コミック作品紹介

青い花 1

 マンガ・エロティクスFという漫画雑誌で連載中の百合漫画です。鎌倉を舞台に、二つの女子校に通う女の子たちの人間関係が描かれています。
 ウィキペディアにあらすじと登場人物が紹介されている他、雑誌「コミック百合姫」Vol.7(2007年冬号)に三浦しをんさんによる詳しい書評が掲載されています。
 2007年8月現在、単行本が2巻まで出ておりますが、そのうちの第1巻におもらしシーンが含まれていましたので、紹介させて頂きたいと思います。

 鎌倉のお嬢様学校に入学した奥平あきらは、入学式の日、通学電車の乗車駅で定期券を落としてしまいました。それを拾ってくれたのは、同じく鎌倉にある進学校の制服を着た、背の高い女の子でした。
 そして、電車の中で知らない男性に背後霊のように後ろに立たれたあきらは、思わず走り出した時、誰かとぶつかってしまいました。その相手は、さきほど定期券を拾ってくれた彼女だったのです。
 その後、彼女の様子がおかしい事に気付いたあきらは、彼女の後ろの辺りをゴソゴソ。やがて彼女にイタズラをしていたらしい何者かが悲鳴を上げます。
 そんな事があってお互い顔を覚えたあきらと彼女。しかし、名前まで聞いていない二人は、彼女たちが10年前に離れ離れになった幼馴染である事に気付いていませんでした。
 その夜、奥平家にかかってきた電話で、あきらは幼馴染の万城目ふみの事を思い出すのです。

 ここで、二人の過去に関する回想シーンが描かれているのですが、なんとそのシーンは、小学一年生の万城目ふみがオシッコを我慢しながら廊下を歩いている所から始まるのです。トイレ、トイレ、と頭の中で連呼しながら必死に歩くふみちゃんですが、ついに間に合わず、足もとに水たまりを作ってしまいました。
 泣きだしてしまったふみちゃん。しばらくして、ふみちゃんとは別な教室から奥平あきらが呼ばれて来ました。
 ふみちゃんを保健室へ連れて行ったあきら。わざわざ違うクラスから呼ばれたという事は、それだけ二人が仲良しというか、あきらがみんなからふみちゃんの保護者役と思われていたという事でしょうか。

 P29から始まるこの回想シーン、電話に出た母から万城目という名前をあきらが聞いた直後に描かれている事や、この回想シーンの続きであるP32の状況説明に「ふみちゃんが……」という文句が出ている事から、思い出しているのはあきらと考えられるのですが、この回想シーンの直後、このシーンに関すると思われる会話が万城目ふみと彼女の母との間でなされている事、そして回想シーン自体が万城目ふみが一人で廊下を歩いている場面で始まる事などから、同時にふみが思い出したシーンでもあるという事がうかがえます。
 再会した幼馴染二人が最初に同時に思い出した場面。それは何かをして遊んだりした時の事などではなく、おもらしをした時の事だったのです。やはりおもらしというものは、女の子の思い出としてくっきりと残る物なのですね。

 というわけで、小学生のおもらしと、おもらしをした小学一年生の女の子が10年後にどんな女子高生になるかについて興味がある方には、特におすすめです。

(2007/8/18)

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