ミニメロン作品

遠足の思い出

第1章
2時15分。
車の流れが急に悪くなった。
それまで時速100km程度で動いていた車の列が、数分くらいの間に速度を落とし、止まったり走ったりを繰り返すようになってしまったのだ。
4台のバスの前後には、車の列がずらりと並び、苛立ちを訴えるようなクラクションの音が頻繁に聞こえる。
それでも1号車から3号車までの車内は、ワイワイガヤガヤと、まるで渋滞を全く気にしていないかのようににぎやかだった。
しかし、4号車だけは違っていた。
後方からみて通路の右側に座っている男子も、左側に座っている女子も、寺に着くまでの元気がどこかへ行ってしまったかのように口数が減り、シンとしていた。
そんな中で、千晶は得意げに話をしていた。
「みなさんは、真光(まひかり)の業(わざ)というのを知っていますか。額の上に手をかざす事によって人を幸せにする、あのお祈りです。あのお祈りでは、かざされた手から出る特殊な光によって、人の体に流れる血をきれいにするのです。この光の事を真光といいます。この高速道路には、あの真光の業を、車に乗ったまま受ける事のできるポイントがいくつかあります。そのポイントでは、強力な真光を特殊な方法で人工的に作り出し、街灯から照射するのです。照射用の街灯の下で車が停車すれば自動的に照射が始まります。照射時間は1分間です。そのうち私たちのバスもそのポイントを通りますから、真光の業を受けてみましょう……」
バスガイドの話は続いていた。
その間、男子も女子もバスガイドの話を聞いているというよりは、窓の外を眺めたりうつむいたりしながら、何かに耐えているようであった。
バスの中はクーラーが十分に効いていたが、生徒たちの中には顔に汗の筋がうっすらと浮かんでいる者もいた。

2時30分。
ついに耐え切れなくなったのか、中ほどの席に座っていた男子生徒の一人が手を上げた。
「す、すいません。あの、トイレに行きたくなっちゃったんですけど」
しかし、恵子先生の答えは冷酷だった。
「そう。でも、あと1時間半ほどで解散場所に着きますから、それまで我慢しなさい。中学生なんだから、そのくらい我慢できるでしょ」
「えーっ?」
驚きの声を上げたのは、その生徒ばかりではなかった。
バスの中の男子生徒全員が思わず同じ声をあげていた。
先ほど男子生徒たちの口から体の中に入った大量の水は、体の隅々をめぐり、姿を変えて最終地点に再び集まり、彼らを激しく悩ませていたのだ。
少しでも気をゆるめれば、その水が噴出してしまいそうな彼らにとって、1時間30分という時間は永遠とも思える時間であった。
しかし、恵子先生は、どんな事があっても彼らのオシッコのために生徒をバスから降ろすような事はしてくれそうになかった。
彼らはただひたすら激しい尿意に耐えるしかなかった。

