女子高生調教教室 |
夏の太陽が、街を照らしていた。 街にはデパートやスーパーなどが所狭しと並んでいる。 建物の鉄筋コンクリートが太陽の熱を吸い、街の空気を加熱しながら、太陽からの照り返しを人々に注ぎ、さらに加熱する。 その蒸し風呂のような街の中を、下校途中の3人の女子高生が歩いていた。 「暑いわねぇ」 近藤美香が、いままで幾度となく口にした言葉を繰り返した。 「ほんと、まったく暑いわぁ」 新井理恵もまた決まった答えを返す。 「こういう暑い日には、怖い話をするのが一番ね」 美香が、鞄を首の高さに持ち上げた。 両手の親指を除く4本指をそろえて下に向け、大きな目を細めて見せる。 「やだぁ、あたし怖い話って、こわぁーい!」 西田優子が思わず大声を上げた。 「あんた、なに当たり前な事言ってるのよ、怖い話は怖いにきまってるじゃないのよ」 理恵の言葉の後で、美香は大声で笑った。 もちろん、理恵も一緒に笑った。 「それはそうでした」 優子も頭をかきながらそう言って、二人に加わって共に笑った。 「そういえば、あたしたちの学校って、夜になると、どこかの教室から女の人の声が聞こえるって、本当かな」 3人が笑いつかれた時、美香が声をひそめて言った。 「ああ、あの噂ね。宿直の先生も何度か聞いてるっていう話だから、もしかしたら本当の事かもしれないわね」 理恵は平然とした顔で答えた。 「うっそー、私たちの学校に幽霊が出るなんて」 優子はびっくりして大声をあげた。 「あら、声の正体が幽霊かどうかは分からないわ。もしかしたら誰かのイタズラかもしれないわよ」 理恵はあくまでも冷静だった。 「ねえねえ、今夜、その声の正体、確かめに行かない?」 美香が興味深々といった顔つきで二人に提案した。 「え? 今日?」 優子はポカンとした表情で聞き返す。 「行く行く。あたし、そういうの、前からやってみたかったんだ」 理恵は完全に乗り気だった。 「ちょっと、本当に幽霊だったらどうするつもり? それに、宿直の先生に見つかったりしたら……」 優子は慌てて二人を止めにかかった。 「あら、あなた怖いの?」 理恵は少し軽蔑の入った眼差しを優子に向ける。 「そりゃぁ、怖いわよ」 優子はきっぱりと言った。 「そのこわぁい場所に、私たち二人が行くっていうのに、あなたは一人だけ逃げるっていうわけぇ?」 理恵の眼差しに、軽蔑の色がさらに濃くなった。 「わ……わかったわ、行けばいいんでしょ、行けば」 優子は思わずそう答えてしまっていた。 優子にとって、美香や理恵は大切な友達だった。 しかしその友達が、今夜の校内探検を境にしてその隠された症癖を現し優子を身悶えさせる事になろうとは、この時の優子に想像できるはずがなかった。 |
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