コスキージャス作品

銀河大戦争

「困ったものだどうすればいいのか?」
太陽系総理のカワチが思わずため息をついた。
西暦3998年、銀河系中心にあるブラックホールの影響で、とうとう先進星域であるヤダー連盟がこの太陽系へと迫ってきたのである。
「総理ご決断を。」
「ご決断と言われてもなあ。宇宙開発が始まって約2000年、我々はようやく太陽系を手中に収めたとは言え、外宇宙とのトラブルはなかった。なぜ今ごろになってこんなところへ攻めてきたのか?」
「銀河系の中心にあるブラックホールが急速に増大をし始め、偏狭の星々を次々と飲み込んでいるそうです。そのあおりお受けて、銀河中心の古い太陽系が外へ外へと進行しているものと思われます。」
「ちょっとまて、私が物理が苦手だったからといっていいかげんなことをいってないか?だいたいブラックホールなどと言うものはある程度で消滅してしまうものではないか?なぜどんどん膨らんでいくどうりがあるのか?」
「そこが素人の赤坂・六本木・鹿鳴館。」
「な・なんだと?」
「いや。銀河系中心のブラックホールは全銀河の重力をまともに受けていますので消滅できないのです。」
「す、するとなにか?何時までも膨らんでいくということか?」
「まあそういうわけでもないでしょうが、とにかくヤダー連盟が攻めてきました。どうしましょう?」
「そうあっさりと聞くなよ。」
「だって総理あなたは、あの地球上から最終戦争の危機を救った河内純平の子孫なんでしょ?」
「それとこれとは・・・第一2千年も前のご先祖じゃないか。とにかくヤダー連盟の実態を探れ。」
「はい。解りました。」

「総理判明しました。」
「え。早いなおい。」
「はい。それだけが取り柄でして。それでヤダー連盟人の兵隊の大半はアンドロイドで、指揮官は人間と全く同じです。しかし性別上は全員我々の言うところの女性にあたります。」
「すると一部の女性が大多数のアンドロイドを使って銀河各地を征服してまわっていると言うのか?それで我々太陽系連合の勝ち目は?」
「ありません。」
「あ・ありません?」
「そうです。どうがんばっても勝ち目はないでしょう。」
「そんなにあっさりいわれたら。すると何か?全面降伏以外に道はないと言うのか?」
「まあ我々に勝ち目がないと言うのはここ数百年、戦争や反乱などがなかったために戦争のプロフェッショナルがいないと言うのが大きいでしょう。」
「だったら呼んでくればいいじゃないか。」
「呼んでくるって、もしや・・・。」
「そうわれわれ人類が文明と呼ぶものを作って約15000年。歴史上には数多くの戦争のプロがいたではないか。しかし、生きているものをそのまま連れてくる訳にはいかん。非業の死をとげた英雄をなるべく早い時期に連れてくるのだ。」
「解りました。しかし誰を連れてくればよろしいのでしょうか?」
「おまえの独断と偏見に任せる。」
「本当ですか?わかりました直ちにかかります。」

カワチ総理に一任されたこの男、名をルークと言う。若くしてカワチ総理の秘書として辣腕を振るってきたが、今回ほどわくわくする任務はなかった。
なぜなら古代の英雄達を勝手に選び出して、自由に操れるからだ。
さっそくルークは歴史上の人物で非業の最期をとげた7人の英雄を選び出すことにした。
一人目は旧約聖書列王記の英雄怪力サムソン、ローマ帝国を散々苦しめた反逆者奴隷スパルタカス、中国人の心の英雄関羽雲長、イギリスの英雄ロビンフッドのモデルハンティントン伯ロバート、アメリカからはデイビークロケット、ヤマトタケルは日本人にとって最初の英雄である。
7人目を誰にするか悩んでいると、後方から自分を呼ぶ声がした。
振り替えるとルークは腰もぬかさんばかりにおどろいた。
そこには古代仏教が盛んであったころのものであろう金色の千手観音が姿をあらわした。
「そう驚かなくてもよい。私はそなた達の星を守護する者、2千年の眠りから今よみがえった。」
「一体あなたは何者で、何のためにあらわれたのです?」
「そなたの力になろうと思って現れたのじゃ。かつて界邪と呼ばれておった。2千年前、超能力を身につけた若者の化身として悪と戦っておった。」
「その若者ってもしや?」
「正義感は強かったが、ドスケベーな男であった。」
「僕の力になってくれるそうですが?」
「そう7人目の英雄は探さんでよい。わたしがそなたに乗り移ってやるそなたが7人目の戦士じゃ。」
「えー。僕が・・・?」と言うまもなく金色の光の中にルークは包まれていった。
そして光りが収まるとものすごいパワーが自分自身の中に入り込んでいることを確信した。
そしてルークは最強のエスパーとなった。

