聖華学園の鏡 |
17XX年、フランス。 ベルサイユ宮殿の大広間では、制服を着た女の子たちが優雅な音楽に合わせて踊っていた。 フランス全土に散らばる学校で多くの希望者の中から選ばれた美少女たちだ。 青いセーラー服を着た女子学生もいれば、グレーのブレザーを着た者もいる。 学校が違えば制服も異なるのは当然だ。 そして、同じ学校から来ている子はそれぞれ数名ほどしかいない。 しかし、たとえ制服の形は違っても、それらの持つ清楚な美しさは共通していた。 そしてその美しさは、けがれを知らない彼女たちを、より一層清らかに見せていた。 さらに、彼女たちの清らかな表情もまた彼女たちを一層印象深く見せていた。 ここに集まった美少女たちのだれもが、自分の持つ最高の清らかさと美しさを見せている。 それもそのはず。 彼女たちにとって、今日は大切な日なのだ。 今晩ここで、王子様の婚約者が選ばれるのだ。 そして、この部屋では清楚な姿をした美しい女性だけが踊る事を許されるのだ。 夜中の12時に始まった女子学生の舞踏会は、彼女たちの中から婚約者となる者が決定されるまで続く。 すなわち、最後までこの部屋で踊り続ける事のできた者が、婚約者となるのだ。 ただし、最後まで残った一名も、少なくとも夜明けまで踊り続けなければならない。 夜明けまで踊り続けた者が一人もいなかった場合は、今回の舞踏会では婚約者は選出されないのだ。 逆に夜明け以降も踊り続けている者が二名以上いた場合は、一人になるまで続けられる。 舞台では楽団が優雅な音楽を演奏している。 その舞台の脇の方に置いてある美しい椅子に一人の美少年が座り、大広間で踊る少女たちを見守っていた。 今は午前2時。 舞踏会が始まってから2時間が経過している。 踊る事ができなくなり部屋から出ていった女子学生は、まだいない。 ある者は一人で、ある者はペアを組んで、音楽に合わせて優雅に身体を動かしている。 彼女たちはみな笑顔を浮かべている。 しかしその顔は、うっすらと汗ばんでいる。 それは、踊りつづけている疲れのせいばかりではなかった。 やがて、紺色のセーラー服を着た金髪のショートヘアの少女に異変が起こった。 それまで笑顔を浮かべていた顔を突然歪ませたかと思うと、優雅に広げていた腕をいきなり身体に密着させ、手のひらでスカートの前を押さえてしまったのだ。 足をぴったりと閉じあわせ、その足の付け根の当たりをスカートの上から両手で必死に押さえている。 それを見たグレーのブレザーを着た黒髪のショートヘアの少女は、猫のような目を細めながら、紺色のセーラー服に近づいた。 「ねえ、どうしたの? いっしょに踊りましょうよ」 意地悪な笑みを浮かべながら、セーラー服の少女の腕に自分の腕を絡ませる。 「ん……んぁっ!」 セーラー服の少女の口からかすかな悲鳴が漏れる。 ブレザーの少女の手は、まるでセーラー服の少女の手をスカートの前から引き剥がそうとしているかのようであった。 引き剥がされまいと、セーラー服少女が力を込める。 しかし、ブレザーの少女はさらに力を込めてセーラー服の少女の腕を引く。 「いやぁっ、だめぇ!」 ブレザーの少女に腕を強く引かれる度に、セーラー服の少女の顔が大きく歪む。 しかし、スカートの前を押さえる手は、どんなに強く腕を引かれてもそこをしっかりと押さえ続けていた。 いや、押さえているというよりも、まるでその部分を拳で揉んでいるような動きを見せていた。 足はせわしなく足踏みをしている。 太腿を激しく擦りあわせているのが、スカートの外から見てもはっきりと分かる。 ついにブレザー少女は諦めたのか、腕を引くのをやめた。 その代わり、セーラー服少女の耳元に口を近づけた。 「あなた、そんな恥ずかしい所を手でしっかりと押さえちゃって、とってもいやらしいのね。あなたみたいないやらしい子は、こんな所にいる資格はないわ。さ、早くその恥ずかしい所から手を放しなさいよ」 その口調はおだやかだったが、意地悪な意志がたっぷりと込められていた。 「そ、そんな……んくぅっ!」 セーラー服少女の口から零れ出るか細い声。 可愛らしい顔に苦悶の表情が浮かんでいる。 スカートの上の手は、さらに強くその部分を押さえてスカートに何本もの皺を作っている。 足を踏み鳴らし、太腿をせわしなく擦りあわせながら身悶える少女。 そのテンポは少しずつ早く激しくなっていく。 それは広間に流れている優雅な音楽から完全に外れている。 「ふふっ、あなたには、音楽のセンスがないのかしら。こんな優雅な音楽が流れているのに、そんなせわしい踊り方をするなんて。しかも、そんな所を手で押さえながら踊るなんて、ちょっとおかしいわね。本当はダンス以外に、もっとしたい事があるんじゃないかしら?」 