動画の人気モデルをくすぐってみる

 先日くすぐり漫画をVR空間で読むでOculus Riftなる装置を紹介しましたが、世の中ではこの装置を使ってミクさんを間近で眺め回したり、ミクさんと握手したり、ミクさんと添い寝したりするのが流行っているようです。
「握手や添い寝ができるのであれば、もしかしたらくすぐる事もできるのではないか?」
 というわけで、仮想世界でミクさんをくすぐる方法を検討してみました。

 ミクさんは主に動画投稿サイト等で歌にダンスにと大活躍されています。
 それらの動画のほとんどはMikuMikuDance(MMD)という3DCG用フリーソフトによって作られています。
 MMDはもともとミクさんが歌って踊る動画を簡単に作れる事を目指して作られたソフトで、このソフトにミクさんの3Dモデルも同梱されています。
 MMD自体のソースコードは公開されていませんが、3Dモデルのファイル形式であるPMDに関してはネット上で有志による解析が行われ、関連ツールもいくつか作られています。
 その中にはPMDファイルをUnityで取り扱えるようにするソフトもあり、その事もあってか、Oculus Riftでミクさんと何かするソフトはUnityを使って作られる事が多いようです。
 PMDファイルからデータを読み出してDirectXのAPIで表示させる事は、私のようなDirectX初心者には明らかに難易度が高いので、他の多くの方々と同様にUnityで作りたくなる所ですが、Oculus RiftをUnityで使うためにはProライセンスが必要で、購入すると10万円以上もの出費となってしまいます。
 Oculus Rift 購入者にはUnity Proライセンスを4ヶ月ほど無料で利用できる特典があるのですが、それを過ぎたら多分使えなくなってしまうのと、とりあえずモデルさんの事をよく知りたいという事もあって、今回も前回と同様DirectXを使って何とかする事にしました。
 また、ミクさんを自分の手でくすぐれるようにするには、Oculus Rift以外にも機材が必要なので、今回はくすぐりマシーンにミクさんの腋をくすぐらせる事にしました。

 今回作成した「ミクさんが腋をくすぐられている姿をOculus Riftで眺めまわす」ソフトは、皆さんにも以下の手順で動かすことができると思いますので、Oculus RiftとDirectX11対応のPCをお持ちの方は試してみて頂きたいと思います。

0、http://www.geocities.jp/higuchuu4/index.htmから、MikuMikuDance(64bitOS Ver)をダウンロードし、解凍して出来るMikuMikuDance_v803x64というフォルダを、適当な場所に置く。
1、Oculus Rift をPCに接続し、電源を入れる。マルチディスプレイの設定を複製表示にする。
2、くすぐり漫画をVR空間で読むで示した手順に従い、以下の物をインストールする。
 ・Visual Studio Express 2012 for Windows Desktop
 ・Oculus SDK for Windows
3、Visual Studio Express 2012 for Windows Desktop を起動する。
4、新しいプロジェクトの作成(ファイルメニュー→新しいプロジェクト→「Win32プロジェクト」を選択し、下の方のボックスに名前と場所を入力→OKボタン→次へボタン→追加のオプションの「空のプロジェクト」をチェック→完了ボタン)
5、ここから今回作成のソフトをダウンロードし、解凍してできるPMDtest1.cpp、pmd.h、pmd.cpp、test.fx、OVRDist.fxというファイルをプロジェクトフォルダ(プロジェクト作成時に指定したフォルダの下にある、プロジェクト名と同じ名前のフォルダ)に置く。
6、DirectX Tool Kit を http://directxtk.codeplex.com/ からダウンロードし、解凍してできたファイルのうちpch.hとPlatformHelpers.hとWICTextureLoader.cppとWICTextureLoader.hをプロジェクトフォルダに置く。
7、PMDtest1.cppとpmd.hとpmd.cppとpch.hとPlatformHelpers.hとWICTextureLoader.cppとWICTextureLoader.hをプロジェクトに追加する(プロジェクトメニュー→既存項目の追加)。
8、右の方にあるソリューションエクスプローラという枠の中の、一番上に表示されているプロジェクト名をクリックして選択状態にし、プロジェクトメニュー→プロパティでプロジェクトのプロパティを表示させる。
9、「構成プロパティ」の中の「VC++ディレクトリ」をクリックする。
10、プロパティページの右側の枠の「インクルードディレクトリ」をクリックする。枠の右端に現れる下向きの矢印のようなマークをクリックし、「編集」を選択して表示されるダイアログボックスの上の枠に C:\OculusSDK\LibOVR\Include と入力し、OKをクリック。
11、プロパティページの右側の枠の「ライブラリディレクトリ」をクリックする。枠の右端に現れる下向きの矢印のようなマークをクリックし、「編集」を選択して表示されるダイアログボックスの上の枠にC:\OculusSDK\LibOVR\Lib\Win32 と入力し、OKをクリック。
12、プロパティページのOKボタンをクリックする。
13、実行(デバッグメニュー→デバッグなしで実行)。
14、ファイル選択ダイアログが表示されるので、0で適当な場所に置いたMikuMikuDance_v803x64の下のUserFile\Modelの下にある 初音ミク.pmd を選択し、OKををクリック。
15、Oculus Riftを装着する。

 以上の手順により、(ほとんどの方は)両手を広げたミクさんが目の前にいるVR空間に(精神だけ)入り込む事ができるかと思います。
 スペースキーを押すと、くすぐりマシーンが動き出し、ミクさんの腋をくすぐります。
 もう一度スペースキーを押すとくすぐりマシーンが止まります。笑っていたミクさんは、くすぐられていた時間によって、息を切らせたり、怒ったりします。
 一度怒り出すと許してもらえないのですが、もう一度スペースキーを押してくすぐりマシーンを起動させれば再び笑ってくれます。
 また、W、S、D、Aキーで視点が前後左右に移動、5、6キーで上下に移動、Rで向きのリセット、Pで場所のリセットができます。
 なお、動作確認はNVIDIAのグラボを搭載したWindows8PCでしか行っておりませんので、それ以外の環境ではうまく動かないかもしれません。
 また、IMEが全角モードになっていると、W、S、D、A等のキーが正常に働きませんので、あらかじめ半角モードにしておくとよいかと思います。

 今回のバージョンでは、ミクさんがくすぐられると笑ってはくれますが、(何かに縛り付けられているわけではないのに)手足を動かしてもがいたりする事はできません(無理やり召喚した為に身体が石化してしまったのだと思いましょう)。
 何かしゃべっているようではありますが、声は聞こえません。
 また、上記手順の14でミクさん以外のファイルを選択すれば、ネルさんやメイコさんやリンちゃんがくすぐられるのを見る事もできますが、MMD同梱モデルの中で初音ミクmetal.pmdだけは、本ソフトで表示させた時の髪の色が非常に変だったりします(無理やり召喚した為に〜以下略)。
 また、ルカさんやGUMIさん等、他のモデルさんがいいという方は、有志の方々の作られたモデルさんをVPVP wiki (http://www6.atwiki.jp/vpvpwiki)のリンク集等から探してダウンロードする事ができますが、今回のソフトで召喚しようとすると高い確率で何かしらの不具合が出ます。
 また、MMDのモデルさんには現在PMD以外にPMXという形式の方々がいらっしゃり、今後増えていくと思われますが、残念ながら今回ののソフトでは召喚できません。
 これらの点は、次回以降、できる物から解決を図りたいと思います。


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