ミニメロン作品

聖華学園の地下室

第7章 会場
 シャンデリアの光に明るく照らされた大広間の壁に椅子が並べられ、各地から集まった数十名の女子高生が座っていた。
 その中に、美奈子、優子、ジャスティンの姿もあった。
 三人を除く女子高生たちは、ぴったりと膝を揃え身体を小刻みに震わせている。
 それは、単に緊張の為ではなく、彼女たちを責め続けている何かに懸命に耐えているかのようだった。

 舞踏会の開始があと30分に迫った時、数名のメイドがワゴンを押して広間に入ってきた。
 ワゴンの上には大きな壷がいくつも乗せられており、メイドたちはその一つ一つを女子高生たちに渡していった。
 壷の中は、大量の水で満たされていた。
「ただ今皆さんに壷をお配りしました。この水は、ルイ王子の婚約者を決定するこの神聖なる行事に先立ち、皆様の身体を内側から清めるためのものです。残さずにお飲み下さい」
 女子高生たちは、両手で持ち上げるのも苦労するほどのその壷に入れられた水の量にただならぬ戸惑いを見せたが、やがて壷の口に口を当て、中の水を喉に流し込み始めた。
 その水が飲み終わる頃、今度は女子高生たちにティーカップが配られた。
 大量の水をようやく飲み終えた女子高生たちは、新たに配られたティーカップを怯えるような目で見つめていた。
 やがて一人のメイドが大きな声で言った。
「ただ今、皆さん全員に紅茶をお配りしました。相手から差し出された物は、ありがたく頂く。それが女性としてのマナーです。もちろんそれは、ルイ王子の婚約者として必要な素養である事は当然の事。それでは皆さん、お召し上がり下さい」
 メイドの言葉は、配られた紅茶を飲まなかった女子高生は失格になる事を意味していた。
 女子高生たちは意を決して紅茶を飲み干した。
「うっ!」
「んあっ!」
「ああっ!」
 女子高生たちの間から次々に悲鳴が上がった。
 全員が身を捩りながら太腿を擦りあわせ、その付け根の恥かしい部分に手をしっかりと押し当て、切なさに眉根を寄せている。
 美奈子と優子も彼女たちと同じように悲鳴を上げ身を捩った。
 紅茶を飲んだ瞬間、さきほど飲んだ大量の水の圧力が彼女たちの恥かしい出口を直撃し、その力がみるみるうちに激しくなっていく。
 二人の身悶えと悲鳴は、他の女子高生に比べて人一倍激しかった。
 ただ一人、ジャスティンだけは太腿をぴったりと揃え、膝の上に乗せた手を固く握り身を強ばらせながらも、なんとか平静さを装うだけの余裕を見せていた。
 ジャスティンの様子に気付いたのか、メイドたちが彼女の方へ集まってきた。
「話は聞いてるわ。分かっているでしょうけど、あなたたち以外の女子高生たちも、家を出た時から今までずっと我慢しているの。でもあなたたちは我慢できなかった。だから不公平にならないように、あなたたちには紅茶をもう一杯飲んでいただけなければならないようですわね」
 一人のメイドがそう言うと、ジャスティン、美奈子、優子の空になったティーカップにポットの口をあてがい、半ば強引にたっぷりと注いだ。
「こぼしたりしたら、この倍は飲んで頂きますので心得ておいて下さい」
 足を擦り合わせる度に激しく揺れる紅茶を眺めながらメイドが言った。
 美奈子と優子は一瞬足の動きを止めたが、出口をこじ開けようとする水の力の凄まじさに、女の子の力だけでは抵抗する事もままならず、思わず足を擦りあわせ、身をよじってしまう。
 すると、手に持った紅茶も大きく揺れ、今にもこぼれそうになってしまう。
 二人はジャスティンが紅茶を飲むのを見て、慌てて紅茶を飲み干した。
「ああっ!」
「くうっ!」
「んくぅっ!」
 三人の少女の口から切ない悲鳴が漏れた。
 美奈子と優子はきつく眉根を寄せ、前かがみになりながら、固く閉じた太腿の付け根にスカートの前を片方の手で押し込み、その上にティーカップを持ったもう片方の手をきつく当てがってしまう。
 そして、太腿をさらに激しく擦り合わせ、身を震わせ、急激に強まる内なる水の恥かしい力に必死に抵抗する。
 ジャスティンも大量の水と2杯の紅茶の凄まじい効果に女の子の部分が悲鳴を上げ、太腿を激しく擦り合わせながら身をよじってしまう。
「ふふっ、あなたたち、とってもいやらしいのね。そんな所に手を当てて、一体なにをしているのかしら」
 メイドは妖しい微笑みを浮かべながら、身悶え続ける三人を見回した。
 メイドの恥かしい言葉に三人の顔が赤く染まったが、女の子の部分を責め嬲る恥かしい力は彼女たちの恥かしい仕種をやめる事を決して許すはずがなかった。
 そして、広間に入場し壁際の舞台に次々と上がっていく楽団やルイの姿を見る余裕すら、恥かしい力に必死に抵抗し続ける彼女たちにはあろうはずがなかった。