2時45分。
「も、もうだめだ……もれる……」
「お、おれも……ああ、トイレ行きてぇ……」
男子生徒は口々に叫びながら、必死にオシッコを我慢していた。
足をバタバタと踏み鳴らしながら、必死に股間を押さえている。
「みんな静かにしなさい。少しは女子生徒を見習ったらどうなの?」
恵子先生が声をあげた。
「先生、おれたちはもう今にも漏れそうなんだよ。女子生徒はオシッコなんかしないから平気なんだろうけど、俺達は違うんだよ」
男子の席の最前列、クラス委員長の荒木健一の言葉に、女子生徒の顔がいっせいに赤く染まった。
彼女たちはみな、オシッコなどするとはとても思えないくらい可愛かった。
そして、この学校の男子生徒は、女の子は決してオシッコやウンチをしないと心の底から信じていたのだ。
学校には「男子便所」と「女子お手洗い」があるが、「お手洗い」はあくまで手を洗う所であり、大小便をする場所ではないという事になっていたのだ。
また、彼らは女の子がオシッコをする現場など見た事はなく、そのような話も聞いた記憶はなかったのだ。
トイレとは永久に無縁の、美の象徴。
それが彼らにとっての女の子の概念であったのだ。
従って、男子生徒には、「女子お手洗い」には「男子便所」に存在するような個室や便器は存在しないものと思われていた。
だから、男子生徒が尿意に耐えている今も、女子生徒はそんな苦しみとは無縁のはずなのだ。
しかしこの時、さきほど女子生徒の体内に入った大量の水は、徐々にその姿を変えて膀胱に集まり、彼女たちの恥ずかしい部分を責め続けていたのだ。
しかも、今日これまでに休憩のためにバスが止まったドライブインのトイレは、全て男女共用となっていた。 女子生徒がこのようなトイレに行けば、個室に入る所を男子生徒に見られてしまう。 従って、女子生徒は今日の遠足の間、一度もトイレに行く事ができず、願万水寺に着いた時点で既に下腹部の重みを感じていた。
当然今女子生徒を悩ませているオシッコは、男子生徒のそれよりも多目である。
しかも、同じ量を我慢する場合でも、男の子の力で抵抗できる男子生徒と、女の子の力で抵抗するしかない女子生徒とでは、その辛さは全く違う。
だがどんなに辛くても、オシッコの悲鳴など上げる事はできないのが、女の子の身の哀しさである。
たとえ悲鳴を上げたとしても、オシッコの責めから逃れる事はできない。
従って、女の子の膀胱に溜まったオシッコは、彼女の恥ずかしい部分を心ゆくまで弄ぶ事ができるのだ。
彼女たちは股間の奥の恥ずかしい部分に渾身の力を込め、ただひたすら猛烈な恥ずかしい自然の責めに耐えるしかなかった。
女子生徒は通路の左側の2列の席に座っていた。
みんな可憐な思春期の女の子である。
男子生徒のような恥ずかしい言葉を口にすることはできない。
ましてや足をバタバタさせたりするような、いかにもオシッコを我慢してますと言わんばかりのしぐさを見せるわけにもいかない。
股間を手で押さえるなどというエッチなポーズも、絶対に、絶対にとるわけにはいかない。
彼女達にできる事は、ミニスカートから伸びた足をぴったりと閉じあわせ、周りに気づかれないようにもじもじと小刻みに擦りあわせたり、身をよじったりする事だけ。
無意識のうちに手が股間に近づくのを理性が押しとどめ、股間の上に軽く乗った状態で落ち着いている。
女の子のとっても行儀のいい座り方だった。
閉じ合わされた両足は常に小きざみに震え、時折激しく擦り合わされる。
可愛らしい口から絶えず熱い吐息がもれる。
顔には幾筋もの汗が流れていた。
片桐紀子もまた、そんな女子生徒の一人だった。
女子の列の中ほどの窓際の席に、片桐紀子は座っていた。
紀子は妖精のような可愛らしい女の子だが、同時に男勝りの強気な性格で、男子生徒との口喧嘩も絶えない。
それでいて男子からも女子からも人気がある。
しかし、今やかろうじて笑顔を保ってはいるが、時々苦痛に歪み、その頬にはいくつかの汗の筋が浮かんでいる。
そんな彼女の恥ずかしい部分を、オシッコは容赦なく責め続け、普段とは全く異なる彼女の恥ずかしい姿の全てを引き出そうとしていた。
オシッコに責められる羞恥と苦しみの中で、彼女の視線は荒木健一に向けられていた。
健一は、このクラス、いや、この学校で、女の子がオシッコをするという事実を知る唯一の男子生徒なのだ。
紀子は男子生徒から女の子がオシッコするという事実を隠すという学校の教育方針に対して疑問を持っている。
だから紀子は密かに好意を持っていた健一にだけ、そっと打ち明けたのだ。
しかし、健一はやはり女の子はオシッコなどするべきではないと思っているらしい。
一度、二人で学校から帰る途中、紀子がオシッコしたくなって、それを彼に告げた事があった。
しかし、それは逆効果だった。
「だめだなぁ、紀子ちゃんは。いいかい、純情な男の子っていうのは、女の子がオシッコするなんて、思ってないんだよ。だから、その期待に沿うように振る舞わなきゃ。どんなにオシッコがしたくなっても、それをスマートに我慢する、それがレディーのたしなみってものだよ」
彼はそう言って、わざとゆっくり歩くのだ。
紀子が女の子の部分をスカートの上から押さえていなければならないほどになると、彼はわざと人通りの多い通りを選んで歩いた。
ようやく紀子の家に着いた時には、もう既に限界に達していた。
家に入り、これでやっとオシッコができると思った瞬間、トイレのドアを目の前にしながら、女の子の部分は恥ずかしい熱湯をパンティの中へ勢いよく吹き出してしまっていた。
