ジョーカー作品

くすぐり倶楽部物語

第一話:謎の倶楽部
夏海はとある私立高校に入学した。新しい制服も似合っている。これから楽しい高校生活が始まるのだ。とりあえず入学式も終わり、部活を決めることになった。夏海は前々から決めていた通り卓球部に入ることにした。
集合場所に行ってみたが、まだ誰も来ていないらしく部室のドアは固く閉ざされていた。(高校の部活ってやっぱり凄いんだろうなぁ。楽しみ♪)
夏海が期待をこめて待っていると部員の様な人が近づいてきた。
「?....君もしかしてく、いや卓球部に入るの?」
男は夏海に話しかけてきた。
「はい、そうですけど....あの、部員のかたですか?」
夏海は尋ねた。
「そうだよ。俺は部長の向井健二っていうんだ。よろしくな!」
「こちらこそっ!よろしくお願いします」
いきなり部長に出会えて夏海は緊張していた。
「じゃあ君は明日から部活に参加してくれ。頑張ってくれよ!」
そう言うと部長は去って行ってしまった。


その夜、夏海は友達の佳代に今日の出来事を電話で話した。
「今日ね〜卓球部の部長と話ちゃったの。すごく緊張したよ」
すると佳代は不可思議な事を言い出した。
「はい?卓球部?うちの高校卓球部ないはずだけどなぁ....」
「そんなはずないよ、絶対あるって!!」
佳代によると卓球部は数年前に廃部になったらしいのだ。夏海は信じられなかった。とりあえず明日になればすぐにわかる事だと思い眠りにつく事にした。(明日部長に聞いてみようかなぁ)


翌日の放課後、夏海は部室へと急いだ。昨日の佳代の言葉を確かめるためである。部室の扉を開けるとそこには向井部長がいた。
「やあ、君か早速来たんだね」
向井部長はうれしそうだった。なんとなく話を切り出しづらい雰囲気だったが。夏海は単刀直入に尋ねた。
「あの〜卓球部って数年前に廃部になったって聞いたんですけど....もちろん嘘ですよねぇ」
夏海は笑いながら尋ねたが、急に向井部長から笑みが消えた。
「そうか....知ってしまったのか。もう少し騙せるかと思ったんだけどな」
夏海は向井部長が何を言っているのかわからなかった。
「ちょっ....どういうことで....っ?!」
夏海は向井部長が隠し持っていた催眠スプレーによって深い眠りについた。


夏海が目を覚ますとそこは部室の中だった。周りを見渡すと、向井部長含む男女が何人かいた。両手は後ろ手に、両足はそろえてロープで縛られているため身動きができなかった。
「やっと目が覚めたか。お前の名前は?」
突然向井部長が尋ねた。
「な、夏海です」
とりあえず夏海は答えることにした。向井部長は続けた。
「ようこそ。我らくすぐり倶楽部へ。俺たちは君を心から歓迎するよ!」
部長は声を大にして叫んだ。
(何?くすぐり倶楽部って?!どういう事?)
夏海はまだ状況が飲み込めないらしい。
「なんだぁ?知らないって顔してるな。じゃあ教えてやろう。この、くすぐり倶楽部は廃部になった卓球部の代わりに設立された。もちろん、先生たちには内緒でね。でもなかなかいい部員が見つからなくてね。今年は君も入学したわけだし活発に活動できそうだよ」「そんなっ!私は卓球部に入部したんです!そんな倶楽部入りません!」
夏海は叫んだ。そして後悔していた。やはり佳代の言葉が正しかったのだ。
「今更退部なんてできないさ。大丈夫すぐ入部したくなるさ。っとその前に....」
向井部長はそこで言葉を切った。
「君にこの事実を教えた人物におしおきしなくちゃねぇ。さぁ、誰なんだ。答えてくれ」向井部長は夏海に尋ねた。
「絶対に言いません!!」
佳代には迷惑をかけたくなかった。夏海は、黙秘し続けた。
「しょうがないなぁ、じゃあ体に聞くしかないなぁ。よし、みんな準備してくれ」
そう言うと向井部長はニヤリと笑った。


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