セーラー服少女は、ブレザー少女の意地悪な言葉を聞きながら、自分を身悶えさせている猛烈な欲求に耐え続けていた。 ブレザー少女が再び意地の悪い微笑みを浮かべた直後、その顔が苦痛に歪んだ。 セーラー服少女の手を掴んでいた両手のうちの片方を放し、自分のスカートの前に持っていき、思わずその部分を押さえてしまった。 太腿を擦りあわせ、足踏みを始めてしまう。 「ん……んぁっ!」 口からかすかな悲鳴がもれる。 思わずもう片方の手もセーラー服少女の腕から外し、最初の手の上からしっかりと押さえる。 もはやブレザー少女もまた、セーラー服少女と同じ格好で身悶えながら、せわしないダンスを踊っていた。 その変化を、セーラー服少女は見逃さなかった。 「あ……あなただって、あたしと同じ事してるわ……」 身悶えながら、さきほどまでの相手からの言葉への返答を絞り出す。 「で……でも、あなたの方が先だったわ。きっとあなたの方が先に屈服するわ」 「そ……それは……どうかしら……んんっ……あっ!」 二人とも苦悶の表情で太腿を擦りあわせ、足の付け根をスカートの上から揉むように押さえながら、激しくステップを踏み、身悶えている。 いつのまにか、大広間で踊っている女子生徒全員が、二人と同じように身悶えながらステップを踏んでいた。 「あ……あたし……もう……んぁっ……」 「ああっ、もうだめぇ……」 「くふぅっ……ああっ……いやぁん……もう……ああっ……」 切なくか細い悲鳴があちこちから聞こえてくる。 それもそのはず。 彼女たちのスカートの奥では、熱く激しい戦いが繰り広げられていたのだ。 舞踏会が始まる前、彼女たちには、一人一人に大きな壷が配られていた。 その壷には、水がなみなみと注がれており、両手で持つのがやっとの重さだった。 彼女たちはそれまで、それほどの量の水を一度に飲んだ事はなかった。 しかし、そのお水を飲めなければ、失格となってしまう。 彼女たちは長い時間をかけ、途中で何度か息苦しさに胸を押さえながらも、なんとか飲み干した。 その直後、大量の水をやっとの事で飲み終え息を弾ませている彼女たちに、今度は紅茶の入ったティーカップが配られた。 その紅茶がどのようなものか、彼女たちの中で知らない者はなかった。 彼女たちがよその家に招かれた時などに必ず勧められるその紅茶は決して断る事はできず、飲んだ直後から彼女たちの女の子の部分が猛烈な自然の欲求に襲われる。 そしてその時から家を出て自宅に戻るまで、その猛烈な欲求に身悶えながら耐え続けなければならないのだ。 大量の水を飲んだ後でそのような紅茶を飲んでしまったらどのような事になるか考えるだけで、彼女たちは恐ろしかった。 しかし、彼女たちにその紅茶を断る事はできず、勧められるままに飲むしかなかった。 飲み終えた直後からもうすでに、さきほど彼女たちの口に入った大量の水は彼女たちの全身を知り尽くし、彼女たちの最も恐れる場所であり水の目的地でもある恥ずかしい場所に集まり、スカートの奥に隠された女の子の部分に耐え難い刺激を与えはじめていたのだ。 しかもその刺激は驚くほどの早さで次第に激しくなっていった。 あれから2時間が経過した今、その刺激はあの時の数十倍も強く激しくなり、スカートの奥のか弱い女の子に激しい悲鳴を上げさせているのだ。 もはやスカートの上からその恥ずかしい部分を押さえる手を放す事はできない。 もし放してしまったら、その部分を責め続けている恥ずかしい水は、そこを懸命に護っていた女の子を一瞬のうちに屈服させ、その部分から一気に噴出し、パンティやスカート、そして太腿や脹脛をぐっしょりと濡らし、足元に大きく広がる恥ずかしい水溜まりが恥ずかしい香りをたっぷりと含んだ湯気を立ちのぼらせるだろう。 もしもここが自分の家で、周りに他人が誰もいなければ、しかるべき容器にまたがり、激しい欲求に耐えている女の子の部分から、その熱く恥ずかしい水を思い切り噴出し、この上ない安堵感を堪能する事ができただろう。 しかし、ここはベルサイユ宮殿の大広間。 清楚な女の子たちが集まり、彼女たちの中から婚約者を選ぼうとしている王子様までいるのだ。 女の子の部分から恥ずかしい水を噴出するなど、絶対にあってはならない事なのだ。 もはや彼女たちに逃げ場はない。 閉じあわせる太腿、しっかりと噴出を食い止める女の子、そしてその部分を押さえる両手、その全てに彼女たちは渾身の力を込め続け、もじもじと腰をゆすりながら身悶える。 それはとても恥ずかしい仕種であったが、どうしてもやめる事ができないのだ。 もしもやめてしまったら、もっともっと恥ずかしい事が彼女たちの身体に起こり、婚約者になるための資格を失ってしまう。 