「ああっ、もうだめぇ!」
「漏れちゃう!」
「オシッコ!」
 ジャスティン、美奈子、優子の三人が小さな恥かしい悲鳴を漏らした時、楽団の楽器が舞踏音楽を奏ではじめた。
 女子高生たちは一斉に立ち上がり、互いに手を取り合ってダンスを踊りはじめた。
 しかし、前かがみになったまま切ない表情で身を捩り続ける美奈子たち三人は、椅子から立ち上がる事ができなかった。
 三人の側に再び数名のメイドがやってきた。
「あなたたち、この音楽が聞こえないのですか? 舞踏会はもう始まったのです。ここは踊るための場所、そして流れる音楽は踊るための音楽。だからあなたたちもこの舞踏会を楽しむのです」
 メイドたちは三人の少女の必死に女の子の部分を応援していた手を掴むと強引にその切ない部分から引き離し、さらにその手を引いて椅子から立ち上がらせた。
「ああっ、だめぇ!」
「お願い、ああっ!」
「もれちゃう!」
 三人の上げた切ない悲鳴に、メイドたちの目が妖しく輝いた。
 女子高生たちの手と腰を取り、踊り始める。
 舞踏音楽はゆったりとしたメロディーであったが、美奈子たちの足はそのあまりにもゆっくりなテンポに合わせる事はできず、せわしなく早急なリズムでステップを踏んだり、太腿の付け根を擦り合わせたりしてしまう。
 そして歩く度に、彼女たちの顔が切なさに大きく歪み、腰が震える。
 座っている時でさえ耐え難いのに、身体を動かす事によってさらに勢いのついた力がか弱い女の子の部分に押し寄せるのだからたまらない。
 そんな三人の身体を強引に動かしながら、メイドたちは三人の切なさに歪んだ顔を覗き込み、耳元で囁く。
「ふふっ、あなたってとっても落ち着きがないのね」
「女の子はおしとやかでなければいけないのに、こんなに激しく腰を動かすなんて」
「そんなにはしたなく太腿を擦り合わせちゃだめよぉ」
 メイドたちの言葉の一つ一つに顔を赤らめる三人の女子高生であったが、恥かしい水の悪戯に耐え続けるために恥かしい仕種を続けてしまうのをどうする事もできない。
 三人の女子高生たちはメイドたちの恥かしい言葉に恥じらいながらもメイドたちのなすがままに踊りながら、恥かしい水の力のなすがままに恥かしい仕種を続けつつ、心の中で悲鳴を上げていた。
 ――ああっ、もうだめぇ、オシッコしたぁい!