健一は紀子がオシッコしたくなっても決して彼女をトイレに行かせようとはしなかった。
そしてもちろん、トイレ以外の場所でオシッコをする事も許さなかった。
紀子にとって、彼のそういう所は許し難いものであった。
女の子にも、男の子のように、どこでもオシッコする権利があるはず。
それが彼女の持論だった。
「も、もう我慢できねぇ」
突然、男子生徒の一人が叫んだ。
彼はズボンのチャックを降ろすと、さきほど飲んだ水の入っていたペットボトルを掴み、股間に当てがった。
ペットボトルに薄いレモンイエローの液体が溜まっていく。
半分よりも少し手前あたりくらい溜まった所で止まった。
それを見た他の男子も、ペットボトルにオシッコを出していた。
その様子を、女子生徒たちは目を丸くして見ていた。
「ああ、スッキリしたぜ」
「おれもだ。まるで生まれ変わったような気分だぜ」
し終わった後の男子生徒の顔は、幸福感に満たされていた。
とても女子生徒には真似のできない事であった。
「ちょ、ちょっとあんたたち、なんてみっともない事をするんですか」
高山先生がびっくりしたような声を上げた。
「あーあ、ここの男子生徒は、だらしがないんですね。人前できたない水をあんなに出すなんて。あなた、どう思います? あんな人たちは、人間失格ですよねぇ」
バスガイドは、女子の先頭付近の席に座る石井小百合の口元にマイクを近づけた。
彼女は小柄な体と、名前のとおり百合の花のような落ち着いた雰囲気を持ち合わせた少女だった。
しかし、今は邪悪な水の悪戯に耐えるべく、閉じあわせた足をブルブルと震わせ、冷や汗の流れる顔からも落ち着きの色は消えている。
それでも乙女の笑顔をつくろうとして、かろうじて笑みの表情をを浮かべる。
「え、ええ……」
激しい悲鳴を上げ続ける女の子の部分に懸命に意識を集中し続けていた小百合は、バスガイドの質問の意味を理解せぬまま返事をしてしまっていた。
「ああ、どうせ俺達は汚い獣さ」
「カワイ子ちゃんたちとは出来が違うさ」
「オシッコする奴は人間じゃないんだってさ」
「おいおい、そんなのひどすぎるじゃんかよ」
男子生徒はオシッコなどするはずのない美少女たちと自分たちを比較された事に腹を立てていた。
しかしその時、女子生徒を悩ませる邪悪な水は、さらにその量を増し、彼女たちの女の子の部分をもっともっと苛めようと、恥辱の力をさらに強めていた。
先生の言うとおり、確かに予定では4時ごろには解散場所に着くはずだった。
しかし、それは渋滞に巻き込まれたりしなかった場合の話である。
さらに、事前に配られたプリントによると、この高速道路にはドライブインが全くないとの事であった。
彼女たちの可憐な体の中にいながら、大自然の偉大なる力をもって、彼女たちの最も恥ずかしい部分に猛烈な刺激を与え続け、恥ずかしいしぐさをさせながら長時間にわたって責め嬲る。
それは女の子のオシッコに与えられた特権なのだ。
そして、彼女たちは今、少なくとも数時間、そのいたぶりから逃れる事はできないのだ。
もしも逃れられたとしても、それは彼女たちにとって、あってはならない恥ずかしい出来事となる。
そんな女子生徒を戦場に残し、オシッコとの戦いから開放され幸福感に満たされた男子生徒は、寺に向かっていた時と同じように、再びにぎやかなおしゃべりをはじめていた。
一方女子の方は、ミニスカートから伸びた足を小刻みに震わせながら激しく擦りあわせ、容赦なく力を増すオシッコに抵抗すべく、女の子の恥ずかしい部分に渾身の力を込め続けていた。
熱い吐息も激しさを増し、顔も体も汗でぐっしょりで、可愛らしい顔が苦痛に歪む。
後部座席に男子生徒のすぐ隣に座っている森田美香の目はすでに固く閉じられ、目にうっすらと涙が浮かんでいる。
普段から人一倍恥ずかしがり屋の彼女は、猛烈なオシッコの責めの苦しみの中で、必死に平静さを装っていた。
しかし、隣の男子生徒に気づかれてはならないと思いながらも、その身のよじり方も足の擦りあわせ方も、人一倍激しかった。
「ん、あううんっ!」
大きな尿意の波が女の子の部分に襲いかかる瞬間、彼女の口から小さな悲鳴が漏れる。
足がきつく閉じ合わされ、股間のあたりに乗せられていた手がミニスカートに食い込む。
オシッコはその時の彼女の恥ずかしく切ない表情としぐさがよほど気に入ったのか、高い波の上で何度も女の子を弄んだ。
紀子もまた足をもじもじと擦りあわせ、固く目を閉じあわせていたが、時折開いた目を、男子生徒の持つペットボトルに向けていた。
紀子はこの時、男子生徒全員がうらやましくて仕方がなかった。
どうして男子は自分を苦しめる欲求をいとも簡単に解決する事ができるのに、女子にはできないのか。
どうして女の子だけが激しい尿意にじっと耐えなければならないのか。
紀子はその疑問対し、一つの答えを持っていた。
それは、女の子がオシッコをするという事に対して美を認めるという考え方が人間社会に受け入れられていないからなのだ。
芸術家を夢見る彼女の部屋には、女の子がオシッコをする姿を描いた油絵が何枚も置いてある。
男性の立ち小便が許されるのは、「小便小僧」という芸術作品によって、オシッコをする姿に一種の美が認められているからなのだ。
だから紀子は自分の作品によって、女の子がオシッコをする姿の美しさを世間に認めさせなければならないのだ。
もちろんそれが実現するのはまだまだ先の事であろうが、彼女はとにかくその使命感に燃えていた。


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