彼女たちにとって、それだけは絶対にあってはならない事なのだ。 どんなに激しい欲求に襲われようと、どこにも逃げる事ができず、ただひたすら耐えるしかない彼女たち。 それをいい事に、恥ずかしい水は悲鳴を上げ続ける女の子をいたぶる力を容赦なく強めていく。 もじもじと激しく擦り合わされる太腿の付け根、スカートの上から手でしっかりと押さえられた秘密の場所で、か弱い女の子は激しく恥ずかしい執拗ないたぶりに懸命に耐えていた。 優雅な音楽はまだ大広間に流れ続けているが、彼女たちの踊るダンスはもはやその音楽とはかけ離れた、切羽詰まった足踏みであった。 さきほどのセーラー服少女の身体が急に大きく震えだした。 「ああっ、もうだめぇ、ああああぁぁぁーっ!!」 甲高い悲鳴が大広間に響き渡った。 続いて小さなせせらぎの音。 手で押さえていたスカートの色が一瞬にして変化し、激しい水の流れが太腿と脹脛を伝い、大量の水が滝のように床に落ちる。 床に落ちた大量の水が彼女の足元に大きな水溜まりを作る。 水溜まりからうっすらとした湯気が立ちのぼる。 切なそうに閉じていた彼女の目からも大粒の涙が流れている。 あまりの恥ずかしさに立っている事ができず、その場にしゃがみ込んでしまう。 広がり続ける水溜まりをさけようと、周りの少女たちが彼女から離れていく。 数分前の彼女と同じように、スカートの前を手で押さえ、小刻みにステップを踏みながら。 その時、再び彼女は悲鳴を上げた。 「い、いやっ、な、なんなのよ、これ、いやぁっ、た、たすけてーっ!!」 彼女の足元で、世にも不思議な恐ろしい現象が起こっていた。 水溜まりの上の彼女の足が、少しずつ沈みはじめているのだ。 まるで、その水溜まりが底無し沼であるかのように、ゆっくりと、しかし確実に。 甲高く叫びながら沈んでいく彼女を助けようとする者はいない。 スカートの上を懸命に押さえていなければならない彼女たちに、沈んでいく少女へ差し伸べる手など持つはずがない。 ついに彼女は首まで水溜まりに漬かってしまった。 頭が少しずつ沈み始める。 数秒後、彼女は影も形もなく大広間から消えていた。 その直後、今度は彼女を飲み込んだ水溜まりが徐々に床に吸収されていく。 見た目には水を吸収するとは思えない、石でできた平らなピカピカの床に、一人の少女を飲み込んだ水溜まりが少しずつ吸収されていく。 数分後、もやはその場所には水溜まりはなかった。 それまで彼女のいたその場所へ、周りの少女たちの恐怖の眼差しが集まっている。 口を開く者はない。 部屋に流れ続ける優雅な音楽と、少女たちが小刻みにステップを踏む音だけがその場の空気を満たしている。 その時、またもや甲高い悲鳴が上がった。 「あ、ああああぁぁぁーっ!!」 今消えたセーラー服少女にさきほど意地悪な声をかけていた、あのブレザー少女だった。 周りの少女たちの視線が集まった時には既にスカートと足がぐっしょりと濡れ、足元に大きな水溜まりが広がっていた。 そして彼女の足は少しずつ、その水溜まりに沈み始めている。 「い、いやぁっ!」 慌てて水溜まりから抜け出そうと足を動かそうとするが、水溜まりの水は沼の水のように重く、思うように足が動かない。 しかも、動かそうとすればするほど、余計に沈んでいくのだ。 「だ、だれか、た、たすけてーっ!」 彼女は周りの少女に向かって手を伸ばす。 しかし、彼女たちは彼女を助けるどころか、スカートの上から足の付け根を押さえている両手のうちの片方でも離そうとはしなかった。 みんな、自分が彼女のようにならないようにする事で精一杯なのだ。 ついに彼女は首まで水につかってしまった。 水溜まりの外側の床になんとか手をかけようと、必死に手を伸ばす。 しかし、水溜まりは今や彼女の手の届く範囲を完全に覆っていた。 ついに頭が水につかり、やがて水溜まりと共にその部屋から完全に消えてしまった。 続いて少し離れた所で再び甲高い悲鳴があがった。 悲鳴は幾度となくあがり、その間に他の場所からも新たな悲鳴があがった。 それらの悲鳴も数分後には全く聞こえなくなった。 その後も大広間から次々と少女たちが悲鳴を上げながら消えいった。 午前3時、苦悶の表情で身をよじり足を閉じたり時々交差させ、腰をせわしなくゆすりながら必死に耐えていた最後の一人の少女がついに悲鳴を上げた。 スカートと足と床を濡らす、恥ずかしく熱い水。 彼女の足元にできた水溜まりに、彼女はそれまでの他の少女たちと同じように沈んでいった。 その様子を椅子に座って遠くから眺めていた王子様が呟いた 「今夜もまた真のお嬢様は現れなかったか……」 |
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