 舞踏会が開始されてからすでに2時間が経過していた。
 美奈子、優子、ジャスティンの三人は、三人のメイドたちと共に踊りながら、切なさに歪んだ顔にびっしょりと汗をにじませている。
 その他の女子高生たちはみな笑顔を浮かべ、ある者は一人で、またある者は互いにペアを組んで踊り続けていたが、彼女たちの笑顔もうっすらと汗ばんでいる。
 それがダンスの為に身体を動かし続けていたせいばかりでない事を隠し通そうと、彼女たちは恥かしい悪戯に悲鳴を上げ続ける女の子の切ない部分に渾身の力を込めながら、必死に笑顔を作り続けている。
 しかし、やがて彼女たちの足の動きは少しずつ落ち着きを失い始めた。
 舞踏音楽はゆったりとしたテンポを保っていたが、彼女たちの足はそれを無視しているかのように、次第にテンポを速めていく。
 そしてお互いがお互いの耳元で何かを囁き、その言葉に顔を赤らめる。
「あ……あたし……もう……んぁっ……」
「ああっ、もうだめぇ……」
「くふぅっ……ああっ……いやぁん……もう……ああっ……」
 少女たちの切なくか細い悲鳴があちこちから聞こえてくる。
 もはや彼女たちは優雅な音楽に耳を傾ける余裕などなく、ただひたすら太腿を激しく擦り合わせ、さらには女の子の切なく恥かしい部分に制服のスカートの上からしっかりと手をあてがってしまっていた。
「ああっ、もうだめぇ、ああああぁぁぁーっ!!」
 一人の女子高生の甲高い悲鳴が大広間に響き渡った。
 その声に、美奈子、優子、ジャスティンの三人が振り向いた。
 紺色のセーラー服を着た金髪のショートヘアの少女がスカートの前を手で押さえている。
 そのスカートの色が一瞬にして変化し、激しい水の流れが太腿と脹脛を伝い、大量の水が滝のように床に落ちる。
 その足元には女の子の恥かしい水溜まりが広がり始めていた。
 彼女は涙を流しながらその場に座り込んでしまった。
 美奈子は人が大勢いる前で、しかも王子様が見ている前であのような失態を演じてしまった彼女をかわいそうだと思う反面、自分も彼女のように意地悪な水の悪戯から解放されたくてたまらなかった。
 ――ああっ、もうだめぇ、あたしも漏れちゃう!
 美奈子が心の中で叫んだ時、再び悲鳴が聞こえた。
「い、いやっ、な、なんなのよ、これ、いやぁっ、た、たすけてーっ!!」
 さきほどの金髪の少女だった。
 彼女の足が、水溜まりの中に少しずつ沈み始めているのだ。
「ちょ、ちょっと……」
「あれは何なのよ!」
 美奈子と優子が叫んだが、相手をしているメイドは全く無関心な様子で、なおも二人の手足を強引に動かしながら踊り続けている。
「ちょっと、手を放してよ」
 美奈子はメイドの手を振りほどき、金髪の少女の方へ駆け寄ろうとした。
「あうっ!」
 足を動かした瞬間、猛烈な水の力がか弱い女の子の部分に襲い掛かった。
 慌ててスカートの前を押さえる手を、追いついたメイドが再び取り上げた。
「他人の事なんか気にしないで、二人でもっと楽しく踊りましょう」
 メイドは再び美奈子と共に踊り続けた。
 その間に、広間で踊っていた女子高生が次々と悲鳴を上げ、足元に広がった水溜まりの中へと沈んでいく。
「あ……あたしももうだめぇ……ああああっ!」
 美奈子が甲高い悲鳴を上げた瞬間、女の子のか弱い部分を責め嬲り続けていた意地悪な水がついにその恥かしい部分をこじ開け、勢い良く吹き出した。
 恥かしく熱い水がパンティの中で渦巻き、太腿や脹脛を伝い、靴下を濡らし、足元に大きな水溜まりを作る。
 大勢の人たちの目の前でこのような失態を演じる事は、まさに穴があったら入りたいほどの恥かしさだった。
 その時、美奈子の足が水溜まりの中に沈み込んだ。
「いやっ、何なのよ!」
 美奈子は急いで水溜まりの外へ出ようと足を動かしたが、美奈子の足はさらに深く沈んでいく。
 まるで水溜まりの下に穴が開いて底無し沼になったかのようだった。
 そんな美奈子を、さきほどまで共に踊っていたメイドは助けようとはせず、妖しい笑みを浮かべたまま見下ろしている。
 胸まで水溜まりに沈んだ時、大きな水溜まりの外へ手を伸ばそうとしたが届かず、美奈子の身体は完全に沈んでしまった。

