もの凄い轟音の中で壁は迫って来る。舞はただ叫ぶしかなかった。「いや〜っ、やだやだ止めて〜っ」
しかしもう男は部屋にはいなかった。その時マジックハンドがパンツ一枚の舞の体に触れた。想像を絶する様なくすぐったさが舞を襲う。
「きゃ〜っはっはっはいや〜っはっはっは」舞はどうすることもできなかった。身を拭うにも回りがすべてマジックハンドなのだからどうしようもない。ただ泣き叫ぶしかないのだ。
「ひ〜っひっひっひっもう死ぬ〜っ死んじゃう!!」
だんだん意識が遠のいて来た。だんだん舞の叫び声も弱くなってくる。
「お願い....もう、もういっそ殺して」
舞はそれだけ言うと失禁してがっくりとうなだれた。
どれぐらいの時間がたっただろうか。舞はひどくカビ臭い場所で目が覚めた。両手両足が十字架にハリツケにされているのに気付く。舞は自分はいったいどうなってしまったのだろうかと思った。服装は何故か死装束だった。舞の前ではあの男が笑っていた。
「やぁ、よく生きてたねぇ。偉いよ舞ちゃん。でももうこれまでだよ。周りを見てみな」舞は周りを見渡した。すると、舞は突然悲鳴をあげた。それもそのはずである。あたりには舞と同じ十字架がいくつもあり、そこには骸骨がハリツケにされていた。しかもなぜかマジックハンドが一人で蠢いていた。
「理解したかな、彼女らは笑い死にした人達さ。ここで、誰にも助けてもらえず一人永遠にくすぐりに耐え続けて死んだ人達のね。君も残念ながらその仲間になるんだ」
男は舞の頭を撫でながら続けた。
「君はよく頑張ったよ。でも、もうさよならだ」
そう言うと男はもっていたスイッチを押した。舞の周りにマジックハンドがあらわれる。舞はただ力なくうなだれていた。
「じゃあな」
そう言うと部屋を後にした。その一分後に甲高い笑い声が聞こえてきたのはいうまでもない。それは永遠に続くくすぐりの始まりにすぎないのだ....
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