トイレ不足の施設に女子が集うということ |
(トイレ行きたい。やっぱり言おうかしら) 春日清美はバスの中で迷っていた。 彼女は高校の教師で、今日は吹奏楽部の引率でN中学校まで来ていた。今はその帰りである。本当は体育館にいる前からトイレには行きたかったのだが、運営委員の男性に、「もう体育館を閉めなくてはならないから」といわれ、生徒を集めバスに乗り込んだのだ。 中にはトイレに並ぼうとしていた生徒もいたが、時間があることを説明し、バスに乗せ出発した。その手前、自分がトイレに行きたいなどとは言い出せなかった。 (でももうけっこうやばいしなぁ。うぅ、おしっこ) 清美の足は小刻みに震え、手は股間に添えられている。バスはいまだ、コンビニもない田園風景の中を走っている。どうせ言い出してもトイレに寄れるようなところのないことが、さらに清美を躊躇させていた。 (おしっこしたい、でも…) 清美が考えていると、一人の生徒が清美の席にやってきた。 「あの…、春日先生」 「はい、どうしたの」 それは森下多香子という生徒だった。 「はい、その、トイレに行きたいんですけど」 見ると、青白い顔をしている。相当我慢しているのだろう。 「わかったわ、コンビニかどこかよってもらうわね」 「ありがとうございます」 そういうと自分の席へと戻っていった。 清美は内心ほっとしていた。これで生徒のためという理由が出来た。 席を立ち、運転手に声をかける。 「あの、トイレに行きたい生徒がいるので、どこかで止めてもらいたいんですが」 「はいよ、もう少しで街中にでますからね」 席に戻った清美はほっと息をはいた。これでしばらく我慢すればトイレにいける。彼女は足を組んで窓の外を眺めていることにした。 だが、街中に入っても、バスが止まる様子はない。不審に思い運転手に声をかける。 「ああ、いや、一応コンビニとかはあったんだけどね。どこもバスが止まっててトイレに女子高生の列が出来てるんだよ。トイレ寄るんなら、もうちょっと時間かかっても空いてるとこのほうがいいかなって」 「…そうですね、ありがとうございます」 おそらく他の高校でも、トイレに並んでいる生徒を無理に引っ張ってきたのだろう。確かに空いているトイレのほうが清美も助かる。 (でもなるべく早くしてくれないかしら。もうもれちゃいそうだわ) 清美の尿意はもう耐えられないものになっていた。すでに股間は両手で強く押さえられている。それにさっきの生徒を先に行かせなければならないのだ。後ろを向くと、森下は足をもじもじさせながら窓の外を眺めている。 しばらく走り、バスはようやくコンビニへと入った。清美は立ち上がり、生徒に告げる。 「ここでいったん休憩にします。大勢でいってほかのお客に迷惑をかけないように」 そして、バスを降り、先にコンビニに向かう。もちろん一足先にトイレに行くわけではない。 「あの、すいません、トイレを借りてもよろしいですか」 そう店員に断りをいれ振り向くと、森下が友人の女子生徒に付き添われ入ってきた。確か武田という生徒だ。 森下は清美に一礼するとトイレへと駆け込んだ。武田はそのまま店内を回り始めた。 (じゃああたしも) と、トイレに向かおうとした清美だったが、その前に、大勢の女子生徒が店内に入ってきた。 「ふぅ、トイレトイレ」 「わたしもぉ、ずっとしたかったんだよね」 「ちょっと、わたし先でいい。もうやばいんだけど」 口々にそういいながら、あっという間に列を作ってしまった。 (そんな、わたしももうやばいのに) 店員や生徒の前だから平静を装ってはいたが、清美はもうじっとしているのも辛い。しかし、生徒を抜かして自分が先に入るわけにもいかない。男子生徒の目があるからおさえているのだろうが、それでも女子生徒たちが我慢していることは伝わってくる。 トイレのほうを見ると、森下が出てくるところだった。いかにもすっきりしたという顔をしていて、清美にはうらやましかった。 (いいなぁ、わたしも、はやく) 清美はじっとしていられず、店内を動き回り始めた。時々、棚に隠れるようにして股間を揉むような動作をする。スカートが皺になってしまっているが、構ってなどいられない。 (はやくしてぇ、ほんとにもれちゃう) ちらちらと列を見るが、まだかかりそうだ。 何度か生徒に声をかけようとしては思いとどまる。そして店内を回り、隠すように股間に手をやる。そんなことを続けているうちに、清美に限界が訪れた。 (あああ、やばい、出る、出ちゃうぅ) 股間をぎゅっと押さえて足をばたつかせる。近くに男子生徒がいたが気にしてなどいられない。 (んんんん) なんとか波は乗り越えたが、清美の頭はパニックになっていた。もう限界だ。次の波は耐えられそうにない。そう思い、特に考えがあったわけではないが、コンビニの外に出た。 「あっ、だめぇ」 溜めていた液体が出てきそうになったそのとき、急に手を引かれた。 「先生、こっち」 見ると先ほどの森下と、武田だった。 素直に手を引かれる清美。その間におしっこは出てきてしまっていたが、まだ地面はぬらしていなかった」 (あああ、わたし、おしっこ出ちゃってる) たどり着いたのはコンビニの裏手だった。ここなら店内からもバスからも見えない。 「先生、スカートあげて」 言われるままにスカートを上げる。何とか染みを作らずに済んだが、言われなければ股間を押さえたまま、スカートには大きな染みが出来てしまっていただろう。 「いやぁ…」 なんとかおしっこを止めようとはしているのだが、勢いをつけ始めたおしっこは止めることができない。 気付くと二人はいなくなっていた。おそらく気を使ってくれたのだろう。清美はスカートを上げたままその場にしゃがみこむと、股間に入れていた力を抜いていった。
「ふぅ、今日は大変だったわねぇ」 |
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