「学園生活」後書きに代えて

先日の更新を以ってようやく当サイトへの連載を終える事ができた「お嬢様学園生活」、いかがでしたでしょうか。
途中からガラリと流れが変わったため、とまどった方も中にはいらっしゃったかもしれません。
当初は学園SM小説にふさわしいと誰もが認めるような終わり方にしようと思っていたのですが、その具体案がなかなか思い浮かばず、そんな時に出現したあるSF映画の影響を受け、このような終わり方になってしまったわけです。
もともと文章を書くのが苦手で読書分野にも大きな偏りがあった私の力量には、やはり限界があるという事でしょう。

次回の作品予定はというと、この前の演説のとおり、もう少し明るめの作品をいくつか掲載しようと考えています。
ただ、他サイトに投稿する予定にしていた作品を現在ようやく書き始めた所で、それと平行して進めて行く事になるので、ちょっと時間がかかると思います。
そして、それらが一段落した後、無謀にも再び長編に挑戦しようと思っております。
その長編の内容を簡単に予告しておきますと……

……人類が宇宙に進出した近未来。
建造されて間もない宇宙ステーションに暮らす一人の女性の元に一本の電話がかかってきた。
これまで一度も面識のなかった相手の話を、ただ聞くだけならと軽い気持ちで聞いてしまう彼女。
しかしそれは彼女を破滅に導く悪夢の始まりであった……。

……というわけで、最初からSFであり、しかもこれまでの作品に比べて主人公の年齢がかなり高くなります。
実際に書き始めるのはまだだいぶ先なので、それまでに多少考えが変るかもしれませんが、だいたいこんな感じの話になります。
中には多少の抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、こういう作品もたまにはいいのではないかと思うのです。
もちろん、当サイトの主成分はこれまでの作品に負けず劣らずたっぷりと含ませる予定です。

ところで、この次期長編小説の主人公が遭遇する、「聞くだけで破滅に導かれる電話」とは、一体どのようなものなのでしょう。
実はそれは現実の世界にも存在し、このページを見ている皆さんもいつそのような電話に遭遇してもおかしくないのです。
例えば次のような電話です。

「もしもし、AAさんでしょうか。初めまして。私、XX会社のYYという者ですが、あなた様はZZに興味はありませんか?」
ここで、ZZはAAさんだけでなく比較的みんなが少しは興味を持つようなもので、なおかつXX会社が売り込もうとしているものに少しでも関連性のある言葉です。
もし仮に、「ありません」と答えても、YYは少し言葉を変えて、AAさんがより「はい」と答えやすいと思われるものを提示し、AAさんが「はい」と答えた時点で本題に入るのです。
この時、AAさんに後で断りの言葉を言いづらくさせるための心理作戦として、電話の担当者がYYとは別の人に変わる場合もあります。
相手は本題の話の途中でAAさんにいくつかの質問をします。
その質問には、勤め先や趣味など、AAさん個人に関する事ももちろん含まれますが、もっと重要なのは、XX会社が売り込もうとしている物に関連する質問です。
それは、最初に「10分くらい」と言っておきながら実際には30分以上もかかる非常に「分かりやすい」説明の間に何度となく行われる質問で、答えの明確なものばかりです。
そしてその質問に最後まで答えた段階で、XX会社の売り込みに同意する事が賢明な選択であるという結論に達するようになっているのです。
その後でAAさんが
「それでも、やっぱり違うような気がするので……」
などと言っても、XX会社側は
「なぜですか、あなた、さっきの質問で○△□って答えたじゃないですか」
などと言いながら、
「この電話だけでは何かと不安があるというのもごもっともな事だと思いますので、私が今からそちらへ詳しい説明に伺います」
と言って、会う約束をさせられてしまいます。
たとえAAさんが、
「用事があるからだめだ」
と言っても、XX会社側は
「その用事は何時ごろに済むのですか? それが終わった後でお会いする事はできないでしょうか」
などと言って、会う約束をしつこく迫ってくるのです。
そして、実際に会ってしまうと、
「他のお客さんのことを待たせて、あなたのために来てあげてるんです」
といったような感じて、さらに断りにくい雰囲気に飲み込まれてしまうというわけです。
それでも、相手はいかにも誠実そうな人だったりするわけで、「こんな人が、いわゆる悪○商○などに関わるはずがない」と、つい思ってしまったりします。
そして、はっきりそれと気が付き、それなりの行動(消費者相談センターなどに相談しに行くなど)を起こそうと思い立った時には既に手遅れで、自分の財産を相当に吸い取られ、ひどい場合はサラ金に手を出し借金地獄にはまり込んだ後だったりする事もあるのです。
実はこのような事になる可能性は、勧誘の時の話を詳しく聞いた段階で想像できない事もないのですが、勧誘をする側は、そのような事が実際に起こる確率は極めて少ないように思わせるような説明をするのです。
しかもこのような場合、たとえ相手の勧誘のしかたに問題(違法性)があったとしても、電話の録音でもしておかない限り裁判を起こしても勝ち目は望めず、下手をすると逆提訴される場合もあるのです。
相手はビルの一部屋に電話線だけ引いているような小さな会社ではなく、社会的に大きな信用のある一流企業の営業担当者であり、もし裁判などになった時にどのような対応をすべきかという事についても計算しつくしているため、彼らの言い分をくつがえす事は、一個人にとっては大変な事なのです。

ここまで読んだ皆さんの中には、
「高額ではあれ、一回の買い物だけでどうして破産にまで追い込まれるのか? 借金までする必要があるのなら、『お金がないので買えません』と言えばいいではないか?」
と疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
その答えを簡単に言いますと、実は買い物と言っても実際は一種のギャンブルであり、特に電話勧誘に応じた素人などは、どうすればそのギャンブルで勝てるのかを自分で判断する事ができず、営業担当者のアドバイスのままに動いてしまう事により、途中結果はどうであれ、最終的にはそれまでに投資した額を物質(モノジチ)としてさらなる追加投資を迫られる事になるのです。
もう少し具体的な事を知りたければ、「○徳○法」の他に、例えば「○物○引」といった四字熟語をサーチエンジンに入力してみる事をお勧めします。
心ない営業担当者の口車に乗せられて「先○取○」に手を出し、苦い経験をした人たちの体験談のいくつかを読む事ができます。
なお、ここに挙げた○物○引に関する○徳○法は、悪○商○のほんの一例であり、その他にも世の中にはさまざまな種類の○徳○法が存在しますので、サーチエンジンなどでいろいろと調べてみるのも面白いと思います。

次期長編は、現在もどこかで行われている、このような悪質な電話勧誘がモチーフになっています。
このような話は一種のネタばらしになってしまうわけですが、当サイトを訪れて下さっている皆さんが上記のような災難に巻き込まれる事のなきよう、実際の作品執筆に先立ち紹介した次第です。

今まで当サイトを応援して下さった方、感想をお寄せ頂いた方、ありがとうございました。
これからも、どうかよろしくお願いします。


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