みなさんは失恋をしたことがおありだろうか?失恋と一言で言っても、それだけでは片づかない問題もある。特に、1人の男に独占欲を持ってしまった女がその男にふられた場合。
これは、好きな男をストーカーのように追い回し、奪い取るためなら手段を選ばない・・・。
そんな嫉妬に狂った女の子の異常な心理を描いたちょっと怖いお話。
舞台は都内D高校。昨年の春入学した2年生、良介と由奈は1年生の時に同じクラスで知り合った。良介は180センチの長身でバスケ部に入っている。ルックスもそこそこ良く、基本的にモテるタイプである。由奈は153センチとかなりの小柄で、顔は幼さが残り見た目が子供っぽいわりに胸はCカップある。由奈も男子からの人気は高く、2人は校内でも有名なベストカップルである。
まだ桜の残る4月のある日のこと。部活が先に終わった良介は正門近くで由奈を待っていた。家庭的な由奈は料理部に入っている。しかも入った理由が・・・
「良くんと結婚したら私がごはん作ってあげたいから!」
・・・・・・うーん、どうやら由奈は良介にベタ惚れらしい。
由奈を待ってから約5分、女の子が1人良介に近づいて来た。165センチぐらいで、セミロングの髪をしたおとなしそうな子である。良介はその子が誰なのかすぐに分かった。
「き、君は満里子ちゃん・・・。」
「お久しぶりです、良介先輩。」
「ど、どうしてここ・・・に?」
2人は中学時代、バスケ部員と1つ年下のバスケ部マネージャーという関係だった。しかし良介がうろたえているのはそんなことではない。2人は元恋人同士なのだ。しかし独占欲の強い彼女の、強引でしつこすぎるアプローチに耐えられなくなり、良介は満里子を捨てて部活もやめてしまった。しかしその後もストーカーのようにつきまとっては復縁を迫っていた。満里子から離れるため、良介はあえてレベルの高いこのD高校を選んだ。満里子の学力ではとうてい入れる高校ではなかったのだ。そのことが良介に例えようの無い恐怖を与えた。
「大変でしたよ、先輩。こんな頭のいい高校に入っちゃうんですもの。でも受かってよかった。またこうして先輩に会えたから。」
「君・・・も、もしかして俺を追って・・・?」
良介が恐る恐る言うと満里子は不気味な笑みを浮かべた。
「私、まだあきらめてませんから。先輩のこと。」
そう言い残して満里子は校門を後にした。
「良くーん!!」
満里子とは正反対の明るい声で、由奈は良介のそばまで走ってきた。しかし良介はまだ呆然としている。
「どうしたの?良くん。なにかあったの?」
由奈がかわいい顔を心配そうにしかめて言う。
「いや、なんでもないよ。」
良介はイヤな予感を押し隠しながら由奈に笑顔を見せた。
「よかった。」
安心した由奈は良介の胸に顔をつけた。
「良くん・・・大好き。」
良介は自分になついてくる由奈がかわいくてたまらなかった。
だが由奈をそっと抱いたその手は震えていた。
・・・そして満里子は、そんな2人の様子をしっかりと見ていた。
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