よみがえった6人の英雄達を前にルークは説明を始めた。
「諸君は一度死んだ。そして生き返らせたのは私、ルークである。実は諸君の天才的な戦の才能を私にかしてもらいたい。我々の太陽系はおろか地球すらも危ないといっても理解できないだろうが、この世を征服しようと戦を仕掛けてきた神をも恐れぬ不届き者がおる。私とともに征伐に行くにあたって協力してほしい。」
すると関羽雲長が大声を上げて発言した。
「方々。この奇怪な状況を理解できぬのはそれがしとて同様でござるが、聞けばそれがしどうよう方々も一度死んだ身と聞く。ここはルーク殿の言にしたがい神をも恐れぬ不届き者とやらを征伐するにもう一暴れしてはいかがかと存ずる。」
するとロバートも続いた。
「諸君。この髭のだんなの言うとおりやってやろうじゃないか?」
すると「よしやろう。」と言う声が上がり、一気に団結した。
「それで手はずはどうする。」ディビークロケットが聞いた。
「諸君は我が太陽系連合のロボット兵を指揮して、敵のアンドロイド軍団を壊滅していただきたい。私は敵の中枢の大将をやっつける。」

「総理。準備万端整いました。」
「おい。なんだかすごい自信ありそうな雰囲気だな。何かあったのか?」
「あなたの遠いご先祖が味方になってくれたんですよ。」
「なんだと?」
「まあまあ。とにかく今回の一件はこのルークにおまかせください。」
「その自信がどうも気になるんだが、それほどならおまえに太陽系連合で未だ使ったことのない身分を申し渡す。太陽系連合軍元帥だ。」
「ありがとうございます。おもいっきりやってきます。」
「おまえ。ほんとにあのルークか?」

古代の英雄達は冥王星基地へと移り、敵の来るのを待った。
「英雄諸君。私はこのたび太陽系連合軍元帥を申し渡された。これより私の命令にしたがって行動していただきたい。」
「元帥殿。先日申された礼の作戦であるが、全員がここの要塞を離れるわけにまいらんでしょう。誰かがここに残って敵を防がねば、ここを破られれば一気に我が惑星の命運は尽きるでしょう。」
「さすがはヤマトタケル。よく推察されております。」
「いや。私とてかつて日本と呼ばれた国では神として祭られていたらしいですから。」
「その役目はオラがやってやろう。」
ディビークロケットが言った。
「おいらは攻めるより守るほうが得意だ。」
「ではディビークロケットにここの防衛を任せよう。全員出陣。」
「おー。」

さて、いよいよ敵が攻めてきた。
古代の英雄5人が思い思いの戦法で戦いに挑んださすがは戦の天才ぞろい。
いかに科学力の差があろうと戦場を縦横無尽に駆け回りヤダー軍は大混乱に陥っていった。

ルーク元帥は、敵の目を盗んで敵母艦に潜入し、大将をさがした。
確かにアンドロイドに指示しているのは数人の女性指揮官であるが、それがなんとものすごい美人ぞろいである。
「なぜだ。こんな辺ぴな星域がなぜこんなに手強いんだ。」
将軍のいらいらした声が響いた。
「将軍。敵はしつこく抵抗しておりますが、我々に敗北はございません。ご安心を」
副官がなだめる。
副官が退室し、将軍が一人になったのを見計らってルークが姿を現した。

