(た)作品

密室の宴

第1章 監禁小屋
 ギシッ…、ギ…、ギシッ…、ギシギシッ…

 大きな小屋の中で、何かが軋む音が響いている。

 そして、既に廃屋となっているはずの小屋の中の部屋は、なぜかこうこうと電気が灯されて、まばゆいばかりに明るかった。
 その部屋の真ん中には、人の姿が見える。

 それは若い女性で、部屋の真ん中にしつらえられた、小さな椅子に座っていた。

 ギシッ…、ギ…、ギシッ…、ギシギシッ…

 さっきから聞こえている音は、その女性が座っている椅子の軋む音のようであった。

 その若い女性は、椅子の上で、一糸まとわぬ姿になっていた。そして、幾重にも巻かれたヒモが、椅子と女とが離れられないように、両者をきつく結び付けていた。

 ギシッ…、ギ…、ギシッ…、ギシギシッ…

 女性は、一生懸命ここから逃げようとしているのであろうか。椅子の足の部分の木材が軋み、床の木との間で擦れる音が響いている。

 「く…、んはあっ…、う…、んはっ…、ん…、んくっ…、う、…んんっ…」

 女の激しい息遣いが聞こえる…。

 だが、少し様子がおかしかった。女は、助けを求めようと大声を出すわけでもなく、ジタバタするわけでもなかった。苦しそうなうめき声をあげながら、でも、体を揺すりながら脱出を図っているようにも見えるのだが…。

 ただ、それ以上に、女の表情が苦しそうなのだ。椅子に縛りつけられたまま、動きがない割に息遣いだけが激しく、苦しそうな表情を浮かべて、まるで、まさに今何かの苦痛に耐えているかのような様子なのだ。

 さらにおかしなことが続く。

 女が座らされている椅子は、よく見ると、台座の部分だけが透明なガラスで出来ていた。そして、その椅子の下にはデジカメとビデオカメラがしつらえられて、上向きに、若い女の秘所の方向を向いて取り付けられていた。

 「く…、んはあっ…、あうっ…、あ…、ああん…、う…、ふはっ…、んあっ…、んんっ…」

 相変わらず、部屋の中には女のうめき声と、激しい息遣いが聞こえている。


 その時だった。

 「さあ、早く出しちゃいなよぉ。みゆきがオシッコする写真、大学で配ってあげるからさぁ」

 という女の声がした。そして、女の声のする側には、スクリーンがあって、その上には、椅子の下のカメラがとらえた、「みゆき」という女子大生らしい女性の、薄毛に囲まれた陰部がアップになった映像が、アップで大きく映し出されていた。

 「あ…、いや…、や、やめて…、ほどいてよ…」
 
 みゆきのか細い声がする。

 「やだよ。合コンであんなことされたら。人がやっとの思い出ゲットしかかったイケメンを、後から来て横取りされたらイヤでしょ。あんただって、私とカレがイイ感じになってんのは、見て分かってたんでしょう。なのに…」

 もう一人の女は、怒り心頭のようである。

 「ごめん…、ごめんって…」

 みゆきの声は、相変わらずか細いままだ。

 「もういいよ。その貸しは、今日これで返してもらうから。でも、私がちょっとナイフ見せたからって、さっさと自分から服脱いじゃうアンタも、バッカよねぇ」

 女は冷たくそう言い放った。


 これで、事態の全容が分かった。合コンでみゆきに男を横取りされた女が、怒ってみゆきをここへ呼び出したこと。そして、みゆきは女にナイフで脅されて、服を脱がされて椅子に縛りつけられたこと。そして、全裸で椅子に縛りつけられた女子大生が、今この瞬間も、忍び寄るように迫り来る激しい尿意と戦っていること。そればかりではなく、みゆきの横に立つ女の最終的な目標は、限界ギリギリまで尿意と戦い続ける女子大生に、このまま永遠にオシッコをがまんさせて、やがて尿意に耐え切れなくなった女子大生が、カメラの前で恥ずかしい液体をほとばしらせながら、無残に果ててゆく恥辱の姿を映像に収めようという、何とも空恐ろしいものであることが…。


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