 美奈子は暗い闇の中をゆっくりと落下していた。
 しばらくして、女子高生たちがはるか下の方に座っているのが見え始め、美奈子はその中に降り立った。
「一体ここはどこなの?」
 美奈子は近くに座っていた女子高生に訊ねた。
「私、恥かしい……ルイ王子様の前で……あんな恥かしい事を……私、恥かしい……」
 女子高生は美奈子の質問には答えず、目を閉じたまま呟き続けている。
「ねえ、ちょっと、答えてくれてもいいでしょ?」
 美奈子が女子高生の肩を揺すっても、まるでそれに気付かないかのようだった。
「いくら聞いても無駄よ」
 聞き覚えのある声に振り向くと、優子とジャスティンが上から漂い降りてくる所だった。
 優子が説明を続ける。
「ここは、彼女たちの恥かしさが作り出した空間よ。ジュリアが広間に施した仕掛けによって、彼女たちの願望が実体化したものなの。あれば入りたいと彼女たちが強く願った穴が、この場所よ」
 優子が言い終えた時、遠くの方から足音が聞こえ始めた。
 闇の中に、一人の女性の姿が浮かび上がる。
 修道女の服装をした、高橋先生だった。
「悩めるあなたがたには、修行が必要ですね。ここはそのための場所。まずは皆さん、席に着くのです」
 高橋先生が手を一振りすると、それまで何もなかった空間に、いくつもの整列された机と椅子が現れた。
 そしてその周りを囲むかのように、壁と天井が現れ、まるで教室のような部屋になった。
 物がようやく見分けられる程度の暗い緑色の光に照らされた教室の椅子に、女子高生たちはつぎつぎに着席していく。
 まっすぐ進行方向を見つめたまま席に向かって静かに移動し黒板に向き直って順に着席する彼女たちの表情は固く、何かに取り憑かれているかのようだった。
 それぞれの机の上にはティーカップが置かれている。
 やがて美奈子、優子、ジャスティンを除く全ての女子高生が着席を終えた。
「あなたたち、何をしているのですか。授業はもう始まっているのですよ。早く席に着きなさい」
 高橋先生が教壇の上から厳しい表情で呼びかける。
「とりあえず、席につかなきゃ」
 ジャスティンが空いている席に向かって歩きはじめる。
 他の女子高生と同じように固い表情で前方を見据えながら空いている席に向かって静かに歩いていき、席に座って高橋先生を見つめる。
 美奈子は優子の耳に口を近づけた。
「あたしたち、またこの場所へ戻ってきてしまったわ。どうすればいいのかしら」
「私に任せて。いい考えがあるの」
 優子は自信を持って答えた。
 二人はジャスティンに続いて席に着いた。
 高橋先生の厳かな声が教室に響く。
「皆さん、あなたがたはたった今、女の子として許されざる罪を犯しました。あなたがたは身をもって償いをし、二度とこのような過ちを犯さないという誓いを立てなければなりません」
 席に座っている生徒たちは、その先生の言葉にただじっと耳を傾けていた。
 だれ一人として周りの人と顔を見合わせたり驚きの声を発したりするような者はなかった。
 高橋先生がそれを確認し、先を続けようとした時、一人の女子生徒が手を挙げた。
 優子だった。
「新藤優子さん、どうしましたか?」
 名前を呼ばれた優子は、椅子を勢いよく後ろに押して立ち上がった。
「私、今先生のおっしゃった『許されざる罪』とは何なのか、よく分からないのですが……」
 優子の声に、他の生徒たちは皆顔を見合わせ、ヒソヒソと驚きの声を漏らした。
「静かに!」
 先生の厳しい声が教室に響く。
 教室が再び静まり返った後、先生はその厳しい目を優子に向けた。
「女の子というものは、常に美しく清らかな存在でなければならないのです。それなのに、女の子の最も恥かしい部分から恥かしい水を噴出し、服を汚してしまうなど、女の子にとってどれほど罪深き事であるか、優子さん、あなたには分からないのですか」
「分からないわ。先生こそ、女の子がそうなる事がどれほど可愛い事であるか、わからないのですか」
 優子の言葉に教室が再びざわめいた。
「静かにしなさい!」
 先生は厳しい一声で教室を静まり返らせてから、優子に聞いた。
「一体だれがそのような事を言っているのですか」
 優子は答えの代わりに、胸のポケットから携帯電話を取り出した。
 前方に掲げながら、再生ボタンを押す。
「ごめん……でも……君の……我慢している姿、とっても可愛かった。それに、君がその……水の力に負けてしまう姿も……。頼むから、もう泣かないで……」
 携帯電話から聞こえる声に、教室中にどよめきが走った。
「これって、もしかしてルイ王子様の声?」
「水の力に負ける姿って、もしかして……」
「うっそー、ルイ王子様って、こういう趣味があったのね」
 生徒たちの声で、教室は騒然となった。
「ちょっと、皆さん、授業中ですよ。静かにしなさい!」
 先生の厳しい声も、もはや何の効き目もなかった。
 続いて優子の声が教室に響いた。
「みんな、これで分かったでしょ。女の子のオシッコ我慢の仕種とおもらしは、とってもとっても可愛いのよ」
 次の瞬間、教室がまばゆい光で満たされた。
「きゃあああぁぁっ!」
 美奈子と優子は同時に叫びながら、手で目を覆った。
 教室中の生徒たちの叫び声が二人の周りに響きながら遠ざかっていった。