「何者だ?」
「怪しいものではない。」
「目いっぱい怪しいわい。」
「ところで私は誰だか解るか?」
「それを私が聞いているんだ。」
「あーなるほど。」
「誰かおらんか?侵入者だ。」
「誰も来ないって。私の名前は界邪と申します。主に女性の仕置きを得意とする変態やろうです。」
「な・何ー?」
「太陽系から出ていってください。フジコ将軍。」
「なぜ私の名前を?」
「私は何でもお見通し。あなたの3サイズはもとよりあなたの弱点まで。」
「何だと。私の弱点だと。そんなものあるものか。」
「そうでしょうか?」
フジコ将軍の体は中に浮き、大の字になって動けなくなった。
「な・何をするはなせ。」
「将軍。何故こんな辺ぴな太陽系へ攻めて来たのです?」
「うるさい。離せ。」
「そうですか。それでは私の得意はお仕置きをいたしましょう。」
「ふん。拷問なんぞにまいるものか。」
「そうですか。それではいきますよ。」

界邪の千本の手がフジコ将軍の触ってほしくない部分をくすぐり始めた。
「う・・く・・くくく。や。やめろーくくくく。」
「さすが将軍。我慢づよいですね。しかし私の責めは必ずくすぐったい。これでどうです?」
「うぐ。ぎゃーはははははははははははははははははははははははははははやめろひゃははははははははははははははははははははははははははは。」
「どうですフージコちゃん。もっとくすぐってあげましょうね。」
「きゃーははははははははははは。お願いやめてーははははははははははははは

「どうです将軍。どうして我々の太陽系に攻めて来たのか教えてくれますか?」
「わ・わかったわかったからやめてーきゃははははははははははは。」
「でも意外とかわいい笑い方なんでもっと聞きたくなりました。」
「何よ変態きゃーはははははやめてーあはははははははははははははは。」

将軍はとうとう笑いすぎて失禁してしまった。
「もー知らないからあへあへあははははははは。もう。もうやめてへははははは。デ、デーモン族が攻めてきたのよ。銀河系の中心にあるブラックホールに住む地獄の住人が。はあ・はあ・はあ・はあ。」
「そのデーモン族がなぜ攻めてきたんです?」
「銀河系を牛耳って悪魔の帝国を作るために、我々はむりやり外域に戦争させらている。もういいでしょう。離して。」
「そんな訳にまいりません。私たちだって平和に暮らしていたのにデーモン族とやらが恐くて我々に戦争を吹っかけられたんでは溜まりません。これはもうちょっとお仕置きが必要のようですね。」
「いやーんお願いたすけてーきゃーーーーーはははははははははははははははは
は」
「とにかく将軍これ以上この星域を攻めてきたらこんどは素っ裸にしてこちょこちょ責めにしますよ。」
将軍の顔がゆがんだ。
「わかった。わかったからもうその手の拷問は止めてくれ。我々は引き上げる。」

ヤダー軍は退散していった。
「ルーク殿。やけにあっさり勝ってしまったが、これでもう我らの役目は終わったのか?」
「みなさんは今更古代に戻ったところですでに死んでしまっている。よければここに残ってこのあたりの平和のために一肌ぬいでもらえないだろうか?もちろんどうしても戻りたいというのなら無理強いはしません。」
「まあとんでもない未来によみがえってしまったが、どうだみんなこのルークって人に俺達の運命をかけてみようじゃないか?」
無口なスパルタカスが提案するともう誰も異議を唱えなかった。
「時にルーク殿。敵の大将は女将でものすごい美人と聞いたが?」
「ああ。いい女でしたよ関羽殿。あの女だけではなく付き添いの者もみな我々人間の男にとって見ればものすごい美貌ばかりです。」
「それではさっそく追いかけましょう。」
プレーボーイのロバートが提案した。
「それでは皆さん。何かとんでもない敵が迫って来てるらしいですが、やだー連盟めざしていってみましょう。」
「おー。」

7人の地球生まれの英雄達は銀河系の中心で起こっている何か得体のしれない戦いへと向かった。
平和を愛する建前といい女を愛する本音を胸に。


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