと分かったサティは最後の理性で両脚をきつく閉じ、最後の抵抗を試みた。 が、それも儚すぎる抵抗でしかなかった。
触手は細くその身を変形させると、易々と脚の隙間から潜り込み、しかも前後から股間に到達した。
「はっ、はああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
今までのものを遙かに上回る快感に、サティはたまらず悲鳴を上げた。
このままでは堕ちてしまうだろう自分を自覚し、この抗いようのない快感からなんとか逃げ出そうと閉じる脚に力を入れる。
だが触手はそんな抵抗すらも許さないかの様に、彼女の両足首に巻き付くと強い力で左右に分かれ、シートの両角に張り付いた。これによって彼女は開脚状態となり、その無防備となった股間に、更に触手が殺到した。
「だめぇっ!!あっ!はああああああああああああぁぁぁ!!!!!!」
サティは絶叫し、仰け反った。絶え間ない快感は彼女にまともな思考を許さず、刺激に反応することのみを強要する。
「うふふふ・・・・・やっぱりいいわぁ・・・誰もかれも反応が違う・・・好きよぉ、人間達・・・・」
恍惚とした表情でホリィは言った。もはやその瞳に本来の輝きは無い。異世界の住人の傀儡と化した彼女は、サティの傍らに腰掛け、男の大半を誘惑できるだろう色っぽい声で悶え続けるサティに耳打ちした。
「快楽ってそんなに良い?私、知りたいの・・・・・これも快楽の部類になるのかしら?ねぇ、味わってみて・・・・そして私に見せて・・・・・」
ホリィがそう言い終わると共に、触手の動きが変化を起こした。全ての触手の先端が3〜5本に枝分かれし、一種の『手』を形成すると、容赦なくサティの体をくすぐり這い回った。それこそ触手が触れていない部分など一つも無いようにと丹念に。
「あひっ!あ・・・あ・・・あひゃっ、あひゃっはぁっっっっはははははははははははは!!やっ・・・め・・・ひょあっはははははははははははははは!!!!!!」
まさかくすぐりが来るとは思いもしなかったサティは、突如全身の神経を貫いた全く異なる刺激に対処する暇もなく悶絶した。
先程からの快楽責めより、既に体が敏感になっていた彼女にとって、全身をコチョコチョと這い回る触手は凶悪な刺激と言える。理性は少しでも耐えなければと思うものの、女であるが故に快楽による束縛から逃れることは出来なかった。
「きゃああ〜〜〜っははははははは!ひいっひっひひひひひっ!!はぁあああっ・・もう、ゆるして〜〜〜〜〜!っきひょほほほほほ!!」
ある部分は激しく、ある部分は優しくと不規則に変化するくすぐりに、サティはのたうち回る。そして、その中に含まれる異質の快感にも彼女の体は反応していた。
今は全身を激しくくすぐられ続けているため、笑いが止めようもなくこみ上げているが、あと少し触手の動きが緩慢であれば、彼女は快楽にもうち震えていたはずだった。
「はぁっはははははははははははは・・・・・・きゃっっははははははははははは!!」
徐々にではあるが、サティはくすぐりにより快楽を得て、それに取り込まれつつたった。「ひゃはははははっはははははは、はっはっははぁっははははははははは・・・ひ・・ぎっ・・ひぃっひひひゃはははははははは・・・・・・」
狂ったように体を捩り続けるサティの姿を満足そうに眺めていたホリィが、どの様に思い眺めていたかは定かではない。だがその表情には充実感らしき物が見て取れた。
そう、『彼女』は産まれて初めて『興奮』と言う、普段であれば永遠に得られなかっただろうものを知った。
そして、サティは笑い苦しみながら増殖していった触手に包まれていった。
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