 気がつくと、美奈子は保健室のベッドに横たわっていた。
 ブラウスに包まれた上半身を起こした時、白衣の女性が入ってきた。
「気がついたのね。びっくりしたのよ。ここに来るなり気絶してしまうんですもの」
 白衣の女性は高橋先生ではない。
 この学校では見たことのない顔だった。
「あの……保健の先生は?」
「え? 大橋さん、何を言っているのですか。私はこの学校の保健の先生。あなたもここに来るのは初めてじゃないでしょ?」
 不安そうな顔で訊ねた美奈子に、先生は優しくなだめるように言った。
「濡れた服は明日までに乾かしておいてあげるわ。もう下校時刻よ。外で友達が待ってるわ」

 荷物を取りに教室へ向かいながら、美奈子はベッドで気がつく前の事を考えていた。
 パラレルワールド、学園の地下室、そして過去のフランス。
 あれは夢だったのだろうか。
 そしてなぜ保健の先生が別人になってしまったのか……。
 夕日の差し込む教室へ荷物を取りに戻ると、斎藤恵子と荒木香織が新藤優子と共に待っていた。
 三人は美奈子を見ると、そばへかけ寄ってきた。
「美奈子ちゃん、心配したのよ。休み時間に急に倒れちゃうんだもん」
「そうそう。もうみんなびっくりしちゃったわよ」
「でも、良かったね、何ともなくて」
 彼女たちの顔には、意地悪な表情は浮かんでいない。
 まるで別人のようだった。
 優子も、美奈子と共に学校の地下室や過去のフランスをさまよった事など覚えていない様子だった。
「そういえば、裏門の前にある噴水の所に、今日新しい銅像ができたそうよ。みんなで見に行かない?」
 優子の提案で、4人は裏門へと向かって行った。


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