「さあ、夏海ちゃんしゃべってくれ。一体誰なんだ?」
向井部長は夏海の言葉を待っている。夏海はゆっくりと呼吸しながら答えた。
「お、同じクラスの佳代です」
夏海は佳代に申し訳なく思った。しかし、それよりもくすぐりへの恐怖のほうが大きかったのだ。
「なるほど、じゃあその佳代ちゃんにお仕置きしなくちゃならないなぁ」
向井部長はそう言うと部員に指示した。
「よし、みんな佳代ちゃんを連れてきてくれ。夏海ちゃんには少しの間眠っててもらうよ」
そう言うと向井部長は夏海にクロロホルムを嗅がせた。夏海は深い眠りに落ちた。
夏海は甲高い笑い声で目が覚めた。夏海は我に帰って辺りを見回した。すると部屋の真ん中にある×字のハリツケ台に拘束され、体中をくすぐられている女の子がいた。無論その女の子は夏海の友達、佳代であった。向井部長含む部員は佳代の動けない無防備な体をコチョコチョと激しくくすぐっていた。佳代は悲鳴にも似た笑い声を上げて体を震わせている。
「きゃ〜っはっはっはっやめてぇ〜っ!!」佳代は部活の途中だったのか、テニスウェアを着ていた。その上を向井部員達の何十本もの指が這い回る。
「僕達を恨まないでくれよ。あそこにいる夏海ちゃんが君の事をしゃべったのがいけないんだからな」
向井部長は佳代の素足の足の裏をくすぐりながら言った。
「きゃ〜っはっはっな、夏海の裏切り者〜っひっひっひっひ!」
佳代は髪を振り乱しながら叫んだ。その目には大粒の涙が溜まっている。
「か、佳代は関係ないじゃないですか!止めて下さいっ!!」
夏海は叫んだ。しかし向井部長は首を横に振った。
「ダメだよ。佳代ちゃんは君に僕達の秘密をしゃべってしまったんだ。だからお仕置きしなくちゃならない」
向井部長はそう言うと佳代のテニスウェアの裾から手を入れて素肌をコチョコチョとくすぐった。
「きゃぁぁぁっはっはっはっ変態!いや〜っいや〜っはっはっは!」
佳代は狂ったように笑い始めた。向井部長の手が服の中でモゾモゾと蠢く。その他の部員も佳代の体を余すところなくくすぐっている。数分後やっと向井部長が口を開いた。
「ん〜じゃあ夏海ちゃん、佳代ちゃんを助けてあげるからくすぐり倶楽部に入ってくれないかな?ていうか、入部しないと佳代ちゃん笑い死んじゃうよ」
夏海は考えた。もともとは自分が悪いのだから佳代には迷惑をかけたくない。ハリツケにされてくすぐられている佳代を見ていると、心苦しい。答えは決まった。
「わ、わかりました。入部します。だから佳代を助けて下さい!」夏海は叫んだ。向井部長はニヤリと笑うと佳代へのくすぐりを止めた。
「いい選択だよ夏海ちゃん。約束通り佳代ちゃんは助けるよ。佳代ちゃんも、もし僕たちが卓球部じゃないことを他の人にいったら....わかるね?」
向井部長の問いに佳代は必死で頷いた。すると佳代はハリツケ台から解放され足早に部室を後にした。
「さぁ、夏海ちゃん。ようこそ我らくすぐり倶楽部へ!僕達は君を心から歓迎するよ」
向井部長の言葉に部員全員が拍手をした。しかし、夏海にはその拍手も遥か遠くの方で聞こえるような気がしたのである。
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