ジョーカー作品

TICKLER〜くすぐり屋〜

被害者1 女子高生  前編
T高校に通っている少女、藤崎小夜子には秘密があった。彼女は、今世間を騒がせている『連続くすぐり魔』いわくある組織の人間なのだ。10歳のときに町でスカウトされ『くすぐり』という行為について英才教育を受けてきた。高校一年生になった小夜子は今年から組織の幹部に抜擢された。幹部とは8人しかいない各部署のリーダーである。つまり小夜子はここ、ダレル・シェイドを任されているという事だ。彼女たち組織は通称『くすぐり屋』と呼ばれ、依頼に応じてターゲットをくすぐり、報酬として代金を受け取り生活しているのだ。報酬は仕事の難易度によって多少変わってくるが、ほとんど安定していていて下手な仕事よりは経済的にゆとりを持てた。小夜子は一人暮らしをしているため、この点はありがたかった。
小夜子にはパートナーがいた。名前は詩乃である。小夜子と詩乃は、二人でこれまで何件もの仕事をこなしてきた。コンビネーションは抜群であった。詩乃もT高校に通っている高校一年生なので仕事がしやすかった。そしてそんな彼女達に、今日も新たな仕事の依頼が待っていた....。

小夜子は放課後になると、いつものように手早く筆記用具と教科書を鞄にしまった。特に用事も無かったので、まっすぐ家に帰る予定だった。しかし教室の出口で一人の男子生徒に呼び止められた。
「なぁ、藤崎....ちょっといいか?」
男子生徒は、迷惑そうな小夜子を気にも止めず体育館裏に連れて行った。
「何?私忙しいんだけど」
男子生徒は声を小にして答えた。
「お前さぁ....くすぐり屋やってるだろ?」小夜子は溜息をついた。どうせまた依頼だろう。
「誰に聞いたのよ、それ」
小夜子はとりあえず聞いてみた。変な噂になっていては大変である。
「ああ、同じクラスの浅月詩乃だよ。あいつお前の事俺に熱弁してたぞ」
(あの馬鹿、何考えてるの?)
小夜子は再び溜息をついた。
「で?誰をくすぐって欲しいわけ?」
小夜子の問いに男子生徒は少し間を置いて答えた。
「1年A組の白井優菜だよ」
白井優菜と聞いて小夜子はふと記憶を甦らせた。確か学年1かわいいと噂されていたはずだ。美人系ではなく、かわいい系の女の子だ。しかし、聞く話によると猫をかぶっているという噂だが事実は分からない。
「白井優菜でいいのね、OK、お金は....そうね10万頂くわ」
男子生徒は目を丸くした。
「10万?!ちょっと高くないか?」
「当たり前でしょ!!女の子のレベル高いんだから。それに、あんたにもくすぐらせてあげるんだからありがたく思って。それじゃ手筈について話すわよ」それから約一時間、ターゲットをくすぐるため小夜子と男子生徒の密会が行われた。


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