ジーンズ姿の美女、テスト中の尿意に悩まされて |
「それでは始めて下さい。」
受験生たちが一斉に問題を開く紙の音がガサガサと講堂に響く。昼一番の眠くなる時間だが、受験生たちに寝ている暇はない。合格に向けて目の前の問題に取り組まなくてはならないのだ。 試験は午前中1科目、午後1科目の計2科目。これで合否が決まる。何としても合格しなければ…と思っていた受験生は彼女だけではないはずだ。 といってもこの試験は入学試験ではない。大人になった人が受ける資格試験だった。受験生の大半は中年以上で、しかもほとんどが男性だった。そんなおじさんばかりのむさくるしい試験会場にはわずかながら女性もいたが、これまた中年女性が2〜3人いただけで、同じ受験生にとって目の保養になりそうな若い女の子なんてこの試験会場に存在しないのだった。 たった一人、教室の真ん中あたりに座るジーンズ姿の彼女を除けば…
ただ、その顔には二十過ぎとあってあどけなさが残り、美女でもあり可愛らしい女の子でもあった。そんな美女が一人、おじさんばかりの受験者に混じり、大教室の講堂で午後からの資格試験に臨んでいたのだった。 長時間の試験なので途中で解答を終えた人は教室から出て行ってもよいことになっている。だが、彼女は合格に万全を期したかったのだろう。午前中の試験でも彼女はずっとカリカリとシャーペンを走らせていて、多くの受験生が途中で出てゆく中で、ジーンズ姿の美女は最後まで机に座っていた。 そして午後からの試験…彼女は意欲的に問題を解き進んでいた。おそらく一度目の受験なのだろう、一発合格したいという意欲がみなぎり、真剣な表情で問題を解くジーンズ姿の美女…そんな美女がやがて問題の中身をまともに考えられなくなる事態に追い込まれることになろうとは、ジーンズ姿の美女はこの時まだ知る由もないのだった。
いずれにしても、よほどぼんやりした知識でない限り、急がないと途中で時間がなくなるような試験時間にはなっていない。 午後の試験時間は2時間半…熟考に熟考を重ねて合格を目指そうとする彼女だったが、ジーンズ姿の美女はやがて、試験会場の中で熟考とは別の、ある何かを自分に重ねに重ねざるを得なくなるのだ。試験の合否より差し迫った、もっと切羽詰まった何かを… |
戻